「宇田川源流」【日本報道検証】 共産党崩壊の第一歩になる四川省いじめからのデモの政治不信

「宇田川源流」【日本報道検証】 共産党崩壊の第一歩になる四川省いじめからのデモの政治不信


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて、今回は「中国がいじめから共産党排斥デモが起きている」という事に関してみてみよう。

まずこれらのことは事件の経緯から見てゆかなければならない。

江油市の廃工場現場で、14歳の少女が数名の同年代少女に集団暴行を受ける動画が7月12日にSNS上で拡散された。被害者は下着姿で殴られ、蹴られ、服を引き裂かれながら4時間以上にわたって暴行を受ける様子が記録されていた。行は4時間以上続いたとされ、精神的・身体的被害は深刻だった。

被害少女の親族は事件当日に警察に相談したが、本格的な捜査は約3週間後の8月4日にようやく開始された。加害者には軽微な「矯正教育」が科され、被害者の怪我は「軽傷」との判断が下されたため、市民の不満が爆発した。被害者の両親が障害を持つことも明らかになり、当局への不信がさらに高まった。

 中国政府はネット検閲と監視を高度化し、国内情報空間を厳格に管理しています。DPI(Deep Packet Inspection)やAIによる投稿監視で国外メディアや個人投稿を即時削除し、情報の国内流入を抑制している。実名制の強要も進み、微博(Weibo)や微信(WeChat)では実名登録した投稿が義務付けられ、不適切と判断された書き込みは一秒以内に削除される。「グレートファイアウォール」は引き続き強力で、Googleや旧Twitterといった海外サービスは基本的に遮断され、VPN利用者にも実名登録や利用履歴の提出を求める動きが強まっているところだ。

 2022年末から続く「白紙革命」では、紙一枚を手にして言論自由や検閲への抗議を表明する市民が現れました。街頭で集団的に無言の抗議を行い、動画は国内で即時消されつつも海外SNSで拡散し、共感を呼び続けている。天安門事件の黙祷や追悼行動も各地で再現され、警察による逮捕や押収が繰り返されるなか、市民はより象徴的で匿名性の高い手法を模索している。地方では通勤バスの運営や学校行事への抗議、労働条件改善を求めるデモなど、テーマを絞った小規模集会が増加し、従来の大規模運動とは異なる「点在型」の抗議が特徴となっている。

 厳しい検閲下でも、国際的な報道やVPNを介した情報流入が抗議の火種を絶えずくすぶらせています。海外在住の中国人や国際NGOが声を上げ、リアルタイムで動画を共有することで国内外の連帯感が生まれている。政府の情報統制強化は一方で、匿名アプリやエンドツーエンド暗号化サービス利用の動機となり、市民はより創意工夫したデジタル抵抗を展開している。

<参考記事>

10代少女集団いじめ事件が発端に 「共産党は退陣しろ!」大揺れの中国

2025年8月8日 9時25分 中央日報

https://news.livedoor.com/article/detail/29330210/

<以上参考記事>

 加害者側の家族に地元権力者との癒着疑惑が取り沙汰され、警察の対応が極めて遅かったことから「不公平な裁き」への怒りが広がった。学校や地元当局が動画や投稿の削除を強要し、LINEグループまで閉鎖したことで「隠蔽体質」に対する市民の反発が強まった。被害者の両親が市政府前でひざまずき、国歌『義勇軍行進曲』を歌いながら陳情した姿が拡散。これが「庶民の正義が踏みにじられた」という共感を呼び、デモが体制批判へと転化した。この事件をめぐる抗議運動は小規模な局地的衝突から、地方全域、さらには隣接地域へと「点在型連鎖」へ移行してゆくことになる。

 党の初期的な鎮圧にも関わらず、SNS上では事件当事者への共感が根強く残り、検閲をかいくぐって拡散が続くことで新たな市民グループが動員される。若者だけでなく、地方都市の中間層や職場・学校の保護者グループが「司法の公正」「情報公開」を掲げ、抗議に加わるプロセスが進む。紙一枚の持参、無言行動、闇放送アプリを利用した匿名ライブ配信など、象徴的かつ検閲を回避する細分化された手法が主流化する。

では中国共産党政府はどのような対応をするのであおるか。

 全面的鎮圧と検閲強化ということになる。

 まず鎮圧ということに関しては特警・武装警察の投入増加があげられる。江油市に続き、周辺都市へも機動部隊を常駐させ、検問や集会禁止令を拡大。

 一方検閲の強化ということになれば、ネット監視網の再編ということになる。VPNや匿名アプリへの監視を強化し、ハッシュタグや関連ワードの遮断、ユーザーIDへの追跡も一段と厳格化。

