「宇田川源流」 先例主義・事なかれ主義という日本の官僚体質が招く大阪万博危機は日本維新の会を襲うか?

「宇田川源流」 先例主義・事なかれ主義という日本の官僚体質が招く大阪万博危機は日本維新の会を襲うか?


 大阪万博が危ないという報道が出てきている。実際に関西地方に行っても全く盛り上がっていないし、またその入場料などのことばかり先行していて、内容が全く見えないというのも気になるところだ。

 さて、まずはこのようなことをやるのが誰かということになる。2025年の大阪万博を主催するのは「日本国際博覧会協会」であり、会長は経団連の会長の十倉雅和(敬称略:以下同)、事務総長は石毛博行日本貿易振興機構の前理事長である。そのほか関西経済連合会や関西商工会議所、監視経済同友会に京都や神戸の商工会議所、そのうえ吉村大阪知事や横山大阪市長が名前を連ねる。このほかにも理事を見れば、「関西の経済のオールスターキャスト」であり、同時に「この人々が日本維新の会を支えている人々である」ということに他ならないのである。

 要するに「日本全般で万博を支える」のではなく「関西経済を中心に直下型の内容を行う」ということになるのではないか。ある意味で「日本全般で人を呼び込む」というような感覚ではなくなってきているところが興味深い。

 さて、過去の万博で、このような裏方まで見えてきたのは、2005年に行われた愛知万博、いわゆる「愛・地球博」というような博覧会があった。この時は、名誉総裁に皇太子殿下(現在の今上陛下)が就任され、総裁に豊田章一郎氏であり、当然に地元の市長などが多くは言っていたが,しかし理事52人の中には各業界団体の会長や日本全国の経済団体の会長などが入っている。電気事業連合会や石油連盟など業界団体も含め日本全国の人々がバックアップしていた。そのうえで、「冷凍マンモス」の展示ということでかなり盛り上がったはずであるし、また「環境」ということで全体のテーマもはっきり決まっていたのではないか。

 それに対して、2025年の大阪万博に関しては「テーマ」もわからない(抽象的なことは決まっているようであるが、具体的に何をするのか全く見えてこない)し、また「目玉展示」が何なのかも全く見えていないのである。

万博協会 対応の鈍さが露呈

 2025年大阪・関西万博に出展する海外パビリオンの建設準備が遅れている問題を受け、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が初めて開いた13日の記者会見。石毛博行事務総長は年末までに着工すれば開幕には間に合うとの認識を示したものの、具体的な道筋は示せず、万博協会の対応の鈍さが浮き彫りになった。

 「あらゆる機会を使って、準備を急ぐように口を酸っぱくして申し上げてきたが、参加国は動きづらかったのではないか」

 石毛氏は、準備が遅れている理由について、ドバイ万博の影響を挙げた。

 ドバイ万博は当初、2020年10月20日~21年4月10日の予定だったが、コロナ禍の影響で21年10月1日~22年3月31日に延期された。石毛氏は「万博と万博の間は通常4年半設けられているが、元々暑さ対策で半年遅れの日程で計画されていた上、1年延期されたことが響いた」と説明した。

 また、ドバイ万博では、会期の終了後も使用する建物があったが、大阪・関西万博では終了後に撤去する仮設の建物を建てることになっており、「参加国の中には、準備が短い時間で済むと思っていた関係者がいたのかもしれない」とも述べた。

 現在、万博協会は準備が遅れている参加国・地域に対し、デザインの簡素化や予算の増額を提案しているが、石毛氏は「そういう案を出さないといけなくなったのは残念」との認識を示した。その上で「参加国がどのようなパビリオンにするのか納得してもらいながら、線を引いて決めていく必要がある。しっかり支援していきたい」と述べた。

