「宇田川源流」【日本報道検証】Z世代に何が流行したか「トレンドアワード」
「宇田川源流」【日本報道検証】Z世代に何が流行したか「トレンドアワード」
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。
さて今回は、たまごっちやモンチッチなど、私が若いころに流行っていた内容が今頃になってZ世代に流行しているという「昭和・平成レトロ」ということに関して私に様な昭和半ば生まれのオジサンが話をしてみたいと思います。若者とは全く異なる感覚を持っているのかどうか、その辺を見て、ある意味で毎日のこの年末の忙しい時期、また様々な問題が山積している中での「閑話休題」としていただきたいと思います。
さて、先週は「流行語大賞」に対して、このブログで取り扱ったのであるが、残念ながら巷でもあまり聞いたことがない内容ばかりであり、本当に流行しているのか、そもそも流行語大賞そのものが必要なのかということを話題にした。
この「Z世代トレンドアワード」は、キーボードアプリ Simeji が、Z世代(13?28歳)6,779名を対象に実施した、「今年Z世代の間で本当に流行ったヒト・モノ・コト・顔文字」 を総まとめする大型調査であるという。Z世代の日常会話・SNS・推し活・ミーム文化がどのように広がったかを可視化する、いわば “Z世代のリアルな文化年鑑” のような企画であるという。
2025年の年間トレンド大賞は「ビジュイイじゃん」(M!LK『イイじゃん』の一節)だそうで、TikTokで 93万件超 の投稿に使用されたものだそうだ。残念ながら全くわからない。この辺がオジサンである。
ヒト部門大賞は長浜広奈(“おひなさま”)ということで、恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』出演で人気になった人だという。「ひな? やったー!」「両手に男でーす」などの“おひなさま語録” がSNSでミーム化したというが、まったく知らない。
モノ部門大賞LABUBU(POPMART)、中国発のアートトイブランドの人気キャラ。海外アーティストやインフルエンサーがバッグに付けて拡散 「ブサカワでクセになる」とのことである。ただ、この中にぬいぐるみを持ち歩く “ぬい活” の象徴になり、たまごっち・モンチッチなど昭和・平成キャラの再ブームも話題になり、Z世代の「レトロ×エモ」「ぬい活」文化が背景にあるという。
Z世代トレンドの特徴(2025年版)は
1. 音源ミームの強さTikTok発日常会話へ広がる流れがさらに加速。「ビジュイイじゃん」はその典型。
2. 語録・切り抜き文化の成熟、おひなさま語録のように、キャラ性 × ミーム化しやすさ が人気の鍵。
3. レトロ回帰 × ぬい活たまごっち・モンチッチなど、親世代の文化が「エモい」と再評価される傾向。
4. 自己肯定・ポジティブ表現の浸透、「ビジュイイじゃん」のように、褒め合い・肯定し合う文化 がZ世代の価値観として定着。
ということのようだ。
<参考記事>
たまごっち、モンチッチ……昭和・平成の大ヒット商品が再ブーム 「Z世代トレンドアワード2025」
2025年12月07日 08時00分リアルライブ
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12184-4754640/
<以上参考記事>
レトロがZ世代にとって魅力的なのは、まず「時間の手触り」を取り戻すためです。彼らが育った世界は、常に更新され続けるタイムラインの中にあり、情報もトレンドも、昨日のものが今日にはもう古い。そんな高速の世界では、何かを「積み重ねる」感覚が希薄になりがちです。そこで、昭和や平成のアイテムが持つ“ゆっくりと熟成された時間”が、逆に新鮮に映るのです。たまごっちやモンチッチのような存在は、彼らにとって「時間が流れても変わらないもの」の象徴になっています。
もうひとつ大きいのは、レトロが「安心できる物語」を提供してくれる点です。Z世代は、社会不安や気候危機、国際情勢の緊張といった“未来の不確実性”を幼い頃から肌で感じてきました。未来が見通しにくい時代には、人は過去にある“確かだったもの”に手を伸ばします。レトロ文化は、彼らにとって「未来への不安を一瞬忘れさせてくれる避難所」のような役割を果たしているのです。
