「宇田川源流」 訃報 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの父、横田滋さん力尽きる

「宇田川源流」 訃報 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの父、横田滋さん力尽きる

 まず何よりも横田滋さんの死去を受け、お悔やみを申し上げるととともに、謹んでご冥福をお祈りします。

さて、横田滋さんといえば、私自身ラジオ番組で数回ご一緒したことがある。実際にマスコミやテレビというのは、非常に残酷でなおかつ人間の一面しか切り取らないものであり、横田滋さん、早紀江さん夫婦に関して、その個性やその人間性などを全く報じることなく、すべて横田めぐみさんと拉致事件そして、北朝鮮との関係しかないかのように報じてしまう。

私自身、新聞社にいながらその内容に関して非常に疑問に思っていたのである。人間というのは、そのような一面性だけですべてではないのである。そのように考えた場合、それ以外のところをしっかりと伝え、そして普通の人間としての一面を見なくてはいけないのではないか。

私が滋さんとご一緒したのは、もう10年くらい前のことであろうか。まだ私が政治に関して様々な活動をしていた時期のことである。滋さんは、北朝鮮のことや政治のこと、政府のこと(当時は民主党が政権をとっていた時代であった)などを話していたが、滋さんの一言に私も驚かされた。

「政府とか、政治とか、そういうことではないんです。親が自分の娘に会いたい、そんな当たり前のことをするのに、なぜ政府とか政治とか、国際問題とかそんなことを気にしなければならないのですか。そんなことをすべて抜きにして、めぐみに会いたい、それだけなんです。」

この言葉を聞いた時に、日本の報道空間のゆがみや北朝鮮への運動、それは与党も野党も、当時の政権も今の政権も様々な人々が様々な思惑を拉致被害者の人々に押し付けてきたのではないかという気がするのである。


横田さん妻「整理つかない」

 横田滋さんの死去を受け、妻早紀江さんが息子とともに報道機関向けに発表したコメントは次の通り。

     ◇

 先日から入院していた夫の横田滋が本日(令和2年6月5日)午後2時57分、老衰のため息を引き取りました。

 これまで安倍総理大臣をはじめ多くの方々に励ましやご支援をいただきながら、北朝鮮に拉致されためぐみを取り戻すために、主人と二人で頑張ってきましたが、主人はめぐみに会えることなく力尽き、今は気持ちの整理がつかない状態です。

 報道関係者の皆様におかれましては、主人との最後の時間を大切に過ごし、心安らかに見送ることができますよう自宅及びその周辺・葬儀会場及びその周辺における取材や写真撮影はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。お電話での取材もご遠慮願います。

 葬儀等終了後に、改めてご報告の機会を設けたいと存じますので、それまでは何卒、私共の心情をお察しいただき、御配慮のほど宜しくお願い申し上げます。

令和2年6月5日

横田早紀江

横田拓也、哲也

2020年06月05日 20時11分 毎日新聞

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0605m040293/


安倍首相、拉致進展なく「断腸の思い」=横田滋さん死去で

 安倍晋三首相は5日夜、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの帰国を果たせないまま、父滋さんが死去したことを受け、「断腸の思いだ。本当に申し訳ない思いでいっぱいだ」と述べた。その上で「拉致被害者の帰国を実現するため、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していかなければならない」と改めて決意を示した。東京都内の私邸前で記者団に語った。

 首相は「滋さんとは本当に長い間、ともに闘ってきた」と述懐。2002年の拉致被害者5人の帰国時を振り返り、「写真を撮っていた滋さんの目から涙が流れていたことを今でも思い出す。滋さんがめぐみさんを抱きしめることができる日が来るよう全力を尽くしたが、首相として実現できなかった」と悔やんだ。

 死去の一報が流れたのは、首相が執務を終えて首相官邸を出る直前だった。首相はこの際、記者団の問い掛けに答えなかったが、私邸へ帰宅後に取材に応じた。

 滋さんは「拉致問題の象徴」(外務省幹部)とみられてきただけに、拉致問題解決を最重要課題と位置付けてきた政権内には衝撃が広がっている。2月には拉致被害者有本恵子さんの母、嘉代子さんも亡くなっており、進展の糸口をつかめない首相に対する批判が強まる可能性もある。 【時事通信社】

2020年06月05日 21時43分 時事通信

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-684982/


 あまり安倍首相個人を批判しようとは思わない。しかし、別な意味で、事実として純粋に娘に会いたいとして活動して、なおかつ安倍首相にその思いを託してきた横田滋さんの思いを遂げることができなかったということの批判は受けるべきである。

小泉純一郎首相の時代であるから今から17年前であったか、安倍晋三氏が官房副長官であった時以来、この北朝鮮の問題に取り組み、これだけの時間をかけて、うまくいかなかったという結果に対して、他の国民は様々なことを言う資格はないと思うが、横田滋さん、早紀江さんからの批判は甘んじて受けるべきであると思う。

また、このことを政治問題にしたり、あるいは、政局に使ったり、あるいは、北朝鮮批判に使ってきた人々も大きくこれを機会に反省すべきではないか。

北朝鮮との間の交渉を行い、そしてその交渉の行方を見守らなければならないものであり、北朝鮮とつながっている朝鮮総連などの人々がいる中で、声高に政府批判を言い、なおかつ理想論を掲げ、いたずらに威勢のいいことばかりを言い、物事を複雑化させたのは、まさに、この人々の重い責任であると考える。

そもそも「共産主義国家」である。その国家のシステムなどがどうなっているのか、そういうことをわかっているのか。そしてその交渉の現場がどのようなものか知っているのか、そのようなことも全く知らず、無責任な言論で様々なチャンスを壊してきたことは間違いがない。

そのことが、この日まで親子再会を果たすことができなかった一つの大きな理由であろう。そのようなことではなく、妥協するところは妥協し、どうやって親子が再開できるかを考えるべきではなかったか。そのことはしっかりと反省して、今後の活動にしてもらいたい。北朝鮮の政治問題や核問題と親子再会は、同じでありながら全く違う事件で考えないとならなかったのではないか。

そして最後に、「拉致はなかった」と最後まで、それも五人の拉致被害者が帰国した後も長々とネット上に論文に掲載していた政治家とその政治家と一緒の政党にいながら全く批判の声を上げなかった議員や支援者、秘書などの関係者。今回もたぶん恥も外聞もなく、お悔やみを言いこのことを政局論争に使い、そして、政治的な活動を行い政権批判を行うのであろう。

しかし、国民の多くは、この人々が、もっとも拉致問題を複雑化し、なおかつこの時まで間に合わせなかった首謀者、または共犯であることを知っている。そしてそのことを知りながら報道しないマスコミも北朝鮮と同罪である。彼らは反省どころではなく、謝罪すべきでありなおかつこのことに関して語る資格はない。あえて誰とは言わぬが、しかし、この者たちが政局にこの問題と横田さんの死を使うことを許してはならないのではないか。

報道関係者の皆様におかれましては、主人との最後の時間を大切に過ごし、心安らかに見送ることができますよう自宅及びその周辺・葬儀会場及びその周辺における取材や写真撮影はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。お電話での取材もご遠慮願います。<上記より抜粋>

この言葉の意味は何なのか。報道陣にだけ当てられたものなのか。多くの人がしっかりと考えるべきではないか。

(写真は中山恭子議員とともにラジオ番組に出演した時のものです)

宇田川源流

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