 一方、国内の建設事業者に対しては、大阪で久しぶりに開かれる万博であることを踏まえ「チャンスと捉えて、積極的に参加してもらいたい」と呼びかけた。ただ、大手ゼネコンの幹部は「もはやいくらお金をもらっても出来ないことは出来ない」と話す。

 来年4月には、労働基準法の改正で建設業の時間外労働規制が強化される。石毛氏は「建設事業者の環境がもっといいものになるようにしていきたい」と述べたが、具体案は示さず、建設業界が抱える危機意識とは大きな隔たりを見せた。

2023年07月14日 07時23分読売新聞

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12213-2443854/

 さてこのように「地域だけ」「地域経済団体だけ」となるとどうなるであろうか。もちろん、それが大阪が望んだことであるのかあるいは国が何らかの思惑でそのようにしたのかはよくわからないが、そのようになってしまえば、当然に「日本国の中央官僚が事務を行うことになり、そのことで非常に官僚的な仕事になってしまう」ということになる。

 さて日本の官僚は「東京大学出身者」が多い。つまり、「何かを記憶して答案用紙に過去の模範解答を移すこと」や「決まりきった公式を覚え、それを現状に当てはめて解放に導く」つまり「答えのある問題に対して対応する能力」は非常に強いのであるが、今回のように他と調整し、「答えのない問題」に対応することが全くできないというような特徴を持つ。ついでに言えば、その官僚的な悪癖があるために「先例主義」「ことなかれ主義」ということばかりに固執し、意味のない手続き論と会議ばかりが多くなり、緊急対応や軟化を決断しなければならないときに結局何もできなくなってしまうのである。

 この「日本の官僚的な悪癖」は、間違いなく大東亜戦争の敗北ということの一つの原因であり、何でも決断してゆく軍部に全くついてゆくことのできなかった分間が、戦争を止めきれないばかりか、多数派を握られて、決定された「先例」に従うことで、結局は懸賞もなくそのまま戦争の「お先棒を担ぐ」ということになってしまうのです。そのうえ、そのようなことの責任は回避し、会議で決まったからといって、、自らの責任を回避するということになるのではないか。。

 さて、戦争の敗北に関しては別にして、少なくとも今回の万博に関しては、まさにそのような問題に直面している。はっきり言って「見ているところが全く異なる」ということであり、テーマと進む方向をしっかりと示し、そのうえでパビリオンをそのコンセプトに合わせて作ればよいが、コンセプトなどの「答えのないこと」は全く何もできないので、何もできないということになる。そのうえ、日本の官僚は「権威主義」であり、何か大きな権威を担ぎ出し、自分の「身を護るための盾」にしようとする。常に物陰に隠れて適当なことをしてしまうということになるのである。

 石毛氏は「建設事業者の環境がもっといいものになるようにしていきたい」と述べたが、具体案は示さず、建設業界が抱える危機意識とは大きな隔たりを見せた。<上記より抜粋>

 まさにこのようなことではないか。現場と調整ができていないで、なんとなく会議で決まったということで押し通すだけ。そのうえ責任を負える問題ではないのに責任ある部署と肩書を持って、何も決断をしない。

 さて、大阪直下型ということは、当然に、この人々が「大阪直下型の日本維新の会」を作ったことになる。もちろんうまくいかなければ誘致に走った安倍元首相をやり玉にして責任を回避するつもりであろうが、多分、世間はすでに亡くなった安倍首相で「身を隠す」ことを許さないであろう。では「うまくいかない」ということに対して「大阪らしさ」が結局招く不幸と日本の恥ということになり、その時点で大阪中心ということが日本から白眼視される可能性がある。そうではなくても、日本型官僚と日本維新の会の進める「大阪的な政治」が分離することになり、うまくゆかなくなるのではないか。そのようなリスクをはらんでいることを大坂の人々は知っているのであろうか。それを回避するためには、誰が主導権を持たなければならないのか。

 大きな問題である。すく悪とも日本の恥にならないようにしてもらわなければならないのではないか。

宇田川源流

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