「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 今までの役柄とは全く異なる猟奇的なえなりかずきさん

「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 今までの役柄とは全く異なる猟奇的なえなりかずきさん


 毎週水曜日は、NHK大河ドラマ「べらぼう」について好き勝手書いている。本当に単なる乾燥にならないように、一応前半は、当時の歴史的な事を欠いたり人物について歴史上の記録にはどのようになっているのかということを見てきている。それにしても、ドラマとしてはなかなか面白い感じであり、うまく様々な事件を結び付けて伏線が出てきているところが面白い。

さて、今回は、今回出てきた「蝦夷地開発」に関してみてみよう。ちなみに、蝦夷地とは現在の北海道の事であるが、北海道も、函館周辺は「松前藩」が有ったので、松前藩の支配地域以外の北海道ということになるのではないか。

ロシアの南下の実態は、天明五年(一七八五)と翌六年に、老中田沼意次が派遣した蝦夷地探検隊によって明らかとなった。田沼の政策に影響を与えたのが仙台藩の医師、工藤平助であった。工藤はその著『赤蝦夷風説考』において、蝦夷地の金銀山を開発してロシアとの交易を行い、その利益でロシアの南下に備えるべきだと、田沼に献策している。田沼はこれを採用し、蝦夷地開発計画のもと蝦夷地探検隊を派遣した。このうち、最上徳内らの東蝦夷地探検隊はクナシリ・エトロフ・ウルップまで調査し、択捉島におけるロシア人との交易の実態を報告した。また西蝦夷地探検隊は樺太のシラヌシ・オオトマリ・クシュンナイまで調査し、山丹交易の実態を報告している。また、松前藩や場所請負商人たちが不当な交易や強制労働によってアイヌから莫大な利益を得ている事実も判明している。

しかし、充分に長崎で海外との取引ができていることから、蝦夷地貿易は行わないようにした。また田沼意次の失脚も重なり、蝦夷地の鉱山開発・ロシア交易の構想が頓挫することになる。そのことで、松本は新田開発案に転換した。松本の構想は非現実的なもので、

「農地開発のため、アイヌを3万に穢多、非人を7万人移住させ、新田開発が進んで農民が増えれば、商人たちも増え、人口も増える。さらに異国との通路を締め切り、日本の威光によりロシア、満州、山丹までもが日本に服属し、永久の安全保障となる。蝦夷地が開発されれば、奥羽両国も中国地方のような良い国柄になる。新田開発もあまり時間をかけず、人口の増加も8、9年で実現できる。」と記している。

 田沼失脚後、蝦夷地開発はいったん中止となった。しかし、この政策は老中を含む幕府の大多数に支持されていた。開拓反対派である松平定信も、早急な開拓に反対しているだけで、将来的な蝦夷の開拓自体は肯定派だった。

<参考記事>

鬼畜…「べらぼう」えなりかずきの怪演に衝撃!「狂ってる」「サイコパス」

6/1(日) シネマトゥデイ

https://news.yahoo.co.jp/articles/c51b52d6621cf50ef2f08f24dba6fd12be6832f5

<以上参考記事>

 今回の大河ドラマは、二つの物語を対比しながら、その双方に「未来を見える主人公側」と「守旧体制に所属する権力に固執する人々」という対立を軸にしているところが面白い。ある意味で「時代の先を読んでいる人は、何も考えていない人々に理解されることはなく、また守旧派からは敵対視され、妨害される」というような事が見えている。現代の若者たちには、「会社であまり相手にされなかったり、自分が良いと思った企画を上司に妨害されても、それは、あなたがダメなのではなく、周囲があなたの優秀さや時代を先どっている企画を理解できないのでしかないから、自身を持ちなさい」というようなメッセージが聞こえてくる。それが、主人公である蔦屋重三郎(横浜流星さん)や準主役の田沼意次(渡辺謙さん)によって演じられている。そしてその対処法も全く二人で異なっているということになる。

田沼意次の方は、時代を差どりして貨幣経済に持ち込み、開国して貿易をすることを考えている。そして、「赤蝦夷風説考」に合わせて、蝦夷地(現在の北海道)を幕府直轄領にして、ロシアとの貿易を行うことを企画している。しかし、そこにはすでに徳川家康から許しを得ている松前家があり、松前藩を排除しなければならない。その為に、松前藩主松前道廣(えなりかずきさん)の悪辣さや抜け荷(現代でいう密貿易)の証拠を集め、その証拠をもとに班を取り潰そうと考えるのである。

一方、蔦屋重三郎の方は、鶴屋(風間俊介さん)や西村屋(西村まさ彦さん)など、昔から本屋をやっている人々との差が出てしまった。錦絵の色合いや、現代でいうところの本の編集技術がそれにあたる。そのようにしてあっさりと本屋の首位の座を明け渡してしまった事で、吉原の大人たちに責められ、それでも「新たな方策を考える」ということを行って何とかしようとしている。特に太田南畝(桐谷健太さん)に「そうきたか、といわれるようにならないと蔦屋らしくない」という言葉をかけられて、新たな「そうきたか」を作り出すようにする努力を行う。

 この二つの方策が、実は「時代を先取り、そして本当に優秀な人が採用する、ピンチの切り抜け方」なのであろう。このドラマはそのことをうまく対比して、そしてうまく表現してくれていることがなかなか面白い。要するに、他に人々も納得するだけの証拠やデータを集めて、ぐうの音もでないようにして納得させるという方法と、そして、今まで以上に相手の意表を突く行動を行い、そして驚きと感心の中で新たな道を切り開くという方法である。その二つの方法を、横浜流星さんと渡辺謙さんがうまく演じ分けているとことがなかなか面白い。

そして、その二人のそれぞれの行動が、次の事件の伏線になる。

証拠集めの田沼意次は、松前道廣のあまりにもサイコパス(これは参考記事を診てもらったほうが早いかもしれない)の性格から、抜け荷等も行っているのに違いないということになって、証拠集めを行う。特に息子である田沼意知(宮沢氷魚さん)を吉原に潜入させて、誰袖(福原遥さん)に見染められてしまうということになる。この誰袖の恋の道がずれたことから、誰袖の運命も変わってしまうということになる。

一方新たな「そうきたか」を画策する蔦屋重三郎の方は、今までの名前の知れた人ではなく、喜多川歌麿をプロデュースする。ある意味で「今まで小説や絵を書ける人、評判の良い有名人に声をかけていた」のであるが、そうではなく「本屋自身が作家や絵師をプロデュースして売り出す」という方法に代わってゆくのである。この機転の利き方が、やはり異なるところであろう。そして今まで有名であった作家が嫉妬するというような展開になる。

この二つの対比が、新たな物語を産む。いや「伏線を作る」ということになり、それが張とストーリーに反映されているところが面白い。そして、えなりかずきさんのように、今までのイメージとは異なる「極端なキャラクターを演じる熱演」がそのストーリーを彩っていることがなかなか興味深く、視聴者を引き付けるのではないか。

宇田川源流

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