「宇田川源流」【現代陰謀説】 経済制裁を解除してほしいロシアの脅迫
「宇田川源流」【現代陰謀説】 経済制裁を解除してほしいロシアの脅迫
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。基本的には、通常の人が検索して読むことのできる記事などをもとに、その中から読み取れるファクトから、陰謀や隠された真実を読み解くということを練習する企画であり、おどろおどろしい陰謀論を延々と続けるようなものではない。まあ、そのような「正体のない陰謀」は、それを商売にしている陰謀論者に任せることとして、こちらは淡々と「裏に隠れた悪意」を覗きに行くということをし、そのうえで、できれば「その悪意に対するカウンター」を提案するというようなことをしている。
さて、今回はロシアに関して考えてみよう。
一部の陰謀論者とあまり現実を見ない親露派の人々は「ロシアは無限の資源があり武器弾薬も十分にあって、絶対に負けることはない」というような不敗神話を言っている。もちろんそれが真実であるかどうかは不明であるが、しかし、もしもその言を信じる場合であってもウクライナのような小国相手になかなか前に勧めない今の戦況はなかなか説明がつかないのではないか。まあ、裏にディープステートなる政府がいるならば、その内容で何かおかしな話になるのかもしれないが、その裏の政府なる人々はいまだに正体が見えないので、何を指してそのように言っているかは全く不明である。
現在わかっている内容から考えて、少なくともロシア軍は徐々に行き詰っているという気がする。もちろん、100年前の日露戦争ではないが、シベリア方面から兵を運び、兵器を運び、またウラジオストックの太平洋艦隊を遠路黒海まで運んで海軍とともに攻撃すれば事態は変わるのかもしれないが、そのようなことを行うことは全く予定していないであろう。
ロシアのような多民族国家を独裁者が力で押さえつけている国家の場合、敗戦というのは、当然に政治体制の崩壊を意味するものであり、同時に場合によっては国家の崩壊や内戦を起こす可能性も示唆している。そのようなこ戸が発生する可能性がある危機感はプーチン大統領が最もよくわかっているのであり、そのために様々な手を打っているということになる。
<参考記事>
駐日ロシア大使が制裁解除を要求…「行動で反露路線を放棄しない限り、協力の再開はない」
2/8(土) 読売新聞オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/e36f1bc96da7962a3f1e02cf947bc6461257cea3
<以上参考記事>
ノズドレフ駐日ロシア大使がロシアの有力紙イズベスチヤのインタビューを行い、その中で、日本が経済制裁を放棄しない限り、二か国の協力に向けた話し合いの再開はない、ということを明言した。
さて、まずこの「イズベスチヤ」ということに関して見てみよう。もともと「イズベスチヤ」とは、ロシア語で「報道」ということを意味する単語であり、この報道機関は「マスコミ」ではなく、「旧ソ連共産党の機関紙」という役割をしていた。ソ連崩壊によって機関紙も民主化し、報道機関となったのであるが、ある意味で「ロシア政府公式新聞」であるといえる。ちなみに日本やアメリカなどの民主主義国における報道機関は政府に対しての批判的精神をもって報道することが多いのであるが、共産主義・社会主義国における「機関紙」や「公式・国営報道機関」というのは、「政府を肯定するため」や「日本でいうところのマスコミ辞令」の溜めにあるようなもので、中国でいえば、外務省の報道官の記者会見での発言と同じようにとらえればよいのかもしれない。ちなみにソ連崩壊後は、多少批判めいたことを書いていたが、その発行元会社であるプラウダ者が2005年にガスプロム社によって買収されてから、完全にプーチン大統領の機関紙になっている。ちなみに現在の発行部数は25万部弱であるといわれている。
そのイズベスチヤでノズドレフ大使が発言しているという。当然に「プーチン寄りの政策を話している」ということになる。「寄り」というのはかなり微妙な表現であるが、実際に「プーチンが主張している」政策ではなく「ノズドレフ大使がプーチンに気に入られるであろうと想像で発言している」政策であり、その中にはすでにプーチンが発言しているものもあるであろうし、ロシア政府が目指しているものもあるかもしれない。同時にその延長線上で大使が希望的観測で主張し、「これだけの成果を執ってきた」というような野心的な内容もあるのではないか。
さて、その中身を分析して見よう。
・ ロシアは日本の経済制裁を辞めてほしい(経済制裁で困っている)
・ 経済制裁はロシアに打撃を与えている
・ 経済交流は続いている(アメリカなどとは異なり、裏ではロシアに協力しているとして日本の企業の反米性を強調)
・ 交渉を再開するだけで北方領土を返還する約束はしない(ロシアは結果を出さないが、日本は経済制裁をやめるべき)
・ 大使がこのように発言する機会を得なければ日本政府は言うことを聞かない(ラブロフ外相等よりも影響力を行使している)
まあ、今回の内容はこのようなもので、特に最後の項目は「ロシアの出世争いで大使自身が優位に立ちたい」というような希望的観測も着けられているということになろう。
同時に「岸田から石破政権に代わって、現在は石破が少数与党であるから、野党などが同調すれば、経済制裁解除も成功するかもしれない」という事であろう。
つまり、ロシアが見ている中では「想定以上に親ロ反米は日本の政治家の中に多い」と思っているし、また「石破与党はそのような要求に弱い」と思われている。そして「そのような政治的な情報が入っている」つまり「日本の政治はそれだけ観察されて報告が上がっている」ということであり、なおかつそれが新聞に掲載されたということは「ロシアも一般国民もそのように見ている」ということである。石破内閣はかなりなめられた対応をされているということであるし、また、ロシアに気脈を通じている人が少なくないということなのであろう。
逆にこのような情報から、日本国内がどのように見られているか、また日本政府の方針に従わない政治家や企業がどれくらいいるかということを見ることができるのである。その様に活動することが、カウンターインテリジェンスにつながるのである。
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