「宇田川源流」【日本報道検証】 あまりにも外交をわかっていない石破首相の国連演説を検証

「宇田川源流」【日本報道検証】 あまりにも外交をわかっていない石破首相の国連演説を検証


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、「あまりにも外交をわかっていない石破首相の国連演説を検証」と題してその内容を見てみましょう。

日本時間で9月23日の国連総会の演説で、日本の石破首相が演説した。首相は第二次世界大戦の体験者が減る中で「国際社会は再び分断と対立に向かっている」と指摘。「全体主義や無責任なポピュリズムを排し、偏狭なナショナリズムに陥らず、差別や排外主義を許さない、健全で強じんな民主主義」の重要性を呼びかけた。その上で、「土台になるのは、過去を直視する勇気と誠実さ、人権意識の涵養(かんよう)、使命感を持ったジャーナリズムを含む健全な言論空間、他者の主張にも謙虚に耳を傾ける寛容さを持った本来のリベラリズムだ」と述べ、リベラリズムの必要性を説いた。

政治的リベラリズムと保守主義は、伝統と変革、秩序と自由、共同体と個人といった二項対立で語られることが多いものの、両者の間には連続性や補完関係も存在しする。歴史的文脈や社会問題によって両潮流は交錯し、新たな政策イノベーションを生み出す契機ともなり得る。現代社会では、多様な価値観や利害が複雑に絡み合っており、単一のイデオロギーに偏るのではなく、リベラルの個人自由・平等への志向と保守の社会的安定・連続性への配慮をバランス良く統合する視点が、持続可能な政治を構築する鍵となるのではないか。

いずれにせよ、保守を標榜するアメリカのトランプ政権と、石破内閣は、政治的に決定的に異なる立場であり「日米黄金時代」等は全くの「同床異夢」であったことがよくわかるのではないか。

<参考記事>

石破首相、国連総会で「本来のリベラリズム」訴え 排外主義に危機感

9/24(水) 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c38b3746074ab40c4c67fe493b100883e4951574

<以上参考記事>

 このことをアメリカのトランプ支持者で、ホワイトハウスにも出入りする人物に話を聞いた。

「核の傘で守ってもらい、NATOが皆防衛費を5%に挙げているところで、同じロシアの隣国で中国もいるのに、防衛費に関しても台湾有事の場合も一切表明しない。それならばアメリカに核の傘は必要ないと言えばよいのに、それを国連でわざわざ言うという事でしょ。そのうえ、自分の国の国防がアメリカの核の傘で守られて成立しているということを理解しないで、国連の安全保障理事会の改革を訴えたんでしょ。まずは日本の安全保障を考えるべきでしょうね。ちなみに、あまり言いたくないけど、まだ国連では日本は敵国になっているのよ。なぜ日本が軍隊がないのか、そういうこともしっかりと認識していなければならないのに国連改革でしょう。まあ、多くの国はどう思ったかしらね。でもそのことはトランプは何も言わなかった。

 それに、MAGAをポピュリズムと称してトランプ大統領の政治を否定しバイデンの主張するリベラリズムを推進すべきと言い、そのうえニューヨークタイムズやカーク氏をおちょくったテレビと裁判しているトランプ大統領に向かってジャーナリズムを応援すると言い出したんでしょ。トランプからすれば、自身を全否定したんだから、そりゃ怒るだろうね。」とのことである。

 一方イスラム関係はどうであろうか。パレスチナについて話をしていたが、それは国際的に立会を得ているのであろうか。こちらはインドネシアのイスラム教徒で、学問的な立場のある人物に話を聞いた。

「今回石破氏が言及したアブラハム合意などということが出てくるとは思わなかった。アブラハム合意は、多分石破の言っているのは、2020年8月にイスラエルとUAE、バーレーン、スーダン、モロッコが貿易、技術、医療、観光など経済の拡大と、それに基づく宗教的な相互理解の推進ということを言っていた条約であり、アメリカが仲介したものである。それと同時に、イスラエルとUAEがアメリカと協力してイランと対抗するということを目的に軍事協力を行うものであり、それがイスラエルとイランの対立を大きくし、またハマスの暴発を招いたのである。

 そのような中東の現状を全く石破は理解していないという事であろう。

 アブラハム合意の拡大を2年間ほとんど行っていなかったと発言しているが、それは、アブラハム合意の内容が中東で対立を招くものであり、適さないからである。その事情も全く分かっていないばかりではなく、日本は今後イランとの和平や非核化の交渉で表に出ることができなくなったのではないか。

戦争している国に対して、こんなことを言うのか。石破が戦争の現実を全くわかっていないということであり、こんなことを発言する前に、自分の目でイスラエルとガザに足を向けるべきであろう。

 多くの中東諸国がなぜハマスを支援しないのか、宗教的な内容などは全くわかっていないならば、わかっていないというべきであろう。

 日本は、イスラム諸国が頼れない国であると宣言したのに近い。これは多分アフリカ北部のイスラム国もすべてが同様に考えるのではないか。

 インドネシアは民主主義である。しかし、民主主義が平和を推し進めるといった瞬間に、サウジアラビアのムハンマド皇太子やイランのハメネイなどは、反発するであろう。石破の中では共産主義国(ロシア・中国・北朝鮮など)が念頭にあるのかもしれないが、世界では王国も多くありまた宗教的な国も少なくない。そもそもイスラム国においてシャリーア(イスラム法)がどのようにして決まっているのか、彼は全く理解していない。

 多分、ナイジェリアやエジプトなど、国連演説で自慢していたTICAD参加国も、皆呆れているであろう。

 イラク戦争・湾岸戦争・アフガニスタン戦争を見てわかるように、民主主義は万能ではないし、また、民主主義を無理矢理押し付けることが、かえって平和を乱すことになる。そのことを石破はわかっていないのではないか。

 人の意見を現場に行って聞かないから、現場のことわからないで、わかったふりをして発言するから、石破は任期途中でやめることになったのではないか。国連演説でそう感じた。

 ちょっと、今回の内容はひどすぎる。

 次の日本の首相が、石破のこのような考え方を引き継ぐようならば、イスラムはすべて反発することになるし、また、ASEANは日本に不快感を持つことになる。」

アメリカにも、またイスラム教徒の間でも、今回の石破首相の国連演説は評判が悪い。それだけ石破外交は外交の実情も、世界の情勢も、そして世界が日本をどのように見ているかも全くわからずに話をしていたということなのであろう。単純に「辞めることが決まって自己満足で国連の部隊で好き勝手な個人的な意見を話した」ということでしかないのかもしれない。そうであるならば、かなりの迷惑でしかない。

石破演説を、多くの国が聞いていなかった。辞める首相であるから聞く価値がないと判断された。それが唯一の救いであったのかもしれない。

宇田川源流

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