「宇田川源流」 香港デモの変化を見逃すな!中国共産党とデモ隊の変化こそがこの問題の悲劇的結末を予想させる
「宇田川源流」 香港デモの変化を見逃すな!中国共産党とデモ隊の変化こそがこの問題の悲劇的結末を予想させる
先日、友人から「なぜ宇田川は香港のデモに関してコメントをしないのか」というようなことを聞かれた。確かに、私はある考えがあって、香港のデモをあまりコメントをしていない。いつも師事いただいている河添恵子さんなどは、香港のデモに関してかなり強く様々な主張をされているし、またそのほかの人々も香港のデモを応援したり、あるいは民主化を望む声を届けているような人も少なくない。もちろん、某政党のように、必要以上に肩入れをしてしまって少々ボーンヘッド気味に話題になるところもあるが、いずれにせよ民主化のデモに関して関心があるとしていることは間違いがないのである。
私自身、香港の民主化は重要であるし、また、今の中国の南シナ海の「不法占領政策」を見て入れば、その中間になる香港をどのようにするかということが非常に大きな意味があることは間違いがない。
しかし、そのデモの本質がなんとなくずれてきているのではないかというような気がしている。
もちろん一部の過激な人間たちがいたり、あるいは共産党側がわざと大げさに行動をして何か別なことを誘発しようとしている部分はある。しかし、デモ隊そのものも大きくずれてきているのではないか。
そのことを感じたのは2014年の雨傘革命のリーダーとされる三人の逮捕である。その前からなんとなく違うのではないかというような感覚を持っていた。しかし、それが今回徐々に決定的になっている感じがする。デモそのものが、なんとなく仕組まれていて、共産党が「反共産党のあぶり出し」に使っているのではないか。または軍隊をうまく入れる口実を作っているだけではないかという気がしてきているのである。それが決定的になったのが先日の日曜日8日のデモの「アメリカコール」と「アメリカ領事館への行進」である。
香港で数万人デモ 「USA」コールも 米議会に「人権法案」可決求める
【香港=西見由章】香港中心部で8日、香港の自治を守る「香港人権・民主主義法案」の可決を米議会に求めるデモ行進が行われ、数万人が参加した。香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が「逃亡犯条例」改正案の正式撤回を表明した4日以降で最大規模のデモとなり、政府への抗議活動は収束する兆しがみえない。
同法案は香港の自治や自由を損なった当局者らに米国が制裁を科す内容で、米議会で近く審議が始まる可能性がある。デモ参加者らは米国旗を掲げ、「法案通過を」「香港に自由を」などとシュプレヒコールを上げながら在香港米国総領事館まで行進、職員に請願書を手渡した。警察当局はデモ行進を許可した。
デモ隊の中には、逃亡犯条例改正案を批判したペロシ米下院議長の写真を持った人も。行進では「ペロシ」「USA」コールも起きた。
デモに参加した男性エンジニアの陳さん(26)は「米議会で法案が成立すれば、少なくとも香港政府と中国政府に圧力をかけることができる」と期待を寄せた。写真家の男性(42)は「トランプ米大統領はあまり香港の人権問題は重視しないかもしれないが、米議会は信じたい」と話し、「デモがあまりに過激化しない限り、抗議活動の勢いは続くだろう」と予測した。
デモ行進の終了後、現場近くの地下鉄・中環(セントラル)駅ではデモ隊の一部が構内の施設を破壊し、出入り口に放火した。別の駅付近では警官隊がデモ隊に向けて催涙弾を発射するなど、双方の衝突が連日続いている。
民主派やデモ隊は、逃亡犯条例改正案の撤回だけでなく警察の暴力行為に対する独立調査委員会の設置や普通選挙の実現などの「5大要求」をすべて香港政府が受け入れるまで、抗議活動を継続させる方針を示している。
2019年09月08日 21時54分 産経新聞
https://news.nifty.com/article/world/china/12274-398002/
そもそも、香港は「イギリス領」であった。そこで今までは「イギリスと共産党の香港返還時の約束である一国二制度を維持すること」が目的であったはずだ。当然に、雨傘革命などにおいてもイギリスが中心になってコメントを発表している。現在イギリスがブレグジットでかなり問題を抱えているとはいえ、外交上の内容を全く出来ないわけではない。イギリスも、中国の南シナ海での不正に抗議し、アジアに空母艦隊を派遣しており、その空母艦隊が香港に入ったりあるいは中国にイギリスの情報部が何らかの影響力を及ぼすことはまだ可能なはずである。
しかし、なぜか「アメリカ」なのである。
実際に現在中国の習近平政権に対して、かなり強く接しているのはアメリカであるしまたアメリカが唯一といっていいほどに中国とのバランスを持つ国になっている。
しかし、それだからといってイギリスに対する感情を捨ててまたはイギリスと中国の約束事という「契約概念」を捨てて、アメリカに依存するというのはいかがなものであろうか。
「米議会で法案が成立すれば、少なくとも香港政府と中国政府に圧力をかけることができる」と期待を寄せた。<上記より抜粋>
このようなことを言ったところで、実際にアメリカが台湾に関して議会で様々な法案を決めても中国は全く変わらない。つまり、中国を変えるためには中国共産党の内部を変えなければならないのである。そのような状況の時に、なぜ香港は「ウイグルやチベットやモンゴルとの連携ができないのか」「なぜ、アメリカを頼るのか」ということが非常に大きな疑問になる。
一方中国共産党は、日本を引っ張り出そうとしている。なぜ周庭女史を逮捕し、18時間で拘束を解いたのであろうか。単純に日本、そしてその後ろにいるアメリカを引っ張り出し、デモ隊がアメリカの工作によるということをうまく演出し、そのうえで、アメリカとの対抗上で経済戦争も一気に解決しようというようなことをしているのではなかろうか。
アメリカそのものと戦うのではなく「米中貿易戦争の出先機関である情報部をアメリカとつながっているということ対抗し、アメリカ黒幕説を作り出して中国国内をうまくまとめ上げる」ということをしたいに違いない。そのようにすることで、香港の中を「アメリカ派とイギリス派に分断」し、「経済戦争を一つの戦争またはテロと位置付けて軍隊を入れる」ということを考えているのだ。
同時に、参加人数の問題がある。さすがに200万人は多すぎる。では何人であれば軍隊を動かすのか。ここにまた中国の外交の巧みなところが混ざっている。中国共産党政府は40万人を下回った部分で、軍隊をいつでも投入するというような覚悟がある。なぜ40万人なのか。40万人とは中国が主張する「南京大虐殺」の被害者人数であり、それよりも少なければ、アメリカと日本を非難しながら鎮圧に乗り出すことができるというようなことになっているのである。
つまり、デモ隊は「イギリス」「民主主義」「人権」を主張し、そして40万人を超える支持者をつけておかなければならない。その意味で5台要求の1つを撤回し、なおかつその内容をうまくやっている。撤回しながらも軍隊を引いていないのはまさにそのような事情なのである。
このように考えると、様々なことが見えてくるのではないか。
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