「宇田川源流」【現代陰謀説】 ドイツの保守系議員が中国から買収されていたが日本は大丈夫か?
「宇田川源流」【現代陰謀説】 ドイツの保守系議員が中国から買収されていたが日本は大丈夫か?
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。現在このように普通に生きている中で、今まさに動いている陰謀ということを、現在公開されているニュースの中からその内容が見いだせるニュースをピックアップし、そしてその中にある「陰謀」を暴きだしてみたい、という内容である。もちろんニュースだけでは完全に不足していることから、それ以上の知識などが総動員されなければならないが、このブログではそこまでしようとは思っていない。それよりも「このような読み方をすれば、陰謀を読み分けることができる」ということをこの場で示したいと思っている。実際に、完全に見分けることは難しくても、ニュースの読み方を見てゆけばよいのではないかということとを考えている連載である。
さて、陰謀というのは基本的には「戦争」に直結することが少なくない。結果論ではそのように物事がみえる。実際は「相手の国を、自国の思い通りにコントロールする」ということがあり、その場合、相手の国の事を考えて行うのではなく、自国の利益のために相手の国を使う、場合によっては相手国の政権を崩壊させるというようなことにつながるので、そのことが露見した場合に両国の関係は悪化し、その結果、「戦争」に繋がってしまうということがある。
もちろん、善意による他国の介入というものがあるが、だいたいの場合、国の価値観が異なるのであるから、その価値観そのものを押し付けた結果を求められた場合、その内容が大きな問題として出てくることになるのではないか。またそのように外部からコントロールされていたことが明らかになれば、その外部勢力は当然に反発を覚えるということになる。
そしてそのような陰謀の前には、相手国を観察するということが必要になる。その上で「戦争を覚悟した観察」を最後に行う必要がある。秘密兵器や、隠れた何かがあった場合は、戦争になって被害を被る可能性があるからだ。そのように考えれば、「陰謀を仕掛ける前」と「陰謀の終盤」のにかい、よく相手国を観察する必要があることは間違いがない。
<参考記事>
独極右議員 中国側から収賄?
2025年09月12日 05時26分時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-4487712
<以上参考記事>
2025年4月、ドイツ連邦検察庁は極右政党AfD所属の国会議員秘書が、中国政府系の組織から数万ユーロ規模の資金提供を受け、不透明なルートで送金を重ねていたとして逮捕した。同席した議員本人は「知らなかった」と釈明したが、捜査当局は秘密裏に行われた資金移動の背後に北京の統一戦線部門が関与している疑いを強めている。
この事件は単なる政治献金スキャンダルにとどまらず、「中国が欧州主要国の内部を分断し、自らの覇権構想を実現するためのグレイゾーン戦争(ハイブリッド戦争)の一環」と見ることができる。民主主義の手続きを内部から攪乱し、敵を弱体化させつつ最終的に自陣営主導の多極的国際秩序へ移行させる長期戦略の一端である。
1972年の国交樹立以来、中国はドイツを「欧州の工業ハブ」と位置づけ、貿易投資を通じて関係を深化させてきた。2000年代以降は「一帯一路」構想に伴い、独自の貿易フォーラムやインフラ融資を活用し、エネルギー・自動車産業への影響力を強めている。
毛沢東時代のイデオロギー輸出から転じ、習近平体制下では「統一戦線部」が海外の政治家・企業家・華僑ネットワークを対象に接近工作を展開。表向きは文化交流や学術協力を装いながら、裏ではロビー資金の提供や情報収集を行う二重戦略を確立した。
同様の手口はフランスやイタリアでも摘発例がある。2023年にはフランス議員が中国企業からの寄付を巡り議会倫理委で問われ、2024年にはイタリア北部港湾における中国国営企業の権益拡大を巡る情報操作が問題化した。
逮捕された秘書が受け取った資金は、香港やシンガポールのオフショア口座を経由し、仮想通貨取引所を使って匿名化した後ユーロ建てで議員個人口座に流入した。その後「日中交流促進団体へのコンサルタント料」と偽装され、月次で継続的に送金されていた。
捜査では表向き中国文化交流を手掛けるNGOが関与していたが、背後には党統一戦線部直属とみられる「欧州華僑連合会」が存在。資金調達は中国国内の省級政府と大手国有企業が拠出し、対外渉外のフロントとして機能していた可能性が高い。
ドイツ連邦検察は①資金源の特定、②議員本人への贈収賄適用、③提供側の組織犯罪化の三点を立証の柱とし、並行して欧州刑事警察機構(Europol)との情報共有を加速している。
中国共産党は伝統的に「三戦(情報戦・心理戦・法的戦)」を統合し、対象国社会を多層から攻撃する。
情報戦としてSNSやビッグデータ解析を活用し、AfD支持層に向けて「中国は西洋のエリート支配に抗う盟友」といったメッセージを微調整しつつ拡散。
心理戦として秘密資金で開かれたクローズドの講演会や懇親会で、議員やスタッフの「忠誠心」を巧みに揺さぶり、批判的態度の抑制と依存関係の深化を図った。
法的戦としてダミー企業を盾にドイツ国内で度重なる訴訟を仕掛け、捜査や公聴会の遅延を誘発。情報公開手続きや証人招致を混乱させることで、被疑側の疲弊を狙う手法である。
AfD秘書買収は、中国の大局観における「グレイゾーン戦」の一要素。背後には以下の長期戦略が透けて見える。経済的な従属性を用いて、欧州企業への直接融資やインフラ投資でサプライチェーンを再編し、政治的譲歩を引き出す。またデジタル制御圏の構築をもってデジタル人民元の普及と5G監視網の輸出により、金融・通信を一体化した情報統制を強化。そして同盟内対立の醸成をするという観点で内部の分断を煽り、特定国と個別安全保障・経済協定を結ぶことでEUの結束を弱体化。そのうえでイデオロギー浸透させ、「秩序を重視する権威主義こそが混迷する自由主義より合理的」というナラティブを学術会議や文化事業を通じて浸透させる。
AfD買収を起点に、中国は以下の手順でさらなる影響力拡大を狙うと考えられる。政治家だけでなく、シンクタンク研究員や地方メディア編集長を育成し、相互に補完し合う密ネットワークを構築。また選挙システム侵入の試みとボットを用いた世論攪乱を連携させ、政策決定プロセスをリアルタイムでかく乱などが行われるのではないか。
AfD秘書買収疑惑は、中国が民主主義陣営の制度的脆弱点を徹底分析し、内部からの分断・従属を目指す長期グレイゾーン戦の一端である。欧州諸国は単独の法規制強化にとどまらず、情報インフラから文化交流、安全保障協定に至るまで「全領域的防衛態勢」を構築しなければ、自らが知らぬ間に新たな多極的権威主義秩序の駒となる危険性をはらんでいる。
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