さらに、Z世代の思考には「編集する楽しさ」が深く根付いています。彼らは、与えられたものをそのまま受け取るのではなく、組み合わせたり、意味をずらしたり、文脈を遊んだりすることに喜びを感じます。レトロなアイテムは、その“編集可能性”がとても高い。古いキャラクターを現代のファッションに合わせたり、昭和の家電をミームとして再解釈したり、平成のガジェットをあえて最新スマホと並べて使ったり。レトロは、彼らの創造性を刺激する「素材」として機能しています。
そして最後に、レトロ回帰は「世代間の橋渡し」でもあります。Z世代は、親世代や少し上の世代と価値観が大きく異なると言われますが、レトロ文化はその断絶を埋める共通言語になりつつあります。親がかつて大切にしていたものを、子どもが新しい文脈で愛し直す。そこには、世代を超えた対話の芽が潜んでいます。Z世代は、単に過去を懐かしむのではなく、過去を“再利用して未来を作る”という姿勢でレトロを扱っているのです。
こうして見ていくと、Z世代のレトロ回帰は、過去への逃避ではなく、むしろ未来を生き抜くための戦略のようにも見えてきます。高速で変化する世界の中で、彼らは「変わらないもの」「編集できるもの」「つながりを生むもの」を選び取り、自分たちの文化を再構築している。レトロは、そのための豊かな資源になっているのです。
Z世代は、政治を“重厚な制度”としてではなく、“編集可能な物語”として捉える傾向があります。レトロ文化はその感覚を後押ししています。昭和・平成のアイコンやメディア表現を、彼らはそのまま懐かしむのではなく、ミーム化したり、別の文脈に置き換えたりして遊びます。この「文脈をずらす」感覚は、政治に対しても働きます。つまり、レトロ回帰は、政治を“権威として受け取る”のではなく、“素材として読み替える”というZ世代特有の態度を強化しているのです。
次に地方の商店街、古い建物、昭和の看板、平成初期のゲームセンター。これらは長く“時代遅れ”とされてきましたが、Z世代にとっては「宝の山」です。彼らは、古いものを「保存すべき遺産」としてではなく、「自分たちの手で再編集できる素材」として扱います。その結果、古い銭湯をリノベしたカフェが若者で賑わったり、昭和の看板をそのまま活かした写真スポットが地域の新しい顔になったり、平成レトロのゲーム機を置いた“エモい”スペースが観光資源になったりする。地域文化が「過去の遺物」から「未来の資源」へと転換されているのです。これは「地域記憶の再編集」とも響き合っています。Z世代は、地域の歴史を“固定された物語”ではなく、“参加型の素材”として扱う。その態度が、地域文化の再生に新しい回路を開いています。
興味深いのは、レトロ回帰が政治と地域文化の間に“新しい接点”を生みつつあることです。従来、政治は「制度」や「政策」の領域で語られ、地域文化は「生活」や「記憶」の領域で語られてきました。しかしZ世代は、この境界を自然に横断します。古い商店街を守ることが、単なるノスタルジーではなく、「地域のアイデンティティを再編集する政治的行為」として理解される。昭和の建物を残すか壊すかという議論が、文化政策と都市計画の交差点として、Z世代の関心を引き寄せる。
レトロ回帰は、政治を“遠い制度”から“自分たちの生活圏の編集権”へと引き寄せる働きをしているのです。
Z世代は、未来に対して慎重で、同時に創造的です。気候危機、国際情勢、経済不安。未来が不透明だからこそ、彼らは過去を“素材”として未来を作り直そうとする。
レトロ回帰は、未来への不安を「創造のエネルギー」に変換する回路として機能しています。政治意識においては、「制度は変えられないもの」ではなく、「編集可能なもの」として捉える態度につながる。地域文化においては、「衰退する地方」ではなく、「再編集可能な文化資源」として見直す視点につながる。レトロは、Z世代にとって“過去の復元”ではなく、“未来の素材”なのです。
さて、オジサンからすれば、レトロブームは「懐かしい」ということであり、その使い方はある意味で今のZ世代よりもはるかにこちらの方が知っているのである。まあ、我々が若いころに、安保騒動や戦争の話を聞いたのと同じことなのかもしれないが、しかし、ある意味でネットのようなデジタルに乖離して、人間らしさを取り戻しているZ世代ということがあるのかもしれない。
