「宇田川源流」 文在寅大統領の無能さが朝鮮半島の南北関係の悪化と韓国の孤立化を招くという悲劇

「宇田川源流」 文在寅大統領の無能さが朝鮮半島の南北関係の悪化と韓国の孤立化を招くという悲劇

 先週の最も大きなニュースは、金与正という、金正恩の後継者と思われる北朝鮮の指導者らしき人が出てきて、韓国の脱北者による「ビラ」に腹が立ったとして、いきなり南北の友好の町長でもあった開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破したことであろう。まあ、ビル一つが完全に爆破される様は、テレビなどで見ていてなかなか「爽快」といっては大変不謹慎であるが、しかし、実際にアメリカなどで廃屋を爆破で解体する時など、見物人が出るくらいであるから、建物その物がなくなるということに関しては、その背景や政治的な意味を考えなければ、なかなか良い光景なのではないか。

さて、あえて言ったが「政治的背景」などを考えなければ「爽快」であっても、逆にその背景などが見えていればかなりまずい状況であることは間違いがない。

文在寅大統領は就任以来、南北の融和(対話による統一)を公約し、推し進めてきていたのであって、北朝鮮の政治動向に関してはかなり気を使っていはずである。そのために、一昨年の平昌オリンピックの時は半島統一旗などを取り出し、北朝鮮の代表団をかなり多く迎え入れて、特別扱いをしていた。今回爆破されたビルもまさにそのものであったし、また、その後金正恩委員長とトランプ大統領の会談の時などは、その場に一緒にいて、自分の功績とばかりにアピールしていたのである。

しかし、今年の4月に金正恩重病説または金正恩死亡説が流れ、そして、北朝鮮の政治情勢が変わるとその対応にも一変することになる。もちろん、政治の状況の変化はつきものであるが、しかし、トップの重病説があって、そのことで政治の継続性がなくなり、そして、今までしてきたことがすべて水泡に帰すというのもなかなか面白い。

このように考えると、例えば朴槿恵が行った慰安婦合意を「大統領が変わった」として、完全にその合意を覆し、慰安婦に関してまた請求を行うなど、政治の継続性を無視した対応をしてきた文在寅政権が、そのような対応を自らが受けるというのも「因果応報」というものなのかもしれない。

「くずの連中とけりをつける」金与正氏、対北ビラに軍事報復を警告

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は13日、韓国の脱北者が金正恩氏を非難するビラを飛ばしたことに対して、軍事的報復を警告する談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。

 脱北者の対北ビラをめぐっては、チャン・グムチョル党統一戦線部長も12日に、韓国政府との関係断絶を宣言する談話を発表した。

 金与正氏は、この談話に「全面的に共感する」としながら、「わが祖国の象徴であり、偉大な尊厳の代表者である委員長同志の絶対的権威をあえてけなし、神聖なわが方の地域にごみを押し込んだくずの連中とそのような妄動を黙認した者らに対しては世がつぶれることがあってもけりをつけると決起した全人民の一様な声は今、日を追ってさらに激しくなっている」と強調した。

 また、「私は、委員長同志と党と国家から付与された私の権限を行使して対敵事業関連部署に次の段階の行動を決行することを指示した」と述べ、続けて「遠からず、無用な北南共同連絡事務所が跡形もなく崩れる悲惨な光景を見ることになるであろう」とし、開城工業団地内にある同事務所の破壊を予告した。

 さらに、「南朝鮮当局が気がかりでならないはずの次のわれわれの計画についてもこの機会に暗示するなら、次の対敵行動の行使権はわが軍隊の総参謀部に手渡そうとする」としながら「わが軍隊やはり、人民の憤怒を多かれ少なかれ静められる何かを決心して断行すると信じている」と軍事的報復を示唆した。

2020年06月14日 15時54分 デイリーNKジャパン

https://news.nifty.com/article/world/korea/12240-694016/

北朝鮮が今後取り得る選択肢-南北共同連絡事務所の爆破後

 北朝鮮は韓国の脱北者団体による体制批判ビラ散布に反発し、韓国への強硬姿勢をエスカレートさせた後、16日には開城工業団地内の南北共同連絡事務所を予告通り爆破した。北朝鮮の挑発行為はさらに続く可能性がある。

 北朝鮮は米軍の介入を招く可能性が高い措置や、中国の怒りを買う行為は避ける見通しだ。北朝鮮が今後取り得る選択肢としては、以下が考えられる。

さらなる破壊行為

  北朝鮮の金剛山観光地区に韓国側が建設した観光施設が破壊される可能性がある。金正恩朝鮮労働党委員長は同地区を訪れた昨年10月、こうした施設を「災害地の仮設テント」のようだと評し、撤去を指示した。ホテルのほか、レストランやショッピングモールなどが併設されている同施設は南北経済協力のシンボルとして1998年にオープンした。

  しかし2008年、立ち入り禁止区域に入り込んだ韓国人観光客の女性が北朝鮮兵に撃たれて死亡する事件が起きた後、北朝鮮は韓国側に同施設を明け渡すよう要求。現在まで10年余り施設は閉鎖されている。韓国の文在寅大統領は営業再開を求めてきた。

部隊の展開

  部隊の展開は既に始まろうとしている。北朝鮮は南北共同連絡事務所を爆破する数時間前に、朝鮮人民軍を韓国との軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)に再度進出させる計画を検討していると表明。17日には、開城と金剛山地区に部隊を展開すると明らかにした。また、平壌共同宣言を受け撤去されたDMZ内の監視哨所を再び設置するとした。

