「宇田川源流」 イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻における「兵器による分類」と中国の影

「宇田川源流」 イエメンフーシ派のサウジアラビア侵攻における「兵器による分類」と中国の影

 日本ではお盆休みで、「煽り運転」が話題になっている真っ最中に、諸外国では様々な問題が大きく動いている。実際に日本というのは、自分の半径数キロメートルのことしかあまりニュースを見ない。世界は大きくつながっているのに対して、その世界の趨勢を知ろうとせず、何かあれば誰かに頼るというような感覚しかない。最後に頼る相手がいなくなれば「神頼み」なのである。

このことは、単純に日本人の批判をしているというものではなく、日本人そのものがそのような状況で生活をしながら、それでも発展を維持できているということが、一つの大きな内容になっているということが挙げられる。つまり、それだけ政治がしっかりと機能しており、また国民がそれをうまく享受しているということになる。その状況こそ日本の国民性であり、だれもが政治を目指しているのではなく「足ることを知る」ということができているのではないか。

それにしても、日本のすべてのニュースが煽り運転をトップニュースで扱っているということ自体が、何とも「平和な国」の象徴でしかないのではないか。まあ、それだけ国際関係なども何も全く見ていない。しかし、それでも国際社会はさまざまに動いているということになるのである

その「世界の動き」の中の一つをちょっと垣間見てみよう。

日本の石油は現在90%近くを中東それもアラビア半島を中心に輸入している。アラビア半島の一つはイラン側で「ホルムズ海峡」を通らなければならない状態になっている。このホルムズ海峡沖で、6月に安倍首相がイラン訪問にしているとき、タンカーが襲撃されたことは記憶に新しい。もう一つは、「バブ・エル・マンデブ海峡」である。アラビア半島とアフリカの間である。この海峡がモーゼの十戒のモデルとなった海が割ける場所であるといわれているが、まあその辺は別にする。

そのホルムズ海峡がかなり問題になっているのは、融資連合などの問題が非常に大きい。しかし、このバブ・エル・マンデブ海峡も、出ればすぐにソマリアであるし、もう一つのアラビア半島側には、内戦が激しいイエメンがあるのだ。


イエメン分離派が大統領宮殿占拠 内戦混迷、クーデターと暫定政権

 【カイロ共同】内戦が続く中東イエメンの南部アデンで10日、南部の分離独立を主張する「南部暫定評議会」(STC)がハディ暫定大統領の宮殿などを占拠した。複数の現地報道が伝えた。アデンに拠点を置くハディ暫定政権は「クーデターだ」と非難する声明を出した。両者は内戦で親イラン武装組織フーシ派と戦ってきたが、情勢はさらに混迷を深めそうだ。

 内戦はハディ氏を支えるサウジとアラブ首長国連邦(UAE)が15年に軍事介入して泥沼化してきた。STCはUAEの影響下にあるとされ、サウジとUAEの間に溝ができる可能性もある。イエメンは1990年の統合まで南北に分裂していた。

共同通信2019年08月11日08時10分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2019081101001142?fm=topics

サウジ油田を武装勢力が攻撃

 【カイロ時事】イエメンの反政府武装組織フーシ派は17日、サウジアラビア東部のシャイバ油田に対して無人機10機で大規模な攻撃を加えたと主張した。サウジ国営石油会社サウジアラムコは、声明で「限定的な火災が起きたが、負傷者はなく、操業にも影響はない」と強調した。

 同油田は、サウジと共にイエメン内戦に軍事介入しているアラブ首長国連邦(UAE)との国境に近い。フーシ派が拠点を置くイエメン北部から油田までは直線距離で1200キロ程度あり、サウジの重要施設にミサイルや無人機で攻撃を続けるフーシ派の脅威が高まっている。 【時事通信社】

2019年08月17日 23時43分 時事通信

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-374737/

 フーシ派は、イエメン北部サアダ県から発展し、北部を拠点に活動するイスラム教シーア派の一派ザイド派の武装組織である。1990年代にイエメン北部を基盤とするザイード派宗教運動「信仰する若者」が発展し、フセイン・バドルッディーン・フーシ師が中核となるが、2004年9月に治安当局により殺害され、「フーシ派」と呼ばれるようになる。スローガンは「神は偉大なり。アメリカに死を。イスラエルに死を。ユダヤ教徒に呪いを。イスラムに勝利を」であり、イランとの連携してイエメンの内戦やサウジアラビアとの国境紛争、そしてイスラエルへの攻撃を行っている。このフーシ派を支援しているのが、すでに有料メルマガで紹介したイランのゴドスである。

2017年11月以降、複数回にわたり周辺国へ弾道ミサイルを発射した。サウジアラビアに向けとして少なくとも2度発射。1度目はキング・ハーリド国際空港を狙い、2度目はサウジ南西部のハミースムシャイトに向けてたものとなったが、いずれも目的には命中せず、サウジアラビア政府はミサイルを撃墜したと発表した。

そのフーシ派が、イエメンの王宮を占拠し、そして、サウジアラビアの攻撃をしている。特にシェーバー油田は、地図で見ればわかるがUAEの国境沿いであり、かなりの長距離をドローンが飛んだのか、あるいは、どこかほかの基地から発信したのか。いずれにせよイランホルムズ海峡とイエメンを含めアラビア半島南部と、その周辺の海峡に関しては、かなり大きな問題になっているのである。

イエメンのドローンがサウジアラビア南部を飛行し、なおかつ爆撃攻撃を行い、そのまま戻ることができるということを意味しており、その内容は、ほかの海の標的やオマーン・UAEなどを攻撃できるという攻撃能力の保有を意味しているということになるのである。

そしてそのドローンがイランから出ているということが問題になっており、また、そのドローンは中国製である。

ドローンの問題は、一つは「そのドローンがハッキングされた場合は、だれが飛ばしているのかわからない」ということを意味しているのであり、その場合は、「製造者中国人民解放軍」も大きな問題になる。

まさにこの事件は、「中東におけるアメリカ陣営と中国陣営の武器による分類化」を意味しているということになり、そのことが日本の今後のエネルギー政策や、インド洋政策に非常に大きな影響を及ぼすことになる。そして、今後の戦争は単純に軍艦やミサイルだけではなく、「ドローンを動かす電波周波数帯の戦争」になってくる、ある意味で「周波数の奪い合いと、サイバーの戦争」が出てくるのではないかということになる。日本も「いつの間にか巻き込まれている」というような状況になるのではないか。

その準備をしているとともに、日本における「IT企業」の多くもその辺をどのように動かすかということを考えなければならない。

宇田川源流

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