「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 擬人化で本をヒットさせた蔦屋重三郎

「宇田川源流」【大河ドラマ べらぼう】 擬人化で本をヒットさせた蔦屋重三郎

 毎週水曜日は、大河ドラマ「べらぼう」について、実にテキトウなことを書いている。昨年の「光る君へ」の時もそうであったが、江戸時代のこの辺のところは、私の専門でも何でもないうえに、実際にそんなに特異なところではない。もちろん歴史の非通りのことは知っているが、専門家然と何かを答えられるような状況ではないのである。

さて、今回は物語に入る前に、小芝風花さん演じる「花の井」について見てみよう。

花の井は、幼い頃に親に捨てられて、吉原の老舗妓楼である「松葉屋」(まつばや)に引き取られた女性です。そもそも遊女の階級は、江戸時代の初め、まだ吉原が人形町辺りにあったころは、太夫(たゆう)、格子(こうし)、端女郎(はしじょろう)の三つの位になっていた。もちろん、これは容姿等の外見によって決められるということになっていたのだが、徐々にそれだけではなく客あしらいや芸、知識などによってこれが細分化される。

寛文(1661~73)のころ、江戸市中にいた私娼が摘発され、吉原に送られ、格子の下に散茶(さんちゃ)という階級ができた。散茶とは粉になった下等のお茶のことで、振らずに出る、すなわち誰でも望む者の相手をしたことからこう呼ばれたという。つまり、太夫や格子は、遊女が客を気に入らなければ拒否することもできたのである。

その後、遊女の階級は増え、享保(1716~36)のころには、太夫・格子・散茶の下に、うめ茶、五寸局(ごすんつぼね)、三寸局、なみ局、次(つぎ)、の階級が置かれ、8階級となった。ただ、これは階級というより、揚代(あげだい)の値段の差で細かく分けられただけであろう。ちなみに、最下級の遊女を二朱女郎ともいったが、これは揚代(あげだい)が2朱だったことによる。

ちなみに当時のお金は1両が約40万円。1分金が10万円。1朱金は2万5千円に当たる。2種というと約5万円である。

そのうち、徐々に教育などができあいので「太夫」「格子」という階級が少なくなり「散茶」以下ばかりになってくる。その時の散茶以上(場合によってはもう少し下の階級を含むこともあるようであが)を「花魁」という。つまり最高級の「遊女」が花魁なのである。ドラマでも、その扱いがほかの遊女とは異なるということになっている。

花の井は、後に「五代目瀬川」を名乗る。「瀬川」は伝説の花魁といわれ、1代目から9代目迄いるのであるが2代4代5代がとくに有名なのである。花の井は一躍吉原を代表する花魁として名を馳せ、江戸中に知られるようになった。やがて1775年(安永4年)には、鳥山検校という人物に見初められ、吉原からの落籍(第三者に身代金を払ってもらい、娼妓を引退すること)を果たす。その金額は1400両、現代でいえば約5億6000万円。当然に江戸じゅうの話題になるのだが、鳥山が高利貸しとしてとがめられ、全財産を没収されてしまう。その後の花の井に関しては、またそのころに話をすることにしよう。

<参考記事>

<べらぼう>ラスト1分、幕府パートが不穏すぎる! 人形の糸切れる→絶命 胸に“苦悶の跡”「毒盛ったんじゃ」「治済やっぱり怖い」

1/19(日) 20:46配信MANTANWEB

https://news.yahoo.co.jp/articles/852092e24dab4d89e09946c036e54481ea5886f7

<以上参考記事>

 今回のべらぼうは、蔦屋重三郎(横浜流星さん)が「吉原細見」を見直し出版するということから始まっています。そして「一目千本」を作るまでということになる。

もともとは、吉原で蔦屋重三郎と花の井が世話になった朝顔という遊女が病気で亡くなって、服も盗まれて死んでいったということから、吉原に人を呼ばなければ名rな愛ということで頑張ったということになる。そしてその「吉原細見」を作ることが今回の物語になる。ある意味で、蔦屋重三郎が初めての本の出版を行ったところから、その本の企画(一目千本のことであるが)を行うということになるまでになった。しかし、まだ明確の本屋をするというようなことではなく、何とか吉原のためになるということをしていたのではないか。

さて今回は、その中で駿河屋(高橋克実さん)が、自分の息子というか自分が育てた存在であるはずにもかかわらず、そのような勝手な真似をすることから、反発をする。しかし、「一目千本」をみて心を開くことになるというものである。

一方の幕府では田安賢丸(寺田心さん)を白河の松平家に入れるという陰謀が繰り広げられており、そのために最後の場面で田安家当主・田安治察(入江甚儀さん)が苦しそうにせき込むと、やがて絶命。直前に暗がりで人形を操る一橋治済(生田斗真さん)の姿と、その“糸が切れる”様子が何かを暗示するかのように挟み込まれた。

ただ、その幕府の話はそのまま大きな話ではなくあくまでも蔦屋重三郎の方が中心である。

さて、今回の出版で非常に面白かったのは「花にたとえる」という話を、絵師・北尾重政(橋本淳さん)と話しをしている所であろう。「擬人化」ということが、大きな人気になるということが最大のところ。実際に「吉原細見」は「現在の旅行ガイドブック」である。まあ固有名詞を言えば「るるぶ」や「ことりっぷ」などの吉原版ということになるのであろう。そして、その内容を発展させた「遊女のカタログ」で「花にたとえた擬人化」ということができるということが面白い。もっと言えば「遊女のイメージ」が多くの日との間で決まっているということであり、なおかつ、「そのイメージでだいたいのことが見える」ということになる。そのようなことをドラマの中でしっかりと見えてきているのではないか。

今回は、花の井はあまり活躍していない。「一目千本」の資金を鬼平からせしめたくらいであろう。しかし、当然に本の中に花の井も出ているのである。どの様なたとえになっていたかは非常に気になるところであったが、また、そこはそこということなのであろう。

いずれにせよ「モノを擬人化すればわかりやすい」ということが、今回のドラマの教訓になっていたのかもしれない。

宇田川源流

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