「宇田川源流」【現代陰謀説】 台湾統一地方選挙で何故台湾の民進党は敗北したのか

「宇田川源流」【現代陰謀説】 台湾統一地方選挙で何故台湾の民進党は敗北したのか


 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届している。現在に生きる陰謀をそのまま見てゆくということになる。

さて、最近になって皆さんが感じているということだろうが、民主主義国家が弱くなり、一方で全体主義国家が自分の覇権主義を表に出してきているということではないだろうか。全体主義(共産主義・社会主義)などの国々は、基本的には、「政権が一つの政党の独裁によって行われるものであり国民の全体の意思表示(つまり国政選挙の結果)に拘束されない」という特徴を持つことになる。

この事は、二つの特徴を得ることができる。一つは長期政権ができるということ、つまり、長期間の戦略的な内容で動くことができるということである。アメリカや日本の場合は、それは衆議院の総選挙などで、4年の期間はできるが、それはそれほど長期間ではない。中国の習近平は2期目までで10年、ロシアのプーチン大統領は初めに10年行い、メドベージェフと一回変わった後に再度また10年やっているのである。このほかにも、ベラルーシや、南米のベネズエラ、北朝鮮、キューバなど、全体主義の国では、為政者が長期間同じ人物が行うようになっているのである。少なくとも選挙による政権交代というのはほとんどないのではないか。

もう一つの特徴は、「政府に多くの資金と権力が集中する」ということである。全体主義であるために、当然に個人の人権ということはほとんど認めないということになる。その人権を認めないので、当然に、「個人資産などは最小限に限られる」ということになる。もちろん、これ等は法律で決まっているわけではないが、事業や経済活動が、総て政府の許可制になっており経済活動が政治権力によって、管理されているということになる。そのことが、経済の支配につながるのである。さすがに中国のような為替市場の介入や管理、または尖閣諸島国有化の時に見せたような貿易の制限などを行えば、世界経済が悪化する。その責任を政治が出てくるような感じになるのであろうか。

さて、このようなことを書くのは、この二つが「陰謀」に深くかかわりがあるからに他ならない。

台湾 統一地方選 与党敗北で蔡英文総統 党主席の辞任を表明

 26日に投票が行われた台湾の統一地方選挙で与党・民進党が敗れ、蔡英文総統は自身が兼務してきた党のトップの主席を辞任する意向を表明しました。

 焦点となったのは、合わせて22の市長選挙と知事選挙の勝敗です。

 候補者の死去に伴って投票が延期された1つの市を除く21のポストのうち、選挙前に7つを占めていた与党・民進党は、離島の澎湖県を獲得した一方、桃園市など北部の3つの市を失いました。

 台北市長奪還もならず、全体では5つの市長と知事のポストを得るにとどまりました。

 今回の選挙では、民進党のトップの主席でもある蔡総統が「中国共産党大会のあとに行われる初めての選挙に全世界が注目している」と、対中関係を争点化しようとしたほか、事実上、政権の信任投票とも位置づけていましたが、有権者には受け入れられなかった形です。

 蔡総統は26日夜に記者会見し「所期の成果を挙げられなかった。台湾人民の決定を謙虚に受け入れる。私がすべての責任をとらねばならず、ただちに主席を辞任する」と述べました。