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。
さて今回は、たまごっちやモンチッチなど、私が若いころに流行っていた内容が今頃になってZ世代に流行しているという「昭和・平成レトロ」ということに関して私に様な昭和半ば生まれのオジサンが話をしてみたいと思います。若者とは全く異なる感覚を持っているのかどうか、その辺を見て、ある意味で毎日のこの年末の忙しい時期、また様々な問題が山積している中での「閑話休題」としていただきたいと思います。
さて、先週は「流行語大賞」に対して、このブログで取り扱ったのであるが、残念ながら巷でもあまり聞いたことがない内容ばかりであり、本当に流行しているのか、そもそも流行語大賞そのものが必要なのかということを話題にした。
この「Z世代トレンドアワード」は、キーボードアプリ Simeji が、Z世代(13?28歳)6,779名を対象に実施した、「今年Z世代の間で本当に流行ったヒト・モノ・コト・顔文字」 を総まとめする大型調査であるという。Z世代の日常会話・SNS・推し活・ミーム文化がどのように広がったかを可視化する、いわば “Z世代のリアルな文化年鑑” のような企画であるという。
2025年の年間トレンド大賞は「ビジュイイじゃん」(M!LK『イイじゃん』の一節)だそうで、TikTokで 93万件超 の投稿に使用されたものだそうだ。残念ながら全くわからない。この辺がオジサンである。
ヒト部門大賞は長浜広奈(“おひなさま”)ということで、恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』出演で人気になった人だという。「ひな? やったー!」「両手に男でーす」などの“おひなさま語録” がSNSでミーム化したというが、まったく知らない。
モノ部門大賞LABUBU(POPMART)、中国発のアートトイブランドの人気キャラ。海外アーティストやインフルエンサーがバッグに付けて拡散 「ブサカワでクセになる」とのことである。ただ、この中にぬいぐるみを持ち歩く “ぬい活” の象徴になり、たまごっち・モンチッチなど昭和・平成キャラの再ブームも話題になり、Z世代の「レトロ×エモ」「ぬい活」文化が背景にあるという。
Z世代トレンドの特徴(2025年版)は
1. 音源ミームの強さTikTok発日常会話へ広がる流れがさらに加速。「ビジュイイじゃん」はその典型。
2. 語録・切り抜き文化の成熟、おひなさま語録のように、キャラ性 × ミーム化しやすさ が人気の鍵。
3. レトロ回帰 × ぬい活たまごっち・モンチッチなど、親世代の文化が「エモい」と再評価される傾向。
4. 自己肯定・ポジティブ表現の浸透、「ビジュイイじゃん」のように、褒め合い・肯定し合う文化 がZ世代の価値観として定着。
ということのようだ。
<参考記事>
たまごっち、モンチッチ……昭和・平成の大ヒット商品が再ブーム 「Z世代トレンドアワード2025」
2025年12月07日 08時00分リアルライブ
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12184-4754640/
<以上参考記事>
レトロがZ世代にとって魅力的なのは、まず「時間の手触り」を取り戻すためです。彼らが育った世界は、常に更新され続けるタイムラインの中にあり、情報もトレンドも、昨日のものが今日にはもう古い。そんな高速の世界では、何かを「積み重ねる」感覚が希薄になりがちです。そこで、昭和や平成のアイテムが持つ“ゆっくりと熟成された時間”が、逆に新鮮に映るのです。たまごっちやモンチッチのような存在は、彼らにとって「時間が流れても変わらないもの」の象徴になっています。
もうひとつ大きいのは、レトロが「安心できる物語」を提供してくれる点です。Z世代は、社会不安や気候危機、国際情勢の緊張といった“未来の不確実性”を幼い頃から肌で感じてきました。未来が見通しにくい時代には、人は過去にある“確かだったもの”に手を伸ばします。レトロ文化は、彼らにとって「未来への不安を一瞬忘れさせてくれる避難所」のような役割を果たしているのです。
