「宇田川源流」【現代陰謀説】 中国における正常な経済活動がスパイと認定されるようになる
「宇田川源流」【現代陰謀説】 中国における正常な経済活動がスパイと認定されるようになる
毎週金曜日は陰謀説の日である。毎週現在進んでいると思われる陰謀に関して、その陰謀の内容をしっかりと解説している。逆に、世の中で「陰謀論」といわれることの中で、まあ、どうにもならないような内容をすべて排除するということを目標としている。何でもかんでもどこかの団体やユダヤ人の陰謀というような話をしていても、あまり大きな意味はない。そのような陰謀論を語ることそのものが陰謀論であるというようなことになっているのであるが、本人たちは「自分こそ陰謀を暴いた」として、大きな陰謀を仕掛けている人の「駒」となってガセネタを吹聴しているということになる。まあ、どうにもならないとしか言いようがない。
さて、陰謀の主役といえば、様々な団体や国家などが存在するのであるが、実際にはその実行犯が存在するのが普通である。その実行犯というのは、工作員とかスパイと言われる人々の事を言う。スパイというと日本では、娯楽映画の007シリーズをイメージする人が多い。それだけ日本人というのは映画なごの作品に影響されやすいということであり、マスコミ等に感化されやすいのであるが、当然それらは作品、つまり作り物でしかなく、本物とは似ていても、全く違うという場合が少なくない。実際に、イギリスで007の映画を見た情報部MI6の職員は、映画はあくまでも娯楽作品であり、映画のように街中でカーチェイスや、銃撃戦をやり、基地らしい所で大爆発をおこせば、翌日の新聞のトップになりすぐに懲戒であると笑つていたと、BBCが報じている。逆に言えば、それほど繊細で厳しい仕事であり、陰謀論者が言うような計画的なものではないのである。他人の心を動かすのは、それほど難しい事であり、例えば身近な異性の心もままならないので恋愛小説という分野が成立するのだが、敵国のそれも見ず知らずの集団を動かす事が、そんなに簡単にできるはずがない。陰謀論は、そのような失敗まで計算しているかのごとき ありえない話をまことしやかに言うのである。
<参考記事>
【独自】中国高官「スパイ活動」異例警告 日本の経済界に、企業は萎縮も
9/26(金) 共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/964c924fdbc5d716dcd8bb326563d84ab93814b8
<以上参考記事>
中国では2013年の習近平体制発足以降、国家安全保障を最優先課題に据え、情報統制と法規制の強化が加速しています。2014年に制定された反スパイ法は、習政権の下で改正を重ね、特に2021年末から2024年にかけて「国家安全や利益に関わる文書・データ・物品」の取得・保管・提供などを対象に新たに定義し直しました。これにより、従来の「軍事・外交情報」に加え、経済や技術データ、サプライチェーン情報なども“国家機密”として扱われるリスクが浮上している。
こうした立法改正の背後には、対米・対西側諸国との緊張激化があり、ハイテク覇権争いやサプライチェーン分断を巡る対立が深まったことで、企業活動そのものが「情報戦」の一環と位置づけられています。外国企業の出資・調査・連携プロジェクトは、いったん疑いをかけられると身柄拘束や長期取調べ、最悪は刑事手続きに直結するケースが増た。
さらに、公的機関や地方政府が反スパイ法を「恣意的に」運用しやすい実態も顕在化しています。法令上、どの行為がスパイに当たるか明示されておらず、携帯電話やPCの検査強化、企業訪問者へのQ&A、面談記録の提出要求といった手段を駆使することで、警戒対象を拡大している
では習近平政権のリスクを分析してみる。
