「宇田川源流」【現代陰謀説】　アポロ月面着陸陰謀論に騙される日本人たち

「宇田川源流」【現代陰謀説】　アポロ月面着陸陰謀論に騙される日本人たち

　毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。さて、様々な陰謀に関することをいつもは書いているが、今回はまさに「陰謀」と言われる部分を体現したかのような事件であったことから、その辺のことは無くしておこう。さて2022年12月初旬に、ハインリヒ13世なる人物が中心になったドイツのライヒスビュルガーと言われると言われる集団が「ドイツはディープステートという影の政府に支配されているために、正常な状況に戻さなければならない」ということを主張し、そして現在の政権を転覆させるということを目指したのである。この事件に関しては2022年のブログと翌2023年1月の現代陰謀説で開設したばかりである。

　その書いた内容には「陰謀論に騙された陰謀論者」ということを書いたと思う。まあ、私自身は「ディープステート」なるものを全く信じていないというか、その存在を見たことはないので信じることはない。また信じている人々は、なぜか「その出先機関」というようなものを攻める事ばかりであり、そのディープステートなるものを直接何かするというようなことは全くない。アクセスもしていないあたりがなかなか特徴的である。

　キリスト教やイスラム教というような、一神教は「二元論」を使い、善悪に分類する。しかし、その代わりに「陰謀論」というか「神に代わるもの」というような存在として「ディープステート」なるものを使っているということになる。そのために、妖怪や幽霊と同じように「ディープステート」なるものが出てくると、その場で思考停止になり、神のお告げのようにいつの間にかそれに従わなければならないような状況になってしまっている。もっと言えば、「信じるか信じないか」というような二元論が出来上がってしまうということになるのである。

　さて、そのようなディープステートが存在しているかしていないかということは別にして、その存在を信じている人物が、超大国であるアメリカの大統領になった。もちろん大統領1人がその内容を信じているのではなく、大統領のスタッフ全体や与党である共和党の一部も、すべてがこのディープステートを信じ、その存在と戦うということを考えているのである。

＜参考記事＞

アポロ月面着陸「陰謀論」に東大生もダマされた？　“真空”で星条旗が揺れるはずない…「ねつ造」説の“科学的根拠”とは

8/24(日) 弁護士JPニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/b7e64f13c2796b7658917bb15fe6ca02570f3c1a

＜以上参考記事＞

　さて、最近は「陰謀論」の記事が多い。前回陰謀論が多くなったのはトランプ大統領の大統領選挙の頃である。陰謀論そのものが選挙を動かすということになるのであるが、残念ながら、その陰謀論の盛り上がりが、トランプ大統領を生み出したという事であった。しかし、トランプ大統領はあくまでもアメリカの事であり、日本の内容とは異なるものである。ある意味で「陰謀論」をここで盛り上げることが、マスコミ各社が自分たちが予想を外したということの「言い訳」になっている。本来、マスコミ・ジャーナリズムはしっかりとした事実を伝えなければならないが、そのような不純な理由で報道をしていること自体が大きな問題なのである。しかし、日本のマスコミは「自分たちは正常であるが、陰謀論が結果をゆがめた」といわんばかりである。

2024年の米大統領選は、多くの世論調査がバイデン氏有利を予測する中でトランプ氏が勝利を収め、予測モデルの脆弱性が露呈した。この結果により、メディアは自身の分析手法を問い直すどころか、予測ミスの言い訳として「調査会社の不正」「事前情報の組織的操作」など、根拠薄弱な陰謀論に依拠し始めている。

　同様に、日本の2025年参議院選挙では参政党が過小評価を跳ね返し、主要メディアが予想した議席動向を大きく覆して躍進した。従来の政権与党・野党といった枠組みを逸脱した勝利が、報道機関の予測能力への疑念を一層強めた。

　こうした“大番狂わせ”の連続を前に、報道機関は自らの選挙予測の失敗を正当化するため、陰謀論的な報道を積極的に展開している。世論調査やＳＮＳ運営企業への「裏工作」「外国勢力の介入」「アルゴリズムの人為的操作」といった仮説が繰り返し取り上げられ、事実検証よりもセンセーショナルなストーリー性が優先されていることが目立つ。

　本来、マスコミの役割は事実に基づく冷静な分析と公正な情報提供にあるはずだ。しかし現状では、選挙予測の失敗を覆い隠すために陰謀論を無批判に増幅し、有権者の混乱と不信を深める悪循環を生んでいる。この流れを断ち切るには、報道機関が再び論理的・証拠に根ざした検証を最優先し、言い訳としての陰謀論を捨て去ることが求められるだろう。

　まさに、このようにマスコミそのものが事実をゆがめてしまっていることこそが「陰謀にまける」内容なのである。