さらに、Z世代の思考には「編集する楽しさ」が深く根付いています。彼らは、与えられたものをそのまま受け取るのではなく、組み合わせたり、意味をずらしたり、文脈を遊んだりすることに喜びを感じます。レトロなアイテムは、その“編集可能性”がとても高い。古いキャラクターを現代のファッションに合わせたり、昭和の家電をミームとして再解釈したり、平成のガジェットをあえて最新スマホと並べて使ったり。レトロは、彼らの創造性を刺激する「素材」として機能しています。
そして最後に、レトロ回帰は「世代間の橋渡し」でもあります。Z世代は、親世代や少し上の世代と価値観が大きく異なると言われますが、レトロ文化はその断絶を埋める共通言語になりつつあります。親がかつて大切にしていたものを、子どもが新しい文脈で愛し直す。そこには、世代を超えた対話の芽が潜んでいます。Z世代は、単に過去を懐かしむのではなく、過去を“再利用して未来を作る”という姿勢でレトロを扱っているのです。
こうして見ていくと、Z世代のレトロ回帰は、過去への逃避ではなく、むしろ未来を生き抜くための戦略のようにも見えてきます。高速で変化する世界の中で、彼らは「変わらないもの」「編集できるもの」「つながりを生むもの」を選び取り、自分たちの文化を再構築している。レトロは、そのための豊かな資源になっているのです。
Z世代は、政治を“重厚な制度”としてではなく、“編集可能な物語”として捉える傾向があります。レトロ文化はその感覚を後押ししています。昭和・平成のアイコンやメディア表現を、彼らはそのまま懐かしむのではなく、ミーム化したり、別の文脈に置き換えたりして遊びます。この「文脈をずらす」感覚は、政治に対しても働きます。つまり、レトロ回帰は、政治を“権威として受け取る”のではなく、“素材として読み替える”というZ世代特有の態度を強化しているのです。
次に地方の商店街、古い建物、昭和の看板、平成初期のゲームセンター。これらは長く“時代遅れ”とされてきましたが、Z世代にとっては「宝の山」です。彼らは、古いものを「保存すべき遺産」としてではなく、「自分たちの手で再編集できる素材」として扱います。その結果、古い銭湯をリノベしたカフェが若者で賑わったり、昭和の看板をそのまま活かした写真スポットが地域の新しい顔になったり、平成レトロのゲーム機を置いた“エモい”スペースが観光資源になったりする。地域文化が「過去の遺物」から「未来の資源」へと転換されているのです。これは「地域記憶の再編集」とも響き合っています。Z世代は、地域の歴史を“固定された物語”ではなく、“参加型の素材”として扱う。その態度が、地域文化の再生に新しい回路を開いています。
興味深いのは、レトロ回帰が政治と地域文化の間に“新しい接点”を生みつつあることです。従来、政治は「制度」や「政策」の領域で語られ、地域文化は「生活」や「記憶」の領域で語られてきました。しかしZ世代は、この境界を自然に横断します。古い商店街を守ることが、単なるノスタルジーではなく、「地域のアイデンティティを再編集する政治的行為」として理解される。昭和の建物を残すか壊すかという議論が、文化政策と都市計画の交差点として、Z世代の関心を引き寄せる。
レトロ回帰は、政治を“遠い制度”から“自分たちの生活圏の編集権”へと引き寄せる働きをしているのです。
Z世代は、未来に対して慎重で、同時に創造的です。気候危機、国際情勢、経済不安。未来が不透明だからこそ、彼らは過去を“素材”として未来を作り直そうとする。
レトロ回帰は、未来への不安を「創造のエネルギー」に変換する回路として機能しています。政治意識においては、「制度は変えられないもの」ではなく、「編集可能なもの」として捉える態度につながる。地域文化においては、「衰退する地方」ではなく、「再編集可能な文化資源」として見直す視点につながる。レトロは、Z世代にとって“過去の復元”ではなく、“未来の素材”なのです。
さて、オジサンからすれば、レトロブームは「懐かしい」ということであり、その使い方はある意味で今のZ世代よりもはるかにこちらの方が知っているのである。まあ、我々が若いころに、安保騒動や戦争の話を聞いたのと同じことなのかもしれないが、しかし、ある意味でネットのようなデジタルに乖離して、人間らしさを取り戻しているZ世代ということがあるのかもしれない。
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