「宇田川源流」 巨星落ちる!日本と台湾の関係に深く寄与した李登輝元総統の死とそれを利用しようとする中国共産党

「宇田川源流」 巨星落ちる!日本と台湾の関係に深く寄与した李登輝元総統の死とそれを利用しようとする中国共産党


 台湾の李登輝元総統が30日の夜、亡くなった。

まずは何よりも、謹んでお悔やみ申し上げます。

2013年であったか、テレビの企画でというか、私の持ち込み企画で李登輝元総統と対談をしたことがある。もちろんその前に事前に打ち合わせに近い話をしていた。その時に様々なお話を伺っていた。

実際に、日本に関してはかなり詳しい。「京都帝国大学出身で、兄は靖国神社にいる」この言葉は、ある意味日本人にとっては重い言葉である。しかし、その話が日本が悪いというのではなく、「日本人より日本人らしい日本的な感覚による内容」もっと言えば「日本にいたことを誇りに思う心」ということと、そのことを現在の台湾の人々にうまく伝えて自分の国の誇りを持つことということがどういうことかを態度をもって示した人ではないかという気がするのである。

台湾の国を良くしてくれた人として、児玉源太郎と後藤新平を尊敬していた。この二人の名前を出されて、すぐにどういう人か説明できる日本人の方が少ないのではないか。

後藤新平は、それでも少し話が出るかもしれないが、戦後の教育の中で児玉源太郎をしっかりとならうことはほとんどない。そのために、一緒に行った多くの日本のビジネスマンや経営者たちは、その話についてこれていなかったようである(私の感覚)。

ちなみに、李登輝元総統は甘いものが好きであった。そのような話の後、マクドナルドのホットアップルパイをおいしそうに食べていた姿は印象に残るものである。当時90歳。年齢差を感じない若さは、何かの信念に燃えた人の特徴ではないか。

正直まだやるべきことと思っていたことはたくさんあるのではないか。彼は、尊敬する児玉源太郎や後藤新平になれたのであろうか。他の人から見たら超えていたという評価をする人がいたかもしれないが、李登輝元総統本人は、まだまだと思っていたに違いない。そのような情熱の人であったと思う。

改めてご冥福をお祈りしたい。


台湾元総統の李登輝氏が死去

 【台北=杉山祐之】台湾の民主化に尽力した李登輝・元総統が30日夜、病気のため台北市で死去した。97歳だった。民主化を通じて人々に「台湾人」意識を根づかせながら、中国から自立した台湾の土台を築いた。第2次世界大戦終結まで、日本統治下の台湾で日本人として生きた世代の代表的存在でもあった。

2020年07月30日 21時21分 読売新聞

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-745146/


李氏死去で中国が台湾けん制

 アメリカのポンペオ国務長官が台湾の李登輝元総統を評価する内容の声明を発表したことについて、中国政府は、「間違ったシグナルを送らないよう要求する」とけん制しました。

 アメリカのポンペオ国務長官は30日、台湾の李登輝元総統が7月30日に亡くなったことを受けて、「台湾と、活気に満ちた民主主義の絆を強化し続けることで、李氏の遺産をたたえていく」などとする声明を発表し、李氏の業績をたたえました。

 「台湾独立は袋小路だ。中国の国家統一と民族復興は歴史的大勢で、いかなる人間や勢力も阻止できないことだ」(中国外務省 汪文斌 報道官)

 中国外務省の汪文斌報道官は、7月31日の記者会見でこのように主張。そのうえで、「私たちは関係国家が一つの中国の原則を堅持し、台湾にかかわる問題を慎重に対処し、台湾独立勢力にいかなる間違ったシグナルも発信しないよう要求する」と述べ、アメリカ側をけん制しました。(31日21:39)

2020年07月31日 15時03分 TBS

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12198-745904/


 さて、後半はそのような李登輝元総統という人物の国際的な意味である。つまり、中国共産党と台湾の関係において、李登輝元総統の存在が示していた内容は非常に大きい。

李登輝元総統の経歴を見ればわかるとおりであるが、そもそも蒋経国(蒋介石の息子)の独裁を引き継いで、2・28事件など「白色テロ」といわれる恐怖政治の後を収拾し、その後民主的な台湾を作った人物である。同時に、蒋介石以降存在していた国民党を否定し、台湾の独立を強く打ち出している。

その存在は台湾における台湾独立派の象徴的な存在であり、なおかつ、共産党の成り立ちや、共産党と国民党の間のことなどをすべて「実体験として知っている」人物であるのだから、現在の共産党の幹部などでは話ができるはずがない。

私の思うところなので、推測の域を出ないが、中国共産党の人々、特に習近平執行部の人々は、李登輝元総統との直接の討論は避けていたのではないか。中国人の性格上「勝てない戦いはしない」ということから考えれば李登輝元総統が生きている間は、基本的には台湾の侵攻はなかったと考えてよい。共産党の成り立ちから、その卑劣な手段から、すべてを世界に訴えられてしまっては、共産党の敵が増えるのである。それは、台湾との局地的な戦いには勝てても中国共産党において戦略的には敗北である。

このように考えれば、李登輝元総統の死が、中国の台湾工作と台湾占領戦争への一つのきっかけになるのではないかという気がする。

「台湾独立は袋小路だ。中国の国家統一と民族復興は歴史的大勢で、いかなる人間や勢力も阻止できないことだ」(中国外務省 汪文斌 報道官)

 中国外務省の汪文斌報道官は、7月31日の記者会見でこのように主張。そのうえで、「私たちは関係国家が一つの中国の原則を堅持し、台湾にかかわる問題を慎重に対処し、台湾独立勢力にいかなる間違ったシグナルも発信しないよう要求する」と述べ、アメリカ側をけん制しました。<上記より抜粋

まさに中国の立場はこのようなものである。2019年の習近平の演説以降、習近平政権の台湾占領の野望は着実に進み、昨年は台湾で起きた事件で香港をからめとった。その内容が今年になって国家安全法というような法律となって自由な香港を殺してしまったといえる。台湾の国民党支持者は、そのような状況でありながらまだ共産党との連携を望むのであろうか。

台湾における内容はそのまま東アジアの内容になるのではないか。中国の覇権を打ち破るのも、また後押しするのも、ある意味「李登輝元総統亡き後の台湾」なのかもしれない。

宇田川源流

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