「宇田川源流」【現代陰謀説】 中国共産党が主張する「主権国家」という感覚の欠如

「宇田川源流」【現代陰謀説】 中国共産党が主張する「主権国家」という感覚の欠如

 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。現代に横たわる陰謀を見ながら、その内容をどのようにして、ニュースなどから端緒を見つけることができるかということを考える内容になっているのである。実際に、陰謀は様々な所で行われており、その内容をいかに感がてえゆくのかということをしっかりと見ていなければならない。全く表面に出ない陰謀などもあるが、実際は、ニュースなどに何か端緒が出ていたり、あるいはニュースに何かか隠されているようなことも少なくないのである。それを、読み解くために何をすべきかということを考える連載である。

さて、今回は「端緒が出た」ということを見る内容である。この物事の考え方を見る事は、日本人は非常に苦手であるということになる。日本人は歴史の中で島国という閉鎖された中でなおかつ村社会を中心に物事を見てくることになっていたので、あまり、相手の立場に立ってというか、相手の感覚で物事を見るということに慣れていない。そのことから、「その言葉が何を意味しているか」ということを自分の感覚や日本人の常識という不確定なもので見てしまうことになるのである。そのことから「端緒」を引き出すことが非常に不得意な民族性を持っているのである。

しかし、そもそも「相手の国の国民性」「思想の根源(イデオロギー)」「宗教観(死生観)」など基本的なことを考え、そのうえで、相手の発言が、それらから出ているものであるかどうかを見れば、単純に物事を見ることが可能になる。その端緒というものは非常卯に簡単に見えることになるはずなのである。

そして、その言葉が、今の言葉で言う「炎上」つまり、他者から批判される状況になると、その言い訳をするようになる。言い訳といういうよりはどちらかと言えば、政党かということが言えるのではないか。そしてその正当化が、「政府そのものの意見」である場合又はその政府の元の意見である場合は、当然に、そこに「本音」つまり、国の政治の根幹が見て取れるのである。つまり「一回出たとき」はその個人の思想かも知れないが、その後炎上か何かをして非難され、その「言い訳」が出てきたときには、当然に、その言い訳の中に、またそれを擁護する政府に、その本音を見ることができるのではないか。

駐仏中国大使 “主権国家である合意ない”発言 バルト三国反発

 フランスに駐在する中国の大使がかつて旧ソビエトから独立したウクライナやバルト三国などの国々について「主権国家であることを定めた国際的な合意はない」と発言し、バルト三国が強く反発しています。

 フランスに駐在する中国の盧沙野大使は21日、放送されたフランスのテレビのインタビューの中で、ウクライナ情勢についての質問に答えました。

 この中で盧大使は、ロシアが一方的に併合したウクライナのクリミアの帰属について見解を問われると、明確に答えることを避け、さらに「旧ソビエト諸国が主権国家であることを具体的に定めた国際的な合意はない」などと述べました。

 この発言をめぐって、ウクライナなどとともに旧ソビエトから独立したバルト三国が強く反発しています。

 このうちリトアニアの外務省はツイッターで、自国に駐在する中国の代理公使を呼び、説明を求めることを明らかにしました。

 ランズベルギス外相も「なぜわれわれが中国によるウクライナ和平の仲介を信用しないのか、疑問に思う人がいるならば、この中国大使の発言を聞いてほしい」などと投稿し、不快感をあらわにしました。

 またラトビアのリンケービッチ外相も「まったく容認できない。中国側の説明と発言の撤回を求める」とツイッターに投稿し、24日にルクセンブルクで行われるEU外相会議でこの発言を取り上げ、中国側の姿勢を厳しく問う意向を示しています。

   中国外務省報道官 駐仏大使の発言を否定

 これについて、中国外務省の毛寧報道官は24日の記者会見で「ソビエトが解体されたあと、中国は最も早く関係する国々と外交関係を樹立した国の1つであり、加盟していたそれぞれの共和国の主権と国家の地位を尊重している」と述べ、大使の発言を否定しました。

