「宇田川源流」 一国二制度の民主主義の地「香港」の終焉と習近平中国共産党の横暴で「これでも中国を信じる人がいるのか?」の声に日本はどのように答えるのか
「宇田川源流」 一国二制度の民主主義の地「香港」の終焉と習近平中国共産党の横暴で「これでも中国を信じる人がいるのか?」の声に日本はどのように答えるのか
「香港返還の日」つまり1997年7月1日、実は私が中国に初めて行った日である。ちょうど北京に降り立った私は、その派手な状況と、あまりにも無秩序な人々に驚いたことを今でも記憶している。
1982年9月には首相マーガレット・サッチャーが訪中し、ここに英中交渉が開始されることになった。サッチャーは同年6月にフォークランド紛争でアルゼンチンに勝利して自信を深めていたが、鄧小平は「香港はフォークランドではないし、中国はアルゼンチンではない」と激しく応酬し、「港人治港」の要求で妥協せず、イギリスが交渉で応じない場合は、武力行使や水の供給の停止などの実力行使もありうることを示唆した。当初イギリス側は租借期間が終了する新界のみの返還を検討していたものの、イギリスの永久領土である香港島や九龍半島の返還も求める猛烈な鄧小平に押されてサッチャーは折れた恰好となった。香港の「高度の自治」を明記した1984年の中英連合声明について、1997年の返還から50年間適用されるとされていたが、2014年11月に駐英中国大使館が、「今は無効だ」との見解を英国側に伝えていたことが明らかとなった。
さてこのことから香港の民主化運動は過激化し、これに対して中国政府の弾圧も苛烈化することになる。世界が注目する中で、「いつ第二の天安門事件が起きるのか」というようなことになっているのと、「中国はイギリスとの返還時の公約を守ることのできない国である」ということが徐々に浸透している。ここにおいて、中国は金で買収する子おtになり、「金で魂を撃った人々」が中国の淡河に向かうような状況になるということになっている。
そのような状況の中において、今回2020年5月21日からの全人代において、「国家安全法」が制定されるに至った。多くの国は「これで自由の地香港は終わった」というような感想を持ち、民主派の抵抗は今後より大きなものになると観測されている。
中国、香港に「国家安全法」導入か 「香港の終わり」と民主派反発
中国は21日、扇動や破壊行為を禁止することを目的とした、新しい国家安全法を導入する方針を示した。民主化を求める活動家らからは、実際に導入されれば香港の高度な自治が脅かされ、「香港の終わり」を迎えることになるのではとの懸念が上がっている。
中国では22日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期されていた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開幕する。ここで、国家安全法について協議するという。
アメリカは同法の導入は香港の自治における中国の義務を非常に不安定にし、弱体化させる可能性があるとしている。
同法の支持者は、昨年香港で勃発した政治的抗議行動における暴力に対抗するために必要だと主張している。反対派は、香港の基本的自由を排除するために使われるのではと不安視している。
香港区議会選、民主派が地すべり的勝利
なぜ国家安全法が物議を醸しているのか
イギリスは1997年に香港を中国に返還した。以来、香港は「一国二制度」政策と「高度な自治」を守ってきた。
しかし民主化活動家らは、香港の自治が中国によって弱体化しつつあると感じている。
昨年香港では、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をめぐり、数百万人もの人が7カ月にわたって街中で抗議し、次第に暴力的になっていった。この法案は立法会(議会)での審議が中断された後、最終的に正式に撤回された。
「一国二制度」を支える、香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」では、香港政府は国家安全保障法の制定を義務づけられている。しかし2003年の国家安全条例案には約50万人が反対し、廃案となった。
だからこそ、国家安全法を強行成立しようとする試みにこうした激しい怒りが巻き起こっている。ある議員は21日、「これは香港で、中国への返還後で最も物議を醸している問題」だと述べた。
中国政府が有権者によって選ばれた香港の議員を飛び越えて法改正できることが、これほどまでに扇動的な状況を生んでいる原因だと、BBCのロビン・ブラント中国特派員は指摘する。
民主化活動家たちは、「香港特別行政区基本法」で定められている言論の自由を訴える抗議行動を封じ込めるために、国家安全法が利用されるのではないかと危惧している。中国でも、共産党に反対する人を黙らせるために使われている法律があるからだという。
反対派の反応
香港・民主党の胡志偉主席(党首)を含む、香港の多数の民主化推進派は、今回の中国の発表は「一国二制度」の死も同然だと述べた。
公民党の郭榮鏗議員は、「実際に導入されれば『一国二制度』は正式に抹消されるだろう。香港の終わりだ」と述べた。
同じく公民党の陳淑莊議員は、「香港史上、最も悲しい日」だと付け加えた。
学生の民主化活動家で民主派政党「香港衆志」の黄之鋒氏は、中国政府による企ては「香港人の批判的な声を力と恐怖で黙らせる」ためのものだとツイートした。
イギリス統治時代に香港の最後の総督を務めたクリス・パッテン氏は、中国の試みは「香港の自治に対する包括的な攻撃」だと述べた。
英外務省報道官は、中国が「香港の権利と自由、そして高度な自治を尊重すること」を期待していると述べた。
こうした中、米国防総省は「香港の人々の意思を反映しない国家安全法を導入しようとする試みは、状況を非常に不安定なものにし、強い非難を受けることになるだろう」と述べた。
