「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 あなたの生きているステージを上げる方法を示した恋川春町の復活劇

「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 あなたの生きているステージを上げる方法を示した恋川春町の復活劇


 毎週水曜日は、NHK大河ドラマ「べらぼう」に関して好き勝手に書いている。今回もなかなか面白い物語展開に関して、私なりの観点で見てゆこうと思う。この宇ログでいえば普段のニュース解説など殺伐とした記事が多い中で、水曜日と土曜日が「一服の清涼」であるかのような感じになっている。早くこのようなドラマや歴史ばかりのブログにしたいものである。

さて、今回は、えなりかずきさんが熱演している蝦夷地松前藩八代藩主松前道廣について、少なくとも記録上はどんな人物であったのか見てみよう。

松前道廣は、宝暦4年(1754年)、7代藩主・松前資広の長男として誕生した。ちょうどこの時代は天明3年か4年、つまり西暦1783年か84年であり、この時松前道廣は30歳くらいであったと考えられる。幼少より文武に優れ、派手好きで傲慢な性格であったという。明和2年(1765年)10月11日、父・資広の死去により、家督を相続する。同年10月15日、10代将軍・徳川家治にお目見えする。同年12月15日、従五位下志摩守に叙任する。一橋治済、伊達家・島津家など反幕閣の人々や国学者で幕府から目を付けられていた高山彦九郎と交友し、吉原の遊女を妾にするなど遊興費も多かった。そのため商人からの借金がかさんで藩政は窮乏、幾度も幕府から注意を受けたという。

 対外的には強硬で、ロシアからの通商要請を拒否。寛政元年(1789年)には、国後島や目梨地方で起こったアイヌの反乱(クナシリ・メナシの戦い)に新井田正寿・松井広次らを派遣して鎮圧している。ある意味でアイヌから見れば敵というような感じであったしまた蝦夷地を恐怖で支配していた大名であったというような記録も残っている。実際は、その記録が正しいのか英明であったという幼少からの評判の方が正しいのかはよくわからない。寛政4年(1792年)10月28日、隠居し、長男・章広に家督を譲った。まだ50になっていない年齢である。ある意味で、まだ働ける年齢であったが、政治などに嫌気がさしたのではないかと考えられる。もともと遊び人であったことは間違いがないのではないか。そして借金などがかさんでいることから、政治に嫌気がさしたということなのかもしれない。隠居後、通称を大炊頭、美作守に改める。寛政8年(1796年)、イギリス船・プロビデンス号がアプタ沖(現北海道虻田郡洞爺湖町)に出没した時も、既に隠居していたにも拘わらず、息子の章広や家臣の反対を押し切り出陣している。実際に国学を高山彦九郎から学んでいるということから、幕末でいえば攘夷派であったのではないか。文化4年(1807年)3月26日、藩主在任中の海防への取り組みや素行の悪さを咎められて、幕府から謹慎(永蟄居)を命じられる。この背景には元家臣の讒言があったとも言われる。文政5年(1821年)3月18日、謹慎を解かれる。今回のドラマは、この辺の内容を中心にキャラクターの性格が作られているような気がする。ある意味で田沼意次の敵対的な存在に作られているのではないか。そして天保3年(1832年)6月20日、江戸で死去。享年79であった。

<参考記事>

岡山天音、NHK大河「べらぼう」恋川春町の〝ターニングポイント〟語る「好きな人が増えたんじゃないか」

2025/06/08 サンケイスポーツ

https://www.sanspo.com/article/20250608-STCV2VOLYNH3DJ7VNLH4B2VKZQ/

<以上参考記事>

 今回、上記に書いたえなりかずきさん演じる松前道廣は出てこない。その代わりその弟で江戸住家老で弟である松前廣年(ひょうろくさん)が出演する。その松前廣年から抜けにの情報を聞き出そうとする誰袖(福原遥さん)の演技は、見ているこちらも落とされそうな良い演技であった。福原遥さんがこのような演技をするのかというのは、以外であった。子役時代からNHKに出ていた女性が、すっかり大人の女性になりそして女性の色気で男性を落とすというような演技をするのは、さすがである。ある意味で今回の「べらぼう」では、瀬川を演じた小芝風花さんもそうであるが、若い女性の花魁役が、非常に良い演技をしていて、魅力を増しているのには驚きだ。NHKが吉原遊郭をこのように描くという事にも意外性があった氏、また、清純派とかまだ子供と思っていた女優が艶の演技をするというのは「さすが」というほかはない。またそれがいやらしくなく、ある意味でミステリアスに描いているところがなかなか興味深い。いうなれば黒革の手帳など、銀座と政界を描いているドラマのような感じで物語の中に引き込まれる感じだ。

さて、今回の物語の中心は恋川春町(岡山天音さん)の復活劇である。

ドラマを通じたメッセージとしては「深く悩んでいることも、実は他の人々はそれほど気にしていないし、また、自分でもそんなに深く悩む必要はない」というような、今の若者の悩みに直結するような内容ではないか。ある意味で、恋川春町は、今まで「期待されている自分」ということを演じていた。その内容が青本で多くの人に受け入れられてしっ待ったために、自分のイメージを覆すことができなくなっていた。そのような中で自分の上を行く人物が出てきてスランプに陥っていて、最後には筆を折ってしまった人物だ。

蔦屋重三郎(横浜流星さん)や歌麿(染谷将太さん)、喜三二(尾身としのりさん)は何とか復活させようとしている。その中で、「皮肉屋」ということを見出し、「その人と本来の持つ魅力で売り出す」ということになる。

このようなことは仲間や出版社がしっかりとその人を見ているからできることであり、友人や自分のことを見ている人の重要性をしっかりと診てくれている。何か自分の「考えすぎ」を気づかせてくれる人がいれば、その人は次のステージに上ることができるというような感じではないだろうか。岡山天音さんの演じる恋川春町は、本当にそのような「見事な復活劇」と「自分の殻を破った」という事を見事に演じ切っていたのではないか。これも誰袖の福原遥さんと同じで、非常に素晴らしい演技であって、どうしても物語の中に引き込まれる。歴史所などで先を知っていても、ドラマの中に引き込まれて「頑張れ」とか「そんなに悩む必要ないよ」と声をかけたくなるのは、なかなか良いドラマなのではないか。

人と人の出会いとそこに起きる化学反応から、「成長する」というよりは「ステージが上がってゆく」ということが見えてくる。うまく回想シーンを挟み、蔦屋重三郎がすでに死んだ平賀源内(安田顕さん)に「耕書堂」という名前をもらった時の話を挟み、蔦屋もこうやってステージを上がってきたということを、うまく恋川春町に重ねていたところに、非常にドラマの作りの巧みさも感じるのである。

さて、最後のシーンでは田沼意知(宮沢氷魚さん)と蔦屋重三郎が話をする。そしてこれからの展開が面白くなってくるのではないかという期待感をはらんでいたところが、また、次週に期待をさせるのではないか。なかなか面白い感じである。

宇田川源流

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