「宇田川源流」【現代陰謀説】 敗北者に冷たい中国共産党の見捨てたロシアと次なる戦

「宇田川源流」【現代陰謀説】 敗北者に冷たい中国共産党の見捨てたロシアと次なる戦


 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。基本的に陰謀というとあまり良い内容ではないが、しかし、実際にそのような内容が世の中にはあふれていることも確かなのである。

 2014年以降クリミア半島併合をしたロシアが行った「ハイブリッド戦争」という言葉ある。正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせて戦う戦闘法で、実際に武力による戦争は2割程度であるとされている。ハイブリッド戦争の概念が登場したのは、1999年に中国の軍人の喬良と王湘穂が発表した「超限戦」である。ここでは政治、経済、宗教、心理、文化、思想など社会を構成する全ての要素を兵器化するという考えが示されていた。2013年にはロシアの参謀総長ゲラシモフが、「予測における科学の価値」という論文を発表した。21世紀には近代的な戦争のモデルが通用しなくなり、戦争は平時とも有事ともつかない状態で進む。戦争の手段としては、軍事的手段だけでなく非軍事的手段の役割が増加しており、政治・経済・情報・人道上の措置によって敵国住民の「抗議ポテンシャル」を活性化することが行われる、とゲラシモフは論文の中で述べている。この論文は「ゲラシモフ・ドクトリン」と呼ばれており、翌年発表されたロシアの新しい軍事ドクトリンはこれを踏まえて改定された。ハイブリッド戦争が特に注目され始めたのは、2014年クリミア危機からである。この紛争において、ロシアはほぼ無血でクリミアを占領・併合した。そのためロシアは何か新しい軍事力行使の形態を生み出したのではないかと注目が集まったのである。

 しかし、2022年のウクライナ侵攻ではこれが全く功を奏することがなかった。ある意味で「陰謀的ハイブリッド戦争がすでに見破られていた」という評価になるのである。

 さて、ウクライナ侵攻は、そのような状況から、ロシア側の様々な「見誤り」「誤算」が続き、そのことから、ロシアの形成が不利となったと伝えられている。その内容に関して「ロシア側」とみられていた中国はどう対応しているのであろうか。

習氏、食料・エネルギーの「武器化」反対 ロシアを暗に批判か

【AFP=時事】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は15日、インドネシアで開催中の20か国・地域首脳会議(G20サミット)で演説し、「食料・エネルギー問題の政治化、道具化、武器化には断固反対しなければならない」と主張した。ロシアのウクライナ侵攻を暗に批判した可能性もある。

 一方、欧米の制裁に対する批判も繰り返した。

【翻訳編集】AFPBB News

2022年11月15日 14時37分 AFPBB News

https://news.livedoor.com/article/detail/23202887/

習氏、核使用に「反対」 異例のロシアけん制、独首相会談

 【北京共同】中国の習近平国家主席は4日、ドイツのショルツ首相と北京の人民大会堂で会談した。習氏はウクライナ情勢を巡り「国際社会は核兵器の使用や脅しに対し、共同で反対すべきだ」と強調した。中国外務省が発表した。習氏がロシアへのけん制と取れる発言をするのは異例。

 新型コロナ流行後、G7の首脳が訪中したのは初めて。10月の共産党大会を経て総書記として異例の3期目に入った習氏は、核使用に危機感を強めるEUに寄り添う立場を示し、経済協力もてこに、ドイツを引き付ける構えだ。

 習氏は会談で「陣営間の対抗」を批判し、米国を軸とした対中包囲網は不当だとの立場も示した。

11/4(金) 23:43配信共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/3a6cd264c9d478d541f72734ed2480b40548d05e

 中国の魯迅の『阿Q正伝』という作品がある。この作品の中に「打落水狗」つまり「水に落ちた犬は打て」とある。現在韓国のことわざであるとされている「川に落ちた犬は棒で叩け」という言葉の実はもとは魯迅であるのではないかとされているのである。

 さてこの言葉の意味は何であろうか。

 「ライバルや強者が弱っている時がチャンスだから、徹底的に打ちのめせ」という意味である、実際にライバルなどは「力を失わせて従わせる(奴隷にする)というのが中国の考え方であり、その考え方の内容をいかに考えてゆくかということが大きな問題である。「好敵手」などという考え方は中国にはない。そもそも中国は戦国時代には「九族誅滅」というような刑罰があり、何か犯罪を犯した場合はその一族もすべて殺すというような刑罰が存在していた。その「血」を根絶やしにするということと、一方で「復讐をするものをすべて殺す」といういうような意味合いがある。まさにその内容こそが、中国の特徴であろう。

 さて、現在ロシアが弱っている。日本人の通常の考え方ならば、これを助けるというようなことになるのであろうが、中国的な考え方では「ロシアを弱らせて、ロシアを従える」というようになる。今年の8月にあった上海機構の中でも、習近平や王毅のプーチンやラブロフに対する態度は話題になったのであるが、まさに、中国というのは「恩」などということは全く考えない国であり、そのような国民性を持っているということをよくわかっておかなければならない。

 その意味で、ロシアの切り札である「核兵器」と「食糧やエネルギーの武器化」に反対する声明を出しているということになるのである。逆に言えば、「中国は同盟国として事前に、食糧やエネルギーを武器化すること」「核兵器を使用すること」を知っていて、あえてそれを公の場で反対表明することで、ロシアを追い詰めているということになるのではないか。

 ではロシアを追い詰めてどうするのであろうか。

 単純に、ロシアを追い詰めるということは「ロシアが敗北する」ということであり、プーチンがロシア国内で失脚するということを意味する。ここからのオプションは少なくないが、ロシア国内に中国の傀儡政権を作るとか、ロシアを分離させてシベリアや北極海航路の港を接収するなどのこともある。あるいはロシアに金を貸し付けて、債務の罠にはめるということもあるし、ロシアが戦争を起こさせてシベリアあたりを占領するということもあるのである。

 そのように中国は「ロシアの孤立化」をはかる可能性がある。そのうえで台湾などを対処する可能性もあるので、その注意が必要だ。いずれにせよ、「習近平派でほとんど中身が見えなくなった中国」をどのようにみてゆくかが、今後の大きな内容になってくる。陰謀はすぐ隣の国で行われているのである。

宇田川源流

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