ドナルド・トランプ米大統領は、中国が最後までやり通すのであれば、アメリカは強固な対応を取るだろうと述べたが、詳細は明かさなかった。
アメリカは現在、貿易や投資における香港の優遇特権を延長するかどうかを検討している。今月末までに決定しなければならない。
中国の立場
全人代の複数関係筋によると、中国政府はもはや、香港が独自の国家安全法を制定するのを待つことも、暴力的な反政府運動と中国政府がみなす抗議行動が拡大するのを見続けることもできないという。
ある情報筋は香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、「我々はこれ以上、国旗を冒涜(ぼうとく)したり、香港特別行政区の区章を傷つけたりするような行為を許せない」と述べた。
全人代の張業遂報道官は全人代開幕に先立ち、国家安全法の導入について言及した
中国政府はまた、9月の香港立法会選挙を恐れているのかもしれない。昨年11月の香港区議会選の時のように民主派が大きく議席を伸ばせば、中国の法案が妨害される可能性があるからだ。
全人代の張業遂報道官は21日、国家安全法の導入について言及した際、一国二制度を「改善」するものだと説明した。
「国家安全保障は、この国の安定を支える基盤だ。国家安全保障を守ることが、香港の同胞を含むすべての中国人の基本的利益になる」
全人代では国家安全法の導入が協議された後、来週に採決が行われる見通し。その後、来月の全人代常務委員会での手続きを踏む必要がある。
中国国営の英字紙チャイナ・デイリーは社説で、国家安全法は「国家安全保障に挑戦する者は必然的に自分たちの行動の責任を負うことになる」ことを意味しているとした。
香港最大の親中派政党「民主建港協進連盟(DAB)」は、「近年香港で急速に悪化する政治状況に対応するため」の法案を「完全に支持する」と述べた。
親中派議員のクリストファー・チュン氏はロイター通信に対し、「この法案の制定は必要であり、早いに越したことはない」と述べた。
香港の自治性
香港はかつて、150年以上にわたってイギリスの植民地だった。
イギリスと中国は1984年に、「一国二制度」の下に香港が1997年に中国に返還されることで合意した。香港は中国の一部になるものの、返還から50年は「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになった。
「一国二制度」を支える「香港特別行政区基本法」の期限は2047年に切れる。
香港市民には、表現の自由など、中国本土ではみられないような権利が保障されている。
しかし、中国政府には香港の政治体制への変更を拒否する権限がある。香港の行政長官は中国政府によって任命される。
(英語記事 China security law 'could be end of Hong Kong')
2020年05月22日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/52750504
香港は一国二制度ということで、中国国内でありながら香港は行政の仕組みが違うとされている。その香港の「憲法」ともいえるものが香港特別行政区基本法問法律が出てくる。基本法第23条では、香港特別行政区は反逆、国家分裂、反乱扇動、中央人民政府転覆、国家機密窃取のいかなる行為をも禁止し、外国の政治的組織または団体の香港特別区における政治活動を禁止し、香港特別行政区の政治的組織または団体の、外国の政治的組織または団体との関係樹立を禁止する法案を自ら制定しなければならない、ということが定められている。つまり「中国共産党(北京)がこれらのことを定めることは香港基本法に違反している」ということになるのだ。香港の立法会は、長年、同法の導入を試みてきたが、表現の自由や報道の自由などの権利を脅かすものだとして市民の反対は強く、2003年に国家保安法の施行が試みられた際には50万人が参加する大規模なデモも発生した。当然に香港の行政院はいまだにその法律に関して行っていないということになるのである。
さて、ここにあるように、2003年、なぜこれが大きな問題になったのであろうか。2003年、SARSが流行し、そのことによって中国が香港の行政に介入したのである。そのことによって香港の人々は、香港の自由が失われるとしてSARSよりも香港行行政区基本法の23条導入に反対し50万人のデモが発生したのである。
さて、今回新型コロナウイルスによって様々な問題が発生した。そもそもそれ以前に香港の行政長官選挙や行政委員選挙の問題について、昨年夏には多くのデモが拡散したように、様々な内容が行われていたと考える。香港の民主化が脅かされているという恐怖感になってきている。ましてや2003年の時はSARSでどさくさに紛れて行ったというような感じになっており、昨年までの一連の民主化運動の根本になっているのである。そしてまた混乱したコロナウイルスでの、「中国共産党側での国家安全法の制定」であり、香港行政基本法にもまた、民主化の状況でもごり押しであるという感じです。
このことは一つのは香港が火がついているということ、もう一つは米中関係がおかしくなっており、それだけ共産党内部における習近平の地位が安定していないということもある。その内容がそのまま香港にしわ寄せがきているということになる。
さてこのように書けば「チベットもウイグルも同じ」というようなことを言う人が日本国内にも少なくない。しかし、根本的に発信力が異なる。ということは「その香港の発信力」を使うことよって様々な国が呼応するということになる。アメリカはさっそく香港の件で中国に制裁する問うことを表明している。イギリスもどうするかということになろう。間違いなく今後の米中関係や中国をめぐる世界情勢の中心の一つが、香港になることは間違いがない。
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