まずは対外投資・貿易環境の冷え込みという点について言えば、中国の法的リスクが高まるほど、外国企業は事業継続や投資判断を躊躇している。結果として、中国への直接投資が減少し、域内経済成長率の下振れ要因となる恐れがある。またそれに伴って国際的信用失墜とサプライチェーンの再編があげられる。スパイ摘発の常態化は「透明性の欠如」を世界に印象づけ、米欧日などの企業や政府が中国を迂回するサプライチェーン構築を進める一因になっている。長期的には中国製品の国際競争力低下を招きかねない。
当然に海外との関係が悪化すれば、国内統治強化による反発と社会的分断がおきる。反スパイ法運用の恣意性は、政府批判を抑え込む手段としても機能します。市民や民間専門家、ビジネスリーダーへの監視・取締が強まることで、社会の自浄作用やイノベーション創出力が損なわれるリスクが指摘されている。
そして政権の出口戦略欠如ということがあげられる。ハイリスクな情報統制と摘発強化は短期的には政権支持を固めますが、対外的孤立を深める中で、経済成長鈍化や失業増加、民衆の不満顕在化を招きかねません。適切な出口戦略がないまま抑圧を続けると、長期的な政権基盤の脆弱化を招く恐れがある。
中国では外資系企業やその駐在員に対し、国家安全保障を理由に「反スパイ法」を適用しやすい環境が続いている。2023年3月、アステラス製薬の日本人社員(50代男性)が北京で国家安全当局に拘束され、「スパイ活動」にあたるとして反スパイ法違反容疑で身柄を長期拘束された事例が発端である。
中国の反スパイ法は2014年制定以降、2023年・2024年にかけて改正拡大が続き、「国家機密」に該当する情報の定義や、「提供」「取得」「漏洩」などの行為も極めて曖昧に規定されている。写真撮影や取材、社内会議記録の共有といった通常業務の一部まで「スパイ行為」に該当し得る状態である。
2025年7月、北京の第二中級人民法院は、アステラス製薬社員(60代男性)に対し、スパイ活動を行ったとして有罪判決(実刑6か月)を言い渡しました。公判は非公開で、具体的にどの情報提供行為をもって「国家機密」を侵害したかも明らかにされていない。
こうした事例を踏まえ、日本人従業員が現地では
・ 業務での写真撮影
・ 政府関係者との面談内容収集
・ 技術データやサプライチェーン情報の整理
・ SNS上の公的発表やニュースのリサーチ
・ 社内会議資料の現地持込・共有
などを行うだけで、「国家安全を脅かす情報収集」と見なされるリスクがあるとされる。
その対抗策として下記のようなことがあげられている。
・ 事前研修とガイドライン整備
中国の法制度(特に反スパイ法)の要点、疑われやすい行為を全駐在員・出張者に必須教育し、チェックリスト化する。
・ 業務透明化と記録の徹底
訪問先、目的、収集情報の種類・利用用途を社内システムに登録。メール・ログ・面談記録を保管し、「公的情報のみを取り扱った」証拠を残す。
・ 法務・危機管理体制の強化
中国現地の法務アドバイザーや危機管理専門企業と契約し、拘束・被疑発生時の緊急連絡フローと弁護体制を構築。
・ 日本大使館・領事館との連携
渡航前に義務的な「在留届・渡航届」を提出し、定期的に領事館へ行動予定を共有。緊急時には最優先で支援を求められる体制を確立する。
・ 内部統制と機器管理
会社支給の端末に情報収集アプリやカメラ制限を設定し、無許可撮影や不特定多数へのデータ送信を技術的に禁じる。
・ 業界団体・商工会の情報共有
日中商工会議所や業界団体と連携し、同業他社の事例・最新の拘束動向をリアルタイムで収集。必要ならば共同で外務省へのロビーイングを行う。
・ 危機発生時の広報・外交協調
メディア対応マニュアルを用意し、不確定情報のリークや独自取材による誤報を防止。政府ルートを通じた人道的解放要請や、安否確認を速やかに連携して進める。
しかし、そもそもこのようなことを注意しなければならないということ自体が、「正常な経済活動ができない」ということなのではないか。そのような国との経済交流を考えること自体が、大きな問題なのである。
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