「宇田川源流」【現代陰謀説】 CIAとモサドはハマスの襲撃を何故許したのか?
「宇田川源流」【現代陰謀説】 CIAとモサドはハマスの襲撃を何故許したのか?
毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。基本的には、通常の人が検索して読むことのできる記事などをもとに、その中から読み取れるファクトから、陰謀や隠された真実を読み解くということを練習する企画であり、おどろおどろしい陰謀論を延々と続けるようなものではない。まあ、そのような「正体のない陰謀」は、それを商売にしている陰謀論者に任せることとして、こちらは淡々と「裏に隠れた悪意」を覗きに行くということをし、そのうえで、できれば「その悪意に対するカウンター」を提案するというようなことをしている。
さて今回は、今毎日ニュースで報道されているハマスとイスラエルの関係である。さて、イスラエルという国はユダヤ人の国家で、それまで「定住国土のない民族」といわれたユダヤ人に、第一次世界大戦の都合でイギリスがユダヤ人に国家を与えると約束したことから、ユダヤ人国家イスラエルが建国されることになる。実は世界三大「国土のない民族」として「アルメニア人」「客家」と「ユダヤ人」といわれていたのであるが、そのユダヤ人が国家を持ったということになるのである。
当然に、そのような国家が突然に領土を盛ったとなれば、周辺の国からは警戒される。それも、異教徒の集団であるとなればなおさらであろう。そのうえ、「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」はすべて「聖地」が同じである。これは同じヘブライの民といわれる神話上の存在(といえば怒られるかもしれませんが)の宗教の系列であり、同じ神からの「神の啓示者」が時代によって異なるということになっただけの話なのである。
それにしても、この神は、時代によってかなりいうことが異なっているようで、なぜか同じ神からの啓示者でありながら、全く異なる神であるかのような発言はするし、また、その神がお互いに争うような結果になるようなことを伝えているのである。
その辺の疑問は別にして、そのようなことから、当然にその建国にかかわった国々、つまりアメリカとイスラエルの情報機関は非常に強いものになるということになるのであろう。
イスラエルに奇襲 米に失態
【エルサレム=福島利之、ワシントン=田島大志】イスラム主義組織ハマスによる7日のイスラエルへの奇襲攻撃を巡り、イスラエルと米国によるインテリジェンス(情報収集・分析)上の失態だったとの指摘が出ている。両国とも世界最高水準の情報機関を擁しながらハマスの攻撃を十分に事前察知できず、多くの犠牲者を出したことになる。
■「最大の失敗」
13日にイスラエルを訪問したオースティン米国防長官には、記者会見で「なぜ(前兆を)見逃したのか」との質問が飛んだ。オースティン氏は「もし同盟国に対する差し迫った攻撃を知っていたら、我々は明確に伝えていた」と述べ、事実上、不備を認めた。
米紙ニューヨーク・タイムズは13日、先月末から米中央情報局(CIA)などが、ハマスによる脅威の高まりを示す2件の報告書をまとめていたが、バイデン米大統領に伝えず、7日の攻撃を具体的に予測する記述もなかったと報じた。
対外情報機関モサドをはじめとするイスラエルの情報機関は、情報収集や作戦実行能力で世界的に名高い。1948年の建国以来、アラブ諸国と幾度もの戦争を経験してきたイスラエルにとって、高度な情報活動は国家の存続に欠かせない。それだけに今回、「建国以来、最大のインテリジェンスの失敗」(地元記者)と批判にさらされている。
■かすかな兆候
地元有力紙ハアレツによると、攻撃の前夜、イスラエル側に異変を示す断片的な情報が寄せられた。国内を担うシンベット(安全保障局)と軍の情報機関アマンで分析し、軍参謀総長と共有したという。しかし、ささいな兆候だったため「軍事演習」と評価し、ガザ付近に駐屯する軍に警告を発せず、部隊を増強するなどの対応を取らなかった。
イスラエルの存在を否定するハマスの監視は、シンベットとアマンの重要任務だ。モサドも海外のハマス幹部の動向に目を光らせる。近年、ガザ上空にドローンを常時飛ばして監視し、境界のフェンスに監視カメラをくまなく設置してきた。
米国の情報機関も、インターネットなどの通信を傍受する手法を駆使して敵対勢力の動きを追っている。ロシアによるウクライナ侵略の直前には、作戦の詳細を把握し、同盟国に周知するなど成果を上げた。
■「人と付き合った昔と比べ…」