 公安機関が公然と「社会秩序破壊罪」「国家の威信を傷つけた罪」などを適用し、逮捕者や起訴者を増やすということになる。

 しかし、共産党もいつまでも国民を相手に戦うことはできないし、また、そのようにして他の地域に飛び火することを恐れる。つまり、ソフト・シナリオとして局所的な「落とし所」の模索する動きが出てくる。ここからは予想になるが、今までの共産党の考え方や行動を見て先を予想してみよう。

 まずは地方レベルの「見せかけ改革」が行われる。地方政府が裁判の公開審理や被害者支援措置を打ち出し、メディアで成果だけを報じて鎮静化を図る。そのうえで江油市警察・教育委員会幹部の配置転換を行い、地元の不満の矛先を「人事問題」に向ける。このようにすることによって、一部の地方官僚に責任を負わせ、そこを犠牲にすることによって、国民の留飲を下げ、そのうえで本質的なところは変えないで終わらせるということになる。ちなみにこのような手法は日本においても欲見られるので、何位も中国共産党が特別におかしな話ではない。手っ取り早く「留飲を下げさせる」ということが重要なのである。同時に、外国メディア向けに被害者支援のドキュメンタリーを流し、国際的批判の矛先をかわすということにある。

 では、今後度王なるのであろうか。抗議を経験した市民の感情は、初動の「怒り」と「共感」から、長期戦に伴う「不信」や「諦念」へと揺れ動区ことのなることが予想される。一つは、事件の度重なる隠蔽や証言の食い違いが露呈するたび、市民の「司法不信」は募り、地方だけでなく都市部の若年層にも広がる。このことは共産党の支配に対する不満ということが醸成されることにつながる。同時に、強権的対応が続くほど、一部の市民は「声を上げても変わらない」との虚無感に陥り、日常回帰を選択。しかし、その虚無感は、政治への不満ということで心の中に常にあるものとして、次に何か起きた時にまた大きな内容になる。このような国民的な不満が全国的に広がると、革命や内戦になる。党の対応が過剰だと感じた知識層や専門職(医師、公務員、教員など)が、非公式に被害者支援や情報共有を継続する新たな市民ネットワークを形成することになり、徐々に大きな動きになってゆくことになる。今回の内容だけで、すぐに革命にはつながらないものの、一方ではいつ起きてもおかしくはないということになり、「トカゲのしっぽ切」ではうまくゆくような内容ではなくなってしまうときが必ず来るのではないか。

 では短期的に不満の矛先はどこに向かうかということを考えよう。

 直接的に事件対応を担った江油市当局が市民からの第一のターゲットとなり、「人事刷新」要求へ発展する。もう一つは学校側が事実隠蔽や生徒の投稿削除を指示した点が追及され、学内改革や保護者説明会の場での追及が起こる。そして最後には地方対応の不手際が続けば、SNS上で「中央の責任論」が浮上。 代表的なスローガンとして「(習近平総書記名を入れて)あなたにも責任がある」のような直接的批判が散見される。そして、官民の管理体制全体、ネット検閲や監視を資本と結びつけて支える「国有ネット大企業」や製監技術ベンダーにも、市民の「監視社会」批判が向かい、経済界との摩擦を生む可能性がある。

 江油市の事件は、単なる暴力犯罪の枠を超え、司法の公平性や情報公開のあり方、監視社会の本質に対する市民の問として噴出した。今後は、党の「安全維持」と国民の「正義感」のせめぎ合いが続く。国民の不満は地方政府・学校運営を皮切りに、中央行政、監視体制、さらには監視技術を提供する産業界へと連鎖し、最終的には「情報権」をめぐる制度的改変を迫る可能性をはらんでいる。

 この複合的な局面で、最も注目すべきは「市民がどこまで自己組織化し、持続的な対話を要求できるか」ということになる。党側のいかなる抑圧や改革をお膳立てするかにかかわらず、中国社会は今、根源的な「情報の自由」と「司法の公正」を巡る新たなフェーズに突入しています。今後の中国が、権威秩序と情報開示という相反する要求をどのように折り合いをつけていくのかが、国内の安定と国際社会の評価の命運を分けることになる。

宇田川源流

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