「宇田川源流」【日本報道検証】 トランプ関税の真の目的が報道されない不思議

「宇田川源流」【日本報道検証】 トランプ関税の真の目的が報道されない不思議


  毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたします。

 さて、今回は、今話題で日本の経済界どころか世界の経済界に大きな影響を与える、トランプ大統領の提唱した相互関税に関して見てみることにしましょう。日本では、日本のことばかりを考えている人が多いということになりますが、その内容をどの様に考えるか、また、何をどのようにしてゆくのか、逆にアメリカはこの内容をどのように考えているのかということを見てみたいと思います。

日本では、何しろ「頓珍漢」な話ばかり報道されている。そもそも「アメリカが関税をかける」ということは、アメリカが輸入する物品に税がかかるということである。要するにアメリカにおいて、日本から輸出した物品が高くなるということを意味しているのであり、日本に輸入されるものの値段が上がることはありません。しかし、アメリカへの輸出をしている企業は、売り上げが下がることが予想されるということになります。そのことによって、給与が上がらなかったり、または会社が倒産して失業者が増えるということになるのである。

このようにまったく関係ない報道ばかりをしている日本の報道は、いったい何なのであろうか。日本の人々は、真実を知ることができないとして、マスコミを怒るべきであるが、その前に「オールドメディアの敗北」ではないが、多くの民衆は現在のメディアを見放している。メディアに頼らなくても、インターネットを通して自分の好むまたはほしい情報が入ることになる。特に海外の情報などは、現地に行くこともなく勝手なことを言って、そのうえで、まったく当たっていないことを言うようなマスコミの話などは誰も聞かないということになるのではないか。

<参考記事>

台湾を国家に分類したトランプ関税表…中国「台湾は中国の台湾」

4/4(金)中央日報日本語版

https://news.yahoo.co.jp/articles/4aa244c9154c9a080c037ac7662e55d5f6556dc7

トランプ関税広がる衝撃 政府・与党、経済対策検討 補正予算も視野

4/4(金)朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/8063d4910347640a0688dd7a45e5e6b31074c1b9

<以上参考記事>

 さて、今回の関税、ポイントはいくつかある。そのポイントに合わせて話をすることにしよう。

まずは「あくまでも相互関税である」ということである。

基本的に「関税」というのは、自分の国の産業を守るために製品や製造コストの安い国からの輸入を制限するということが目的にある。しかし、現在のようなグローバルサプライチェーンである場合は、その関税が本来かかる国と、ブランドの国が全く異なるということになる。このような内容で有れば、日本のブランドで、他の国で製造したものは、その国の適用になるということになるのである。単純に「日本のブランドなのに他の国で作っている製品をどの様に考えるか」というように見ても、そのような形が出てくることになる。そして、関税の安い国に進出するくらいならば、アメリカに投資をするということを誘引することになる。短期的には、アメリカの物価を押し上げる可能性があるが、中長期的に考えれば、アメリカへの投資を誘引するという結果になるのである。

さて、「国家への投資」ということでいえば、中国は各国の首脳を呼んで、特に日本の企業を呼びつけて「中国への投資」を誘引している。しかし、現在中国に投資して工場を作れば、かえって高いことになる。要するに日本からならば24%で済む関税が中国からならば、34%になるということになる。日本のような頭の悪い企業が、中国に投資をするということを避ける狙いが隠されていることは間違いがない。中国が様々な国に「自国への投資を呼びかける」タイミングでこれを行った事、そして、中国が報復関税を行ったことによって、アメリカの原材料を使った製品を中国よりも相互関税の少ない国が、中国で工場を投資して製造をすることは「損」ということになるのである。

二つ目は「台湾を国家として扱った」ということである。

これは「台湾の独立を承認する」ということに近い。それも台湾の相互関税は32%で中国よりも安く設定されている。明確に台湾に対する「独立を承認するというメッセージ」逆に言えば、中国に対する敵対的な意識を持っているということが言える。明確に言葉に出して台湾の独立を示すのではなく、経済事案として台湾を中国共産党政府とは別な扱いにするということが、面白い手法であるということになる。

それでも台湾の内容にはかなり高い感じがある。それは、「中国資本で台湾企業ということが非常に多い」ということを意味している。つまり、台湾に出仕して、中国共産党が隠れ蓑にしているような事案を許さないというメッセージであろう。そこまで周到にしているということである。

三つめは「敵対国であるロシアやベラルーシ、北朝鮮、イランなどは適用除外」となっている。

要するに「これら敵対国(経済制裁の国)に対しては、貿易は行わない」ということを意味している。これはロシアに対するメッセージであると考えられる。逆にウクライナには10%であることを考えれば「ロシアに投資するくらいならばウクライナに投資を誘引する」ということをしっかりと診えるようにしてる。ロシアが「トランプをコントロールしている」などと言っているが、アメリカはロシアを完全に信用していないし、また経済制裁を緩めるつもりがないということを示した事案であろう。

そもそもトランプ大統領がこのような一覧表をもって会見する問いことが「異例中の異例」である。それだけこの一覧表にはかなりの意味が込められている。例えば他のアフリカの国々はほとんどが10%なのに、中国にコバルトを多く抑えておりそのまま中国に協力しているコンゴ共和国は11%と差別化している。その様に中国と関係の深い国の関税が、周辺国に比べて軒並み関税が差別化されていることに気づけば、あとはそのメッセージが見えてくるのではないか。

さて、相変わらず全く外交音痴でそのような真意が全くわからない日本の石破政権は、王毅外相が来た時にバカ騒ぎとも思える大歓迎を行い、日本の企業の中国への投資を斡旋している。そのうえ子供の修学旅行の受け入れを依頼し、子供たちを人質に差し出しているというボケようである。その石破首相が、トランプ大統領と今週中に電話会談をして直接交渉をするそうである。安倍内閣の時は、個人的な信頼関係も含めて、国家の信用を高めたが、石破首相は安倍内閣の時に「個人的な信用で外交を行うなどは問題がある」「安倍はアメリカに妥協しすぎだ」などと言っていた。そのような大口をたたいていた石破首相が、この局面でどのようにするのであろうか。当然にアメリカは石破の過去の発言もすべて知っている。そのうえで「個人の信頼も何も頼らずに、まともな交渉ができるのか」ということが試されることになるのであろう。まあ、この直接交渉で相手にされない状態ならば、石破内閣はいよいよ国民にも企業にも見放されることになるのではないか。

宇田川源流

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