「宇田川源流」【現代陰謀説】 スパイの基本はヒューミント
「宇田川源流」【現代陰謀説】 スパイの基本はヒューミント
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。現代に生きる陰謀を見ながら、報道の中からファクトお読み取り、そのうえで、その内容をいかに考えてゆくのか、またそれを見抜くのかということを練習する内容である。
さて、今回は記事が非常に長いので、前置きは簡単にしておこうと思うが、世の中の陰謀論やネットの中には「スパイ」とか「工作員」というような単語を簡単に使う人が少なくない。まあ、きもちはわからないでもないが、本物を見分ける力があるのであろうか。実際に「本物のスパイ」や「工作員」がどのような人でありどのようなものであるのか、接触したこともないような人々が、そのようなことを言っていても、あまり意味がない。まあ、「それくらいで大騒ぎするくらいならば、日本人は大したことがない」と相手に思われてしまっているというのが、本当のところであろう。
一応、「本物」というのは何回もあったことがある。国籍は、中国や北朝鮮、ロシア、アフガニスタン、イスラエルなど、さまざまである。長く生きていて、海外の経験なども少なくないと、本当に信じられないことは少なくない。このような状況ならば、「フツーのサラリーマンであればもっと楽だったのになあ」と思うことは少なくない。同時に、その話を警視庁や警察庁の公安担当者にお話ししたこと、情報提供の協力をしたことも何回もある。ネットで騒いでいる人はそのような経験もないのであろうから、まあ幸せな人々である。
さて、ではどんなものなのか。
少なくとも記事を見た範囲で、当たり障りのないところだけを記事にしている内容が出てきているのであり、なかなか興味深い。逆に、このような内容も、記事になるくらいであれば、本当に日本は平和であるのと同時に「スパイ天国」である。まあ、「知らないことほど強いことはないし、幸せなこともない」というのが現状であろう。
<参考記事>
長い諜報の歴史を持つイギリスの情報機関。上流階級ネットワークを駆使し「紳士的」と形容されてきたけれど…CIAとは「特別な関係」も
2025年10月23日 6時30分 婦人公論.jp
https://news.livedoor.com/article/detail/29834543/
<以上参考記事>
現代の情報収集に関しては以下のように分類される。
人と人が話をして情報を収集する「ヒューミント(HUMINT:Human intelligence)」
通信や電子信号を傍受する事で情報を得る「シギント(SIGINT:Signals intelligence)」
赤外線や放射能、空気中の核物質といった科学的な変化をとらえる事で情報を収集する「マジント(MASINT:Measurement and Signatures intelligence)」
偵察衛星や偵察機によって撮影された画像を継続的に分析する事で情報を得る「イミント(IMINT:Imagery intelligence)、」
新聞・雑誌・テレビ・インターネットなどのメディアを継続的にチェックしたうえで、書籍・公刊資料を集めて情報を得る「オシント(OSINT:Open source intelligence)」
というように分類される。
今、日本で最も重宝されているのは、シギントまたはマジントであろう。日本というのは、なぜか「エビデンス」を求めることが多い。そもそもっ最先端情報にエビデンスなどは存在しないのであり、その情報をせっかく持ってきても「エビデンスで確認できないので不採用」などということが往々にしてありうるのである。はっきり言って情報に関するアンテナが低すぎてしまう。エビデンスがあるということは、すでに様々な人々がその情報に触れていて、なおかつ記録を取ることができる時間が経過している古い情報ということになる。その古い情報を得て「情報」と喜んでいるのだから、はっきり言ってバカではないかと思ってしまう。
そのうえ、日本の場合は「持ってきた情報を精査しない」ということになる。通常情報というのは、「嘘」を言われることや「表現を盛る」などということは十分にありうる。しかし、本当に情報の仕事をしている人であれば「嘘」の方が情報が多く含まれていることを知っているのである。
真実であれば、「その真実の情報」一つしか知ることができず、その背景情報などを知ることはできない。しかし、「嘘」を疲れた場合は、「嘘」と「真実」という二つの情報が初めから存在し、なおかつ「嘘を言わなければならない状態」ということが初めから想定される。つまり、相手が自分たちを見ている「見方や関係性」もわかる。それだけではなく「このような嘘ならば相手が騙されるに違いない」と思っているので、相手が自分たちに対する情報の力やその騙されるであろうという予想した内容、そしてその方向性が見える。つまり相手がこちらの国民性や文化などの信じやすい環境がどのようなものと認識しているかも見える。そのうえ、その内容を追求すれば、「何故うそをつかなければならなかったか」という事情も見えてくるし、また、「誰が嘘を流せと命じたか」などの指揮命令系統も見えてくるのである。つまり真実よりも多くの情報が嘘の中には入っているということになる。
そもそも他人の情報に対して「それは嘘だ」などとしてしまう人は、インテリジェンスの資質は全くないということであり、日本では、そのように相手の情報を否定する人が陰謀論を語っていることに大きな間違いがあるのだ。
さて、この情報の中で最も英米の情報機関が重要視するのが「ヒューミント」である。まずは早いし、様々な形に変形している。そのうえで、向こうが様々な内容を混ぜているので、様々な情報が入っており、なおかつ、情報の他の資料にないという特徴があるからである。単純に言って「嘘」「ここだけの話」が全て情報であるということになり、常にその内容が見えているということにあるのである。その情報機関の二つは仲が良く、今でも情報のやり取りを行っている。もちろん自分の国益をもとに、情報を出すのであって、なんでも出してしまうというものではない。しかし、そのヒューミントが報告書となって残っているということになるのである。
日本との「情報空間」「インテリジェンス環境」が全く異なるということになる。
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