宇田川源流【日本報道検証】 ロシア・ポーランドドローン侵攻の真意は何か?
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。
さて、今回は先週9月10日にロシアのドローンがウクライナポーランド国境を越境し、ポーランド国内に侵攻したことについて、その内容を分析してみることにしましょう。もちろん、ロシアのプーチン大統領の心の中まで見えるものではないので、現象から内容を想像するという手法を取りますが、それでもある程度しっかりと仲を見てゆこうと思います。
さて、まずは何よりも「戦争とはどのようにして始まるのか」という事であろうと思います。今回の件でロシアとポーランドが、またロシアとNATOが戦争になるのではないかというような報道が多く聞かれました。実際に戦争の危機であることは間違いがないということになりますが、ではそんなにすぐに戦争が発生するのでしょうか。
戦争は国際法上、国家による武力行使の開始として扱われ、その正当性は国連憲章や慣習国際法の枠組みで厳格に制約されています。以下では、法的構造を段階的に整理し、戦争開始のメカニズムを解説します。
国際法では「戦争」という用語は次第に「武力紛争(armed conflict)」に置き換えられています。武力紛争は国家間の国際的武力紛争と、政府と非国家主体間の非国際的武力紛争に大別されます。いずれの場合も、国際人道法(ジュネーヴ諸条約など)が適用され、民間人保護や禁止兵器が規定されます。
国連憲章第2条第4項は、加盟国間における武力行使および威嚇の全面禁止を定めています。この原則により、国家が他国に対して先制的に軍事行動を起こすことは違法とされます。例外は憲章第51条の自衛権行使に限られ、安保理の事後報告が義務付けられています。
国家が武力攻撃を受けた場合、以下の条件を満たせば個別的・集団的自衛権の行使が認められます。
必要性:現に攻撃が進行中、または差し迫った脅威が存在すること
相当性:自衛行動が受けた被害と均衡を保つこと
即時性:遅滞なく行使されること
安保理への報告:措置を講じた後、速やかに国連に通知すること
歴史的には正式な「宣戦布告」が戦争開始の儀礼でした。現代では書面による宣言は少なく、外交抗議やUltimatum(最後通牒)による事前警告が一般的です。この宣戦布告に関する内容は日本においては真珠湾攻撃が宣戦布告よりも前か後かということで大きな問題になったので、その歴史を知っている人にとってはかなり問題視する人も巣食あくないのではないでしょうか。
5 9世紀までは戦争は国家の権利とみなされていましたが、第一次大戦後に不戦条約(1928年)や国連憲章(1945年)が成立し、戦争は原則として違法化されました。しかし「予防的自衛権」や「人道的介入」を名目に武力行使を正当化する事例が相次いでいます。サイバー攻撃や経済封鎖を含むハイブリッド手法も法のグレーゾーンを突く形で用いられ、国際司法の判断を待つ事例が増加しています。
戦争開始は国際法上、武力行使禁止の原則と自衛権の例外規定が中核を成し、宣戦布告や事前警告を含む政治的プロセスを経て実行に移されます。歴史的に戦争は制度的に違法化された一方で、現代はハイブリッド戦や情報戦が先行し、法的正当性の境界線が曖昧化しています。
では今回のロシアのポーランド侵攻は「故意に行ったのか」または「宣戦布告はどのようになっていたのか」ということなどが重要になってくるのです。
<参考記事>
ロシア無人機侵犯は国際法違反 日本やポーランドなど共同声明
9/13(土) 共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/9bf55fcdf7ba3ccac94ac2143e93172afcb13a0c
プーチン氏、ウクライナで飽き足らず「他国侵攻も辞さない構え」 ポーランド大統領
9/10(水) AFP=時事
https://news.yahoo.co.jp/articles/c105b18ec2a6f17030c445095f0c75cbd554b05c
<以上参考記事>
さて、まずはロシアがポーランドまたはNATOと戦争をしたいのかということを考えてみましょう。2022年2月に始まったウクライナ侵攻は、少なくともクレムリンの感覚から考えればすぐに終わると思っていた戦争が、実際はかなり手こずっており3年経過しても終わらない状態になっています。その背景にはウクライナにNATOが支援しており、義勇軍や武器・弾薬の供与ということが上げられます。まだNATOに加盟していないウクライナに、これだけ多くの国が支援するということはまったく想定外であったということがあげられますしまた、ロシアの兵がウクライナの首都キーウを落とすことができなかったということもかなり大きなことになったのではないでしょうか。
ポーランド政府はこの事態を「意図的な侵略行為」と断じ、北大西洋条約第4条に基づく同盟国間協議を要請。東部各地に航空管制や空域制限を導入し、NATO東側前線の防空体制を強化しました。ウクライナ全面侵攻開始(2022年)以降、NATO領空にドローンを送り込んだのは初の事例です。ロシアはこれによって、ポーランドが送る兵器・支援物資の供給に対する抑止と、同盟の結束度を試す狙いを示したとみられます。
さて、NATO加盟国への攻撃決断は、プーチン政権内の強硬派が主導権を握り、戦況低迷による国内の不満を外向きの軍事行動でかわそうとする構図を浮き彫りにしています。
攻撃後、ロシア外務省は「意図的な侵略ではない」と侵入事実を否定しつつも、同時に軍事的プレゼンスを誇示。国内的には強さのアピールと対外的批判回避がせめぎ合う、政権内部の焦燥が透けて見えます。逆に言えば、ロシアは「戦争の打開を何らかの形で謀らなければならない状態」に陥っているということが言えます。実際にロシアの国内経済はすでに戦時経済状況を通り過ぎて、かなりの不況担っておりまた、ウクライナの製油所攻撃などンい酔ってガソリンなどが枯渇してしまい(原油はあるけれども精油ができないので、石油製品として軽油やガソリンがない状態)、そのことで国内の状況も管理悪化しているということが報告されています。
このように考えれば「膠着した状況のウクライナ情勢を、何らかの形で変化させなければならない」ということになり、そのことがロシアにとって必要であるということになるのではないでしょうか。そのうえ上海協力機構や、中国の軍事パレードへの参加など、中国との関係を「確かめなければならない」状態にあったということも挙げられます。実際に「アメリカから見れば」中国とロシアと北朝鮮は悪の枢軸国であるかのような感覚で見えますが、実際に中国とロシアと北朝鮮はそれほど仲が良いわけではないのです。これは第二次世界大勢当時の日本とドイツであっても、三国同盟などと言っていても、中国では中華民国を支援するドイツと、中華民国と戦う日本で対立していたし、ドイツは日本のことを完全にバカにしていたということがあります。動揺に中国とロシアは、2004年まで国境腺も決まっていなかった関係であり、その関係は今も尾を引きずっている。それが「反米」で同盟を組んでいるということになれば、当然にロシア派その戦線を拡大して、中国の真意を見なければならない。そのような事情もポーランド侵攻には考えられるということになるのです。
単純に「間違ってポーランドにドローンが行ってしまった」というのではなく、その内容がロシアやその同盟国にとってどのような意味を持つのか、そのことをしっかりと見なければ真の国際情勢は見えないということになるのである。