今回は、そうしたハイテク頼みの活動があだとなったとの見方がある。ハマスは情報漏れを防ぐため、電話やネットは使わず、地下などで少人数に絞って対面で計画を協議した可能性があると伝えられている。
イスラエルの退役軍情報将校は取材に対し、「人と付き合って情報を取った昔と比べ、現在は人から情報を得ることが少なくなっている」と明かした。
イスラエル、米両国とも、戦闘が続く現段階で情報活動を検証するのは時期尚早との立場だ。米戦略国際問題研究所(CSIS)のエミリー・ハーディング上級研究員は「惨事は多様な要因が重なって起きるものだ。落ち着いた段階で、何が問題だったのかを特定する作業が始まるだろう」と指摘している。
2023年10月14日 20時22分読売新聞
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-2605786/
ある意味で「世界最強」といわれた情報部がアメリカCIAとイスラエルのモサドでありその対抗馬が旧ソ連のKGBということに、少なくとも日本の陰謀論者の間ではそのようになっているようだ。私からすれば、そのようなことはなく、他にも優秀な情報部はたくさんあるのであるが、日本の場合は映画の影響があまりにも多く、そのうえアメリカの価値観がどっぷりと入っているので、そのような感じになってしまう。もちろん優秀ではないといっているのではなく、分野やその内容に関して、全く異なるということになる。少なくとも日本よりはうえであるという事だけは確かであろう。
まあ、それでも一応かなりよい情報部であるこの二つの組織が、今回のハマスのイスラエル襲撃を全く予期できず、そのうえ音楽フェスを襲撃されて、多くの人質を取られるということになった。これは何が悪かったのであろうか。
上場の中には「ヒューミント」「シギント」「オシント」という三つの分野がある。ヒューミントは「口コミ情報」である。この情報が最もディープであるが残念ながら立証性が少なく、なおかつがせねたも多い。そのことからヒューミントはその真偽性の判定がかなり難しいとされており、かなりのベテランでなければできない。しかし、ヒューミントが最も先にすべての情報を得ることのできる状態であるということも確かなのである。シギントは、盗聴やハッキングなどのハイテクである。そしてオシントは、すでに発表さている情報の分析ということになる。「現代陰謀説」の連載でやっているのはオシント情報の訓練といっても過言ではない。
さて、最近アメリカもモサドもヒューミント部門を少なくし、シギントを重視する用意なった。もともとモサドはイスラム教の国に深く入り込んで、イスラム教徒や政治のトップとの会話からヒューミント情報をとっていた。私もインドネシアなどでその現場に何回も立ち会っている。まs内そのヒューミント情報がしっかりと行われているのが、本来の内容であったはずだが、モサドも、いつの間にかシギント中心になってしまった。
シギントの弱点は「誰かが機械を使わなければ情報が入らない」ということであり、なおかつ、文章などをハッキングする場合は「その文章が加工されたものである場合は、その文章を作っている時間だけ情報が遅れる」ということである。ましてやそれがダミーなどで作られている場合は、ヒューミントがなければ太刀打ちができない。
今回はまさにそのものである。実際にここには書いていないがモサドはイランのある場所でヒズボラやハマスが会合をしていたことを知っていた。しかし、このヒューミントの情報は「ロシアのウクライナ侵攻の支援」と勝手に決めつけてしまい、そのまま情報を保留してしまったのである。ヒューミント情報の最も大きな問題は、その情報入手者がそれなりの感度がなければ、情報が目の前にあっても拾うことができないという事であろう。
そのうえ、シギントで情報が入らなければ「兆候があっても見逃す」ということになってしまう。このヒューミント情報に関しては、「そのような情報を入手していたようであるが全くモサドもCIAも反応しなかったようだ」ということが報告されている。シギント重視でヒューミントにベテランを配さなかったということが大きなミスの第一歩であろう。
イスラエルの退役軍情報将校は取材に対し、「人と付き合って情報を取った昔と比べ、現在は人から情報を得ることが少なくなっている」と明かした。<上記より抜粋>
情報は「情」である。まさにアナログの世界なのである。そのことをわかっていないと、情報の世界ではやってゆくことはできず、今回のような大きな事故につながるのではないか。
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