オリンピック

  18年冬季五輪平昌大会の開会式で韓国と北朝鮮の選手団は統一旗を掲げて合同で入場行進を行った。しかし、来年の東京五輪で合同行進を行えるかどうかは不透明だ。昨年、両国は国際オリンピック委員会に対し、合同行進のほか、幾つかの競技で合同チーム結成を検討していると伝えた。しかし、北朝鮮が韓国との連絡を断絶した今となっては、五輪を巡る詰めの作業はほぼ不可能だ。

ミサイル配備

  19年以降、北朝鮮は米軍基地を含め、韓国全土を射程に入れる短距離弾道ミサイルの幾つかのタイプを試射してきた。金委員長の下で開発されたこれら固体燃料ミサイルは従来型のミサイルよりも配備しやすいほか、地下やトンネルなどに隠すのも容易だ。その1つが核弾頭搭載可能で、米迎撃ミサイルを突破できる公算が大きい「KN-23」だ。金委員長は長距離ミサイル発射は控える一方で、韓国に圧力を加えるため短距離兵器プログラムを加速する可能性がある。

武力行使

  これは最も高リスクの選択肢だが前例がある。最も良く知られているのが、10年に起きた韓国哨戒艇への魚雷攻撃だ。この事件では乗組員46人が死亡した。さらにこの数カ月後、北朝鮮は韓国西方沖の延坪島を砲撃し、兵士と民間人がそれぞれ2人死亡した。今後、北朝鮮の攻撃により韓国側に死者がでれば、同胞愛を理由に南北融和を唱えてきた文大統領ら進歩派の姿勢が一変する可能性がある。

原題:Kim May Have More Targets After Blowing Up Korea Liaison Office(抜粋)

2020年6月17日 13:28  ブルームバーグ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-19/QC6TLODWX2PS01

 それにしても、なかなか興味深いところである。

あえて言っておくが、北朝鮮は、一君主による独裁の封建制ではなく、一政党による独裁であって、朝鮮労働党によるものである。もちろん運用規則などが細かく定まっていないので、かなり恣意的に物事が決められているが、一応議会制(労働党の党大会などがある)であって、独裁ではない。つまり、金正恩委員長がいなくなれば、そのことに関しては、何らかの会議があるということになる。

ある意味で戦前の日本を考えてみればよい。天皇主権であったが、実質的には帝国議会があり、その上に枢密院があった。つまり議会は「諮問機関」というようなことになっていたが、実際のところ、天皇がすべてにおいて命令したのではない。書類上などはそのようになっていたとしても、大正天皇や、昭和天皇がすべてを決めていたとは思えない。大東亜戦争においても、実際に独裁を行ったのは軍部であり、その軍部であっても議会の中において、様々な意見があったが、その意見に関しては軍部が5・15事件や2・26事件によって封殺していたのであり、それでも近衛文麿内閣など、軍部とは異なる融和路線を行う内閣があった。現在の北朝鮮や中国共産党のように、一党独裁になるのは大政翼賛会ができてからのことであり、天皇主権といいつつも、天皇は実質的に判断を下したことは少ない。最終的に天皇陛下が御聖断を下したのは終戦の時ではなかったかと思われる。

このように考えれば、たぶん北朝鮮の金正恩委員長も同じような構造になっていると考えられる。もちろん並列に考えることに関して、日本の保守派の人々からは不敬であるとお叱りを受けるかもしれないが、あくまでも便宜的に現在の問題を解決するためにもっとも日本人がwかありやすい例を挙げたまでであるとお許し願いたい。

そのうえで、現在の北朝鮮の政治を考えるには「枢密院」「議会(内閣)」「軍部」ということを考えなければならず、その少数の人々の人間関係と意思決定によって金正恩委員長が行ったかのように見せていると考えるべきであろう。そして、少し調べれば、その枢密院に当たるところが「朝鮮労働党組織指導部」であるところであるということがわかる。つまり、北朝鮮の政治は、金正恩が死んでいようが重病であろうが、この組織指導部に異変がない限り変わらないと考えるべきであろう。逆に言えば、北朝鮮ウオッチャーというのは、この組織指導部の動きをしっかりと見ていなければならないわけであり、金正恩の一挙手一投足を見る必要はない。

そのうえで、金与正は、元組織指導部の副部長であり、その影響力は大きい。そして、この金与正と組織指導部が「韓国に対して許さない」というようなことに変わったということに他ならないのであろう。そのうえで、共産主義国というのは、一党独裁であることから「間違った」洗濯はしてはならない。つまり、国民をずっとだまし続けなければならないので、嘘であったり間違ってあったりしても、その内容をなんとなく気付かぬうちに引っ込めて新たな前進を言わなければならない。戦時中の「大本営発表」と同じである。その意味で見ればこのコメントはどのように受け止めるのであろうか。

、「南朝鮮当局が気がかりでならないはずの次のわれわれの計画についてもこの機会に暗示するなら、次の対敵行動の行使権はわが軍隊の総参謀部に手渡そうとする」としながら「わが軍隊やはり、人民の憤怒を多かれ少なかれ静められる何かを決心して断行すると信じている」と軍事的報復を示唆した。<上記より抜粋>

つまり、「北朝鮮側は誠心誠意韓国と融和を模索したが、韓国が誠実な対応をしなかったために、自分たちは軍事的な選択肢をとらざるを得ない」ということであり、その戦隊ウが間違えていないということを示さなければならない。そのうえで、「人民の憤怒」を治めるために何かを決断するということになる。まさに韓国がすべて悪者であり、北朝鮮は菅子l区に騙されたと発表しているのである。

このままゆけばたぶん軍事的な対立になるであろう。問題はその規模である。その規模によっては日本にも影響があることになる。その時どうするのか、政府も日本国民もよく考えるべきであろう。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

0コメント

  • 1000 / 1000