「宇田川源流」 今話題のガーシ―議員について元国会新聞社編集次長の立場で一言

「宇田川源流」 今話題のガーシ―議員について元国会新聞社編集次長の立場で一言


 東谷義和という参議院議員が話題になっている。昨年の参議院議員選挙までにYouTubeなどの自分の開設したチャンネルで「暴露話」をしているという。その人がNHK党から立候補し、28万票も集めて当選したのである。この時点で、政治ジャーナリストの間では「まあこのような人が立候補して当選するとはねえ」ということを言っていたのは確かだ。

何しろ外国にいて、そのままインターネットで選挙活動というか面白そうなことを言って、そのうえで、票を集めたということなのである。そもそも政治として政策などは主張していない、少なくとも有効性のあることはほとんど行っていないということなので、「文春砲」などという暴露系の話が好きな日本人の特有の内容でしかないのであるが、残念ながら、このような人物に政治を任せることができるのかどうかは疑問がある。もちろん、暴露話をしているからと言って、そのことだけで軽蔑をしたり、あるいは政治ができないなどというつもりはない。しかし、そもそも自分は安全な場所にいて、責任をもって批判や反論を受けることがない一方的な意思表示で政治をしようというのは、独裁者の政治体制と同じであり、同時に、面白いというだけで未来を託すということはできない。ついでに言えば、その暴露話も本当かどうか、少なくともわからないのである。

同時に、「暴露話をする」ということは、そのことによってその業界の信用は失われるということになる。ある意味当然の帰結だ。ということは、すでにその業界にはいないということに他ならない。ようするに、ここで出ている「暴露話」は、そのまま「過去の内容でしかなく最新の情報は入ってこない」ということである。これを経済的(商業的)に暴露することは個人の自由で個人の責任において行えばよいことであるが、政治と絡めるのはいかがなのであろうか。そのような疑問は存在する。

さて、それでお28万票集めたことは間違いがない。その票を集めた事はその代表として国会で政治に参加すべきである。しかし、暴露話による訴追を恐れ、結局外国にいたまま日本に戻らない。そのことから、国会の参議院議員は、懲罰委員会の提案を行うに至ったのである。

ガーシー議員は通常国会にも欠席…自民は各党に懲罰提案、除名なら議員の身分失う

 海外に滞在して国会欠席を続けているNHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員(比例)は、23日の通常国会召集日も登院しなかった。

 国会法は召集日の登院を義務付けており、自民党は同日、ガーシー氏への懲罰を各党に提案した。

 自民党の野上浩太郎参院国会対策委員長は23日、国会内で立憲民主党の斎藤嘉隆参院国対委員長と会談し、ガーシー氏が昨年の臨時国会で議院運営委員会の許可を得ずに海外渡航したことを理由に懲罰動議を提出する案を示した。斎藤氏は「野党間で協議する」と持ち帰った。ガーシー氏は昨年7月の参院選で初当選後、国会での審議や採決に参加していないが、歳費は支払われている。自民は、ガーシー氏の振る舞いに厳しい態度で臨まなければ、国会の信頼が損なわれると判断した。

 これに関連し、参院の石井準一議運委員長は23日の議運委理事会で、速やかな帰国と登院を求める文書をN党側に渡した。同党の浜田聡参院議員は記者団に「(本人の)意思を尊重したい」と述べ、帰国は急がせない考えを示した。

 国会の懲罰には重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告がある。議員の身分を失う除名処分を受けたのは過去に2人おり、参院では1950年に予算案の反対演説をしながら賛成票を投じた小川友三氏、衆院では51年に陳謝の懲罰に従わなかった川上貫一氏が除名された。

2023年1月24日 0時15分 読売新聞オンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/23584817/

 もちろん、病気やなんらかの事故で国会議員の身分にありながら、その身分に従った仕事をしないということは理解する。病気で入院している人、それが精神的な病気であったとしても、それが少なくとも将来において完治し、政治活動に参加する可能性があるということが前提である。れいわ新選組の水道橋博士のように、その完治の可能性がない、逆に議員活動をすることによって悪化するということであれば、辞任することは、「無駄な議席を作らない」(無駄ということは酷い言い方だが、実際に、議会において意思表示をしないという意味で、少なくとも投票をした国民の負託にこたえられないという意味で)という意味では重要なのではないか。

さて、ガーシーという人物についてはそれらに該当しない。現在もネットを中心に活動をしており、その収入の補完として議員という身分を個人利用をしているだけである。まあ、これではさすがに問題がある。この人に投票をした28万人の有権者には、反省していただきたいと思うものである。

さて、ついでに言えば、この人の行っている暴露話に関しては、残念ながら「そのレベルか」というような感じがしないわけではない。まあ下ネタを暴露話にするというのは、基本的には政治の世界ではなく週刊誌のレベルの話である。逆に言えば、週刊誌の暴露話レベルが、政治であると誤解している人が少なくない。少なくとも政治家は行政の内容に関して一応は審議しているし、国民の陳情を聞いている。それらの行動を全く行うことなく、それが政治であるというような主張そのものがおかしいということになるのではないか。

それが「懲罰委員会」ということで議論されようとしている。私個人としてはこの事件をきっかけに、「政治とは何か」「議員とは何か」「資格は必要はないが、その資格に近い議員の素質は何か」ということをしっかりと議論してもらいたい。同時にそこで議論された内容をしっかりと現在の議員の皆さんが、与野党関係なく、守ることができるようにすべきではないか。批判はするけれども特大ブーメランで戻ってくるというような話では意味がないのである。

国権の最高機関と憲法で歌われた場所に「モラル」をどのように活かしてゆくのかということが重要なのであり、日本人的な秩序性をしっかりと考えるべきではないかという気がするのである。

そのような根本的な部分まで、音階議論が進むことを望む

宇田川源流

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