 総統の職にはとどまりますが、候補者の擁立を主導したため、党内での求心力は低下するとみられます。

 一方、最大野党・国民党は台北市で勝利したほか、桃園市などを民進党から奪い返し、6つある直轄市の過半数獲得という目標を達成しました。

 結果を受けて、与野党とも再来年の総統選挙の候補者選びに焦点が移っていくことになります。

 台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言

 台湾の統一地方選挙のうち、台北市長選挙で国民党の蒋万安氏が勝利宣言をしました。

 台北市長選挙には12人が立候補し、蒋万安氏と民進党の陳時中氏、無所属の黄珊珊氏による事実上の三つどもえとなりました。

 開票は続いていますが、中央選挙委員会によりますと蒋氏がリードしていて、さきほど支持者を前に勝利宣言をしました。

 一方、これに先立って陳氏と黄氏は敗北を認めました。

 国民党にとっては8年ぶりの台北市長奪還となります。

 蒋氏は初代総統・蒋介石のひ孫にあたり、今月10日まで日本の国会議員にあたる立法委員を務めていました。

 選挙権の年齢 18歳以上への引き下げ成立せず

 台湾では、26日の統一地方選挙と同時に、選挙権の年齢を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法改正の是非を問う住民投票も行われましたが、賛成が有権者総数の過半数を下回り、成立しませんでした。

 中国 政府報道官「結果は平和と安定を求める民意を反映」

 今回の結果について、中国国営の新華社通信は26日夜、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官のコメントを伝えました。

 この中で朱報道官は「結果は『平和と安定を求め、よい生活を送りたい』という主流の民意を反映したものだ」と評価しました。

 そのうえで「われわれは引き続き多くの台湾の同胞と団結し、両岸関係の平和で融合した発展をともに推し進め『台湾独立』の分裂勢力と外部勢力の干渉に断固として反対する」と強調し、中国政府が独立志向が強いとみなす民進党の蔡英文政権をけん制しました。

2022年11月27日 5時32分  NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221126/k10013904691000.html

 陰謀というのは、日本の陰謀論者が言うような簡単なものではない。基本的にはかなりの調査や情勢分析、そこに方向性に向けた内容があり、そしてその準備に膨大な資金とマンパワーが必要になる。日本などがそのような陰謀ができないのは、その能力がないのではなく、その資金やマンパワーが足りないということになり、そのうえ、日本の内容がマイナスになってしまっているということになるのではないか。

さて、その意味で中国やロシアは、「長期政権」であることから、その方針が長期間変わらないということになる。そのことから、長期間かけた陰謀や諜報活動ができるということになる。その為に、様々な内容ができる。一つの政権の間に、西側諸国では何回選挙があるのかということになる。そしてその間に徐々にその選挙に介入することができる。

同時に、その資金も少なくない。上記のように権力と資金が政権に集中することによって、資金を大きく使うことができる。その資金が在ることによって工作資金を多く出すことができる。例えば選挙での買収などもできれば、マスコミの買収などもできるということになるのではないか。

その一つの例が、アメリカの大統領選挙であり、もう一つの例うがイギリスのジョンソン首相はスキャンダルで退陣することになった。何故イギリスの首相官邸の内部の映像があそこまで克明に写真に納まり、なおかつそれが、新聞に出てくるのか。そのことに疑問を挟む人がいないのは、イギリスそのもののましメディアや解説者などが、全て買収されているというような感じになってしまっているのではないか。アメリカのトランプ大統領に関しては、ここで解説するまでもない。

さて、そのような中で中国が狙っている「台湾」の統一地方選挙があり、その中で台湾の独立を目指す民進党が負けてしまった。それもアメリカの中間選挙と同様に、ロシアがウクライナ侵攻、中国の覇権主義、北朝鮮がミサイルを撃っている状態で、「外交」ではなく「アメリカの中絶の権利」や「台湾の物価高」という国内的な問題が、大きな争点になっており、マスコミも選挙報道においてそのような外交的な問題点をほとんど語らないということになっている。

しかし、この統一地方選挙の敗北によって蔡英文総統が、民進党の総裁を辞任することになった。つまり、トランプ大統領(アメリカ)・ジョンソン首相(イギリス)・蔡英文総統(台湾)・安倍首相(日本)が政治の表舞台から消えてしまったのである。まさにこれは全体主義国家、特に中国が望むことであり、ロシアとウクライナに目が向いている状態の中で中国の覇権主義が一歩進んだということになるのではないか。その陰謀の詳細を解明しなければならないが、中国人と台湾人の間に入って調査するのはかなり難しい。しかし、アメリカの中間選挙などと類似性が高いことは間違いがないのである。

宇田川源流

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