「宇田川源流」【日本報道検証】 国連総会「ニューヨーク宣言」でハマス戦争は終わるのか?
「宇田川源流」【日本報道検証】 国連総会「ニューヨーク宣言」でハマス戦争は終わるのか?
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。
さて今回は9月12日に、現在の中東情勢にから、イスラエルと将来のパレスチナ国家に関する「ニューヨーク宣言」についてみてみたいと思います。
国連総会(193か国)は2025年9月12日、イスラエルと将来のパレスチナ国家が平和的に共存する「2国家共存」を支持する「ニューヨーク宣言」を採択しました。賛成142か国、反対10か国、棄権12か国の大多数賛成で可決され、欧州諸国や日本などは強く支持する一方、米国やイスラエルは反対票を投じています。この動きは、10月以降激化したガザ地区での軍事衝突に伴う深刻な人道危機を受け、二国家解決の国際的な合意形成を図るために欧州や一部アフリカ諸国の主導で提案されたものです。
ではニューヨーク宣言とはどのようなものでしょうか。
まず、イスラエルと将来のパレスチナ国家が「2国家共存」の原則に基づき共存することを明確に支持するということになっています。つまり、パレスチナとイスラエル双方が存在しっまた双方が共存するようにするということ、どちらかの国が滅びたりまたは両国の戦争関係を否定し、その双方の平和的な存続を言うということになる。
ガザ地区の民間人やインフラへの攻撃が「人道的大惨事と安全保障の危機をもたらした」として厳しく非難することが書かれている。しかし、その原因はイスラエルの攻撃なのかまたはその前に、イスラエルに対してテロを行ったハマスなのかということを明記していない。そのような濁した形の中で、二国家共存の実現に向け、各国が「具体的で期限付きの不可逆的な措置」を講じるよう要請することを進めるということにしている。
なお、このニューヨーク宣言は法的拘束力はないものの、9月22日に首脳級会合を開き、実行計画や進捗を協議する仕組みを盛り込んでいること
<参考記事>
国連総会「ニューヨーク宣言」採択、ハマスなしのパレスチナ国家を支持
9/13(土) AFP=時事
https://news.yahoo.co.jp/articles/c92d01c6260fd709ce0de9a78032640453e1bfef
<以上参考記事>
国連総会で「ニューヨーク宣言」が圧倒的多数(142対10、棄権12)で採択されたことで、イスラエル・パレスチナ双方に対する国際社会の道義的・法的圧力が一段と強まります。加盟国の大多数が「二国家共存」やガザでの武力行使の即時停止、具体的かつ期限付きの不可逆的措置を求める立場で一致したことで、国連憲章に基づく平和的解決への国際的合意基盤が明確化しました。
この宣言は、9月22日に開催予定の首脳級会合を呼びかけ、中長期的な交渉プロセスに具体的な日程感とフォローアップの仕組みを提供しています。英国やカナダなどがパレスチナ国家承認の検討を公言し、EU加盟国やアフリカ連合でも支持を表明するなど、多国間協議のモメンタムが一気に加速する見通しです。
アラブ諸国やイスラム協力機構(OIC)は、ガザ再建やパレスチナ自治政府の統治能力強化に向けた資金提供・能力構築プログラムを宣言に盛り込みました。これにより、UNRWAや世界銀行をはじめとする国連機関や主要援助国が再建支援、人道支援、治安部隊支援を協調して展開する枠組みづくりが前進します。
一方、採択に反対したイスラエルと米国は国際的に孤立感を深めるリスクに直面します。主要同盟国との意見調整が難航する可能性が高まり、軍事作戦継続や停戦交渉における外交的コストが増大する懸念があります。
国連総会での圧倒的多数の賛成(142対10、棄権12)により、イスラエルとパレスチナ双方に対する道義的および法的圧力が格段に高まりました。非難決議とは異なり「具体的かつ期限付きの不可逆的措置」を求める文言が組み込まれたため、各国政府は平和的解決に向けた行動を不可避とされつつあります。
「9月22日に首脳級会合を開催する」明確な日程設定が、二国家解決を巡る交渉に具体的な時間軸を与えました。英国やカナダをはじめEU加盟国の中には、この機会をとらえてパレスチナ国家承認を検討すると表明する動きがあり、多国間協議の勢いが一気に加速しています。
アラブ諸国やイスラム協力機構(OIC)は、ガザ地区の再建やパレスチナ自治政府の統治能力強化に向けた資金提供・能力構築プログラムを宣言に盛り込みました。これを受けて、UNRWAや世界銀行などが統合的支援枠組みの詳細設計を急ぎ、域内外の主要援助国と協調した人道・復興支援が本格化する見通しです。
採択に反対票を投じたイスラエルと米国は、主要同盟国との意見不一致を際立たせる形となり、国際的な孤立感を深めるリスクに直面しています。特に停戦交渉や人質問題を巡る外交協調は難航が予想され、軍事作戦の是認を理由に同盟国からの批判も高まる可能性があります。
非拘束決議ながら「首脳級会合による進捗確認」の仕組みが盛り込まれたことで、加盟国は政治的コミットメントを実務的なフォローアップへと昇華させる圧力を帯びました。今後は、各国が自ら掲げた期限付き措置を検証し合う場として、宣言が事実上の監視・報告メカニズムへと機能する可能性があります。
この宣言は国連総会の非拘束決議にとどまり、停戦や戦闘の即時終結を強制する力は持ちません。採択に反発したイスラエルや米国は、ハマスを利するとして決議への不支持を表明しており、現地では依然として人質救出とハマスの制圧を掲げるイスラエルの軍事作戦が続いています。宣言がもたらすのは主に国際社会の道義的圧力であり、戦闘行為を直ちに止めさせる力には限界があります。今後は首脳会合をはじめとした外交的プロセスや、停戦合意を仲介する国際的な仲介努力、人道支援の拡大といった具体的実務の進展が、戦争を終結に向かわせる鍵となります。
いずれにせよ現在国際的に進んでいるパレスチナの国家承認ということに関して、国際社会がどうするのかまた、日本はどのような態度を賭すべきなのかなどが問われる形になるのです。
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