 その上で毛報道官は「私が言っていることが中国政府の正式な立場だ」と繰り返し述べ、火消しに追われました。

2023年4月24日 18時54分 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230424/k10014047081000.html

 今回は駐フランスの中国大使である盧沙野である。

旧ソ連から独立したウクライナやバルト三国に対して「主権国家であることを定めた国際的な合意はない」と発言している。

さて、旧ソ連の崩壊はどのような事であったのか。そもそも「ソ連」は正式名称が「ソビエト連邦」という「連邦国家」である。

では連邦国家とはどのようなものであるのか。一応定義で「ブリタニカ国際大百科事典」の内容を見てみよう。

「連邦制」

多数の支分国家によって集合的に構成される連合国家制度。単一国家の反対概念。今日のアメリカ合衆国,カナダ,スイスなどがこの典型。通常この連邦国家は単一主権のもとにある。もとより各支分国家は連邦国家の意思決定に参加するが,主権の対外的発動である外交権を保持しない。このことから,条約による完全な主権諸国家の国家連合とも異なっている。しかし他方,各支分国家は単一国家を地域的に区分した地方公共団体である州や県などとも異なり,独自の憲法をもち,大幅な自治権を保持している。この連邦制は,各連邦構成国家が自由な意思決定によって連邦から脱退でき,外交権をもっていたソ連や,通常国家が相互に特殊な関係を結んでいるイギリス連邦とも異なっているといえる。

<以上抜粋>

ソ連は高度に中央集権的な国家でありながら、さまざまな民族の母国として機能する多くの共和国から構成されていたが、1980年代後半には内部的な停滞と民族分離主義を経験していた。1991年末、ソ連からいくつかの共和国が脱退し、中央集権体制が崩壊する中、3つの共和国の指導者が「ソビエト連邦はもはや存在しない」と宣言した。その直後、さらに8つの共和国がこの宣言に参加した。

。1988年11月16日、ソ連で初めて国家主権を宣言したのはエストニアである。1990年3月11日、リトアニアがソ連からの独立を宣言し、2ヵ月後にはラトビアと南コーカサス地方のグルジアが独立を宣言した。1991年8月、ソ連共産党内の保守派と軍部のエリートがゴルバチョフを打倒し、失敗していた改革をクーデターで止めようとしたが失敗した。この混乱でゴルバチョフ政権はほとんど影響力を失い、その後数カ月で多くの共和国が独立を宣言した。1991年9月、バルト三国の分離独立が認められる。

白ロシア・ソビエト社会主義共和国とウクライナ・ソビエト社会主義共和国は、既に1945年10月24日にソ連と共に原加盟国として国連に加盟していた。独立を宣言したウクライナ・ソビエト社会主義共和国は1991年8月24日に「ウクライナ」と改称し、白ロシア・ソビエト社会主義共和国は1991年9月19日に「ベラルーシ(白ロシア)共和国」と改称したことを国連に報告した。

 その他、12の独立国が全て国連に加盟した。

 1991年9月17日:エストニア、ラトビア、リトアニア

 1992年3月2日 : アルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスタン(現キルギス)、モルドバ、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン

 1992年7月31日: グルジア(現ジョージア)

さて、中国の大使は、このソ連崩壊のプロセスと国連の加盟を認めないということを言ったのである。この理由は二つある。一つは「台湾を念頭に置いている」ということであろう。単純に言えば、中国は台湾占領を目指していて、ウクライナのような状況にならないように既に様々な手を打っているということになる。

しかし、それだけではない。もう一つは「共産主義」という思想そのものであろう。つまり「日本の左翼がそうであるように、国境や国家というものを認めず、その主権の独立を全く認めない」ということになるのであろう。そのような共産主義国家が当ての主権を認めないということは、そのまま、占領してもよい、つまり、ウクライナへの侵攻や台湾への進行を正当化し、世界共産主義革命を正当化する根底になるということを意味している。

そしてこのように自信をもって発言するということは、既に中国は台湾に対する侵攻の準備をしているということになろう。中国の外務省は慌てて否定したが、そのようなことなのであろうという「端緒」が見て取れるのではないか。

宇田川源流

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