「宇田川源流」【日本報道検証】 NATOの防衛費を2%から5%へ引き上げ要求するアメリカの真意
「宇田川源流」【日本報道検証】 NATOの防衛費を2%から5%へ引き上げ要求するアメリカの真意
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたします。
さて、今回は「アメリカのヘグゼス国防長官がヨーロッパの国々にGDP5%の防衛費を要求した事のアメリカの真意」を言うことを見てゆきたいと思う。
そもそもNATO各国は、GDPの2%以上を防衛費とするように、各国で取り決めている。これは軍事同盟であるNATOにおいて、どこか一つの国が防衛という任務を背負うのではなく、すべての国が自国の国力に応じた防衛力を整え、そのうえでその防衛力を出し合って同盟を成立させるということにしている。もちろん国力に差があるので、その差は考慮するということでDGP比2%を基準とするというようにしているのである。
アメリカはその防衛費を5%にすべきという主張を行った。もちろん同盟国の内容として、お互いが5%にすべきということを言っている。この内容は二つの意味が含まれている。
一つは「自国の防衛は自国で行うべき」というものであろう。多分そのようなことは聞いていないということになる。ではどのようなことを言っているのであろうか。二つ目とすれば「防衛を必要な事態が迫っている」ということを意味している。。当然に想定されているのはロシアのウクライナ侵攻からくる、ロシアのヨーロッパ進出ということがあるのではないか。しかし、それだけではない。イランの問題やアフリカの内戦、アフリカにおける内戦の飛び火、そのほかにも様々な意味で戦争や防衛を必要とする事態が近づいているということになるのではないか。
<参考記事>
「NATOを偉大に」 米国防長官、欧州にGDP比5%の防衛費要求
2/14(金) 6:58配信朝日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/889a5ea8556cf04c1e38eedc8a3464bcd88cc051
欧州の米軍駐留「永遠ではない」 米国防長官、欧州との距離鮮明に
2/15(土) 8:53配信朝日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/b37d547553da2b7e30a5daf2458f7d76a20dfe61
<以上参考記事>
一つには、ロシアのウクライナ侵攻の停戦交渉をしながら、もう片方でその敵対的な関係であるNATOで軍備を整えるように言っている。ある意味で「ロシアのとの和平交渉で、NATOが強い、NATOとロシアが戦っても勝てないという事実」を作り出したいということがある。
そもそも戦争というのはどのような時に起きるのか、最も弱く、戦ったら負けるという国が、強い国に戦争を仕掛けるということは基本的にはない。そのような力の差が歴然としているときには、基本的には戦争は起きない。日本における「百姓一揆」などの反乱や、ゲリラ戦が発生する可能性があるが、それ以外は戦争末期の日本軍のような玉砕戦になる。戦争継続時であれば継続ということであるが、はじめから勝機のない玉砕戦を行うことは基本的にはあり合えないということになる。当然に、逆。つまり圧倒的な戦闘力の差がある国が小国に対して戦争を行うということもあり得ない。その場合、ある意味で戦争は「殲滅戦」になる。もちろん、その前に何か犯罪的なことを行い、制裁戦争を起こされる場合はある。イラク戦争などはその代表格であろう。しかし、そのような前段階のない状態での圧倒的な戦力差での戦争は基本的にはない。
戦争というのは、力が拮抗しているか、あるいは戦力差が縮んでいった時で、なおかつ外交交渉によって解決しない場合に起きるということになるのではないか。その様に考えれば、ロシアは、ウクライナに対して戦力差があると思っていたが、NATOが支援することによってそれほどの戦力差がないことが明らかになった。
しかし、ウクライナとの戦力差ではなく、NATOが支援しての戦力差が少ないということになる。つまり、「NATOとロシアは、戦力が拮抗している」ということになるのである。
アメリカは「戦争を起こさないために、戦力差をつけるべき」ということを主張している。ウクライナとの和平を行っても、その和平は、NATO各国と行ったわけではない。北欧やバルト三国などで同じことが起きる可能性が十分にありうる中で、国庫を空にして支援するということが大変であるということから、普段から5%程度の防衛費を持てということを言っているのであろう。
同時に、それだけの戦力差を持つことによって「不要な戦争を起こさないようにすべき」つまり「戦力を整えることによって、ロシアの某初の抑止力」を得るべきではないかということを考えるべきであろう。そのためには、ウクライナ一国が犠牲になっている現在の状況を何とか打破する必要がある。ここに中国やイランが入ってきて、世界大戦のようになってしまっては、NATOは対応できないということになるのである。
同時に、アメリカがいつまでっも強いとは限らないということが、トランプの主張なのであろう。まさに、アメリカの強さというのは、もともとは戦後、世界のGDPの80%以上をアメリカが担っていたという圧倒的な国力差がアメリカの現状であったのに他ならないのであり、経済力が疲弊しているアメリカに不要な幻想を抱くなということを意味しているとも考えられる。
まさに、アメリカが「世界の警察」ではなくなってきていて、なおかつ、NATOの守護神でもなくなってきている。日本もNATOと同じように自国を自国で守れる力をつけるべきではないのか。いつまでもアメリカが守ってくれるというような幻想は早めに捨てなければならない。
0コメント