「宇田川源流」 中国に対する警戒感を持つEU
「宇田川源流」 中国に対する警戒感を持つEU
習近平国家主席の三期目になり、様々な「ひずみ」が生まれてきている。実際に、2期目に関しては、ちょうどEUがギリシアの債務問題などがあり、またイギリスのブレグジットがあって、ヨーロッパが揺れている時期であった。その為に中国からの経済支援(投資が中心であったと思うが)がありがたいというような話になっていた。
その中国の経済支援に最も敏感に感じ拒否反応を示したのが、イギリスであった。イギリスのエリザベス女王(当時)は、習近平国家主席の来訪に対して、一応の外交儀礼を行っていたが、手袋をしたままトイレの前で握手するなど、本来であれば外交的に無礼であるというようなことを行った。また晩餐会では、チャールズ皇太子(現在の国王)は、ドタキャンするというようなかたっりであり写真を見ても空席のままになっていた。そして極めつけは、後にエリザベス女王の発言として王道された「習近平は下品」という言葉である。この言葉が伝わったことでイギリスおよびコモンウエルスの各国において、中国を警戒する行為が非常に強くなったのである。
そのコモンウエルスで最も敏感に反応したのは、オーストラリアであった。オーストラリアは、過去に中国に国を乗っ取られそうになったり、または港を完全に支配されてしまったりというように、かなり散々な目にあっている。同時に中国系移民は、もともともオーストラリアの人々(原住民というとまた意味合いが変わってくるので、コモンウエルス系のイギリス系移民という意味)に非常に評判が悪い。
基本的にヨーロッパや東南アジアにおいては、入国カードに「宗教」を書く欄がある。なぜこれらの国は宗教を書かせるのかといえば、それは宗教で何らかの差別や区別があるわけではない。宗教によってどのような道徳観を持っているのかということをしっかりと確認し、それによって犯罪などの防止につなげるということがある。つまり「宗教がある」というのは、自分のところの宗教とは異なっていても、何らかの道徳観があるということになるのである。しかし、中国などの国々は「コミュニスト」であって「宗教」があるわけではないということになるのではないか。最終的いは「道徳観のない人々」が金を持ってくるということに、警戒感を示したことになる。
EU「一帯一路」に距離 中国からの投資に警戒強める
【パリ=板東和正】10年の節目を迎えた中国の巨大経済圏構想「一帯一路」をめぐり、欧州諸国の多くは距離を置く姿勢を示している。対中国を視野に「デリスキング」(脱リスク)を打ち出す欧州連合(EU)は対中依存度を低下させたい考えで、中国からの投資への警戒を強めている。
EU加盟国の大半の首脳は17、18両日に北京で開かれる一帯一路がテーマの国際協力サミットフォーラムへの出席を見送る見通し。米紙ウォール・ストリートジャーナルによると、2019年に先進7カ国(G7)加盟国で唯一、一帯一路に協力するとの覚書を結んだイタリアのメローニ首相も7月末時点で参加する予定はないという。
米ブルームバーグ通信は9月10日、メローニ氏がインドの首都ニューデリーで中国の李強首相と同月9日に会談した際、一帯一路から離脱する意向を伝えたと報じた。メローニ氏は西側の結束を主張し、親中国姿勢からの脱却を掲げている。
EU欧州委員会は6月に発表したEUの経済安全保障戦略で、中国を念頭にEUにリスクをもたらすような第三国への先端技術の輸出や投資を監視し、歯止めをかける方針を示した。一帯一路を通じて経済的な影響力を増そうとする中国への警戒感は強まっている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は3月、一帯一路について「国際秩序を中国中心の形に組織的に作りかえるのが中国共産党の明確な目標」と述べた。EUは一帯一路に対抗する形で、域外のインフラ整備の支援にも乗り出した。
EUは最近、対中姿勢を硬化させている。電気自動車(EV)で世界市場に攻勢を強める中国が不当な補助金を支給した疑いが強いとして、中国製EVに対する相殺関税の導入を視野に調査を開始した。
一方、EUには最大の貿易国である中国との経済関係を維持し、経済分野での対話を重視したい思惑もある。EUのボレル外交安全保障上級代表は12~14日に訪中し、外交担当トップの王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相らと会談する。
10/13(金)産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc80bcf404a6b4a6475a3d7befa4d627d691b2c2
まさにイギリスのエリザベス女王は「金銭的な価値」ということではなく「人間としての品格」で物事を判断していたと思う。そのことから「債務の罠」のような金銭的な力で相手を支配しようとする中国・習近平のやり方を「人間として下品」というように映ったのに違いない。そしてその経済力に屈しているEUの国々に対して「イギリスはそのような国ではない」ということを強く示したのである。その結果、当時中国に言って財政他店をしを頼んでいたキャメロン首相は、ブレグジットを機会に失脚し、メイ首相・ジョンソン首相というように変わってくるということになるのではないか。
そのEUが変わってくるのは、ドイツのメルケル首相からショルツ首相に代わったあたりであり、また、その後ロシアがウクライナを信仰し、そのロシアを中国が支援しているということから、ヨーロッパの国々は中国から警戒することになる。単純に「金銭」つまり「現世の目の前の利益」だけを求めて動くことは、そのまま「現世利益のために、秩序を乱す可能性」を示しているのであり、そのことが、「下品」というよりは「危険」というように判断したということになるのである。
日本でいえば「成金」という言葉があった。まさに「にわかに金持ちになって品格もなにっもないくせに一流ぶった態度をとる」というようなことである。日本人の場合は「金銭でしか自分の価値を示すことのできない人々」という意海で蔑称を込めて「なりきん」という単語を使っていたのであるが、最近はマスコミの必死の共産主義化洗脳によって、金があることが善いことであるかのような宣伝で、品格や道徳を無視するような風潮になってきているのではないか。まさに「唯物主義的な金持ち」というのは、人格や仁徳ということを無視してしまうので、結局は「債務の罠」のような形になってしまうものではないか。
さて、その中国をEUもやっと警戒し始めたという。もちろんヨーロッパの中にはもともと東欧、ワルシャワ条約機構に加盟していた人々が少なくなく、その人々までそのような価値観になっているのかどうかわからないということになる。
国際秩序を中国中心に作り替えようとしているという警戒は、つまり「中国の身勝手と覇権主義を認めてよいのか」という疑問を呈しているということになるのではないか。まさにそのことが、そのまま「大きな問題」と見ているのである。そしてその延長線上に「覇権主義によるパックスシノワーズが成立してしまうのではないか」という危機感を持っている。
さてEUは、そうはいっても財政難が大きく、通過を統一しながら政策が別々という問題が出てきているし、EUで一つの国になるようなコンセンサスは取れていない。現在のウクライナ支援に関してもEUとNATOはまったくことなる反応を示しているということになる。その内容をどのように調整つけてゆくのか。その時に中国との関係をどのようにしてゆくのか。そこが大きな課題としてEUの「踏み絵」になるのではないか。
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