「宇田川源流」 常に間違いだらけを報道する日本のマスコミが言うようにアメリカの中間選挙は「トランプの敗北」なのか?
「宇田川源流」 常に間違いだらけを報道する日本のマスコミが言うようにアメリカの中間選挙は「トランプの敗北」なのか?
11月8日にアメリカの中間選挙、といわれる議会選挙が行われた。アメリカは4年に一度大統領選挙と議会選挙があるが、その任期が2年ずれていることから、ちょうど大統領選挙の中間に議会選挙が行われることから「中間選挙」といわれ、ある意味で大統領の政治の信任投票的な意味合いを持つとされているのである。当然に、「大統領の中間選挙」ではない。
さて、今回は「共和党有利」といわれていた。実際に、バイデン大統領に関しては、2020年のアフガニスタン撤退においても、また、その後の中国政策に関してもまったく功を奏していないし、また、ロシアのウクライナ侵攻に関しても全く指導的な立場をとることなく、現在に至っているということになる。そのような状態において、共和党で次の大統領選挙に色気を見せているトランプ前大統領を推す声が多く、そのために、共和党が圧勝するのではないかというような声が少なくなかったのである。
しかし、実際にふたを開けてみれば、最終結果として上院では共和党と民主党が同数となり、議長を持っている民主党が主導権と人事権を持つことになった。一方下院では、共和党が過半数を押さえたという結果になったのである。ある意味で「ねじれ議会」となってしまったということになり、様々な不都合が大きくなってきたのではないか。
さて、ここで注目されたのがトランプ前大統領の推薦した候補が軒並み落選したことである。このことによって、「民主党のバイデン大統領はだめだが、しかし、トランプ大統領的な過激な行動に関しては不信感がある」というようなアメリカ国民の意志が大きく反映された結果になったのではないか、との報道が日米の各マスコミでは大きく取り上げられることになったのである。
しかし、実際はどうなのであろうか。確かに無条件でトランプ前大統領が受け入れられるというものではないのかもしれない。しかし、一方で、トランプ前大統領を前面に押し出すしかなかった共和党の内容もいかがなものか、そして、その「統一できていない共和党に下院で敗北した民主党」はどのような感じなのであろうか。その真実を見なければならない。
米中間選挙 野党・共和党 議会下院で過半数獲得が確実 ABC
アメリカの中間選挙は野党・共和党が議会下院で多数派を奪還する見通しになりました。議会上院では、与党・民主党が主導権の維持を決めていて、当初予想されていた共和党の勢いを阻んだ形ですが、下院で大統領の政党と議会の多数派の政党が異なるいわゆる「ねじれ」の状態が生じることになり、バイデン大統領は今後、難しい政権運営を迫られる局面もありそうです。
アメリカで8日行われた連邦議会などの中間選挙は、上院の100議席のうち35議席と、下院の435議席すべてが改選され、現在も開票作業が続いています。
アメリカのABCテレビは、日本時間の17日午前、野党・共和党が下院で過半数の議席を獲得することが確実となり、多数派を奪還する見通しになったと伝えました。
下院では当初共和党の圧勝も予想されていましたが、与党・民主党が予想を上回る粘りを見せて激しい接戦に持ち込み、開票開始から8日がたつ中での大勢判明となりました。
共和党が下院で多数派となるのは4年ぶりです。
上院では民主党が主導権の維持を決めていて、バイデン政権は当初予想されていた共和党の勢いを阻んだ形ですが、下院で大統領の政党と議会の多数派の政党が異なるいわゆる「ねじれ」の状態が生じることになります。
今後、バイデン政権や民主党が進める法案や予算案が議会でとおりにくくなることも予想され、バイデン大統領は残り2年の任期中、難しい政権運営を迫られる局面もありそうです。
バイデン大統領 党派を超えた協力を呼びかけ
野党・共和党が議会下院で多数派を奪還する見通しになったことを受けて、バイデン大統領は16日、声明を発表し「共和党員であれ、民主党員であれ、アメリカ国民のために私とともに働くことを望むなら、誰とでも協力する用意はある」として、共和党に対し党派を超えた協力を呼びかけました。
また、バイデン大統領は、激戦となった州で、おととしの大統領選挙の結果を受け入れない候補者たちが相次いで落選したことを踏まえ「先週の選挙では、アメリカの民主主義の力強さと回復力が示された。選挙を否定する人たちや政治的暴力などは強く拒絶され、人々の意志が勝るということがはっきりと示された」として、民主主義の勝利だと強調しました。
松野官房長官「日米関係に影響を及ぼすことはない」
松野官房長官は午後の記者会見で「アメリカ国内の選挙に関わる事項にコメントすることは基本的に差し控えるが、わが国としても関心を持って注視している。日米同盟は揺るぎなく、その重要性は民主党、共和党を問わず共通の認識が存在しており、選挙の結果が通商政策を含む日米関係に影響を及ぼすことはないと考えている」と述べました。
2022年11月17日 16時29分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221117/k10013894331000.html
さてさて、様々な意見が存在する。トランプ前大統領を応援する日本のSNSでは、そもそも上院で負けたといっても、上院の改選議席数から言えば十分に勝利であるというようなことを言う人もいるし、また、民主党の敗北は間違いがないということを言う人もいる。もちろん、あまりあてにならない、というか、過去にイギリスのブレグジットも、その前のアメリカのトランプ大統領誕生も全く見誤り、ブレグジットに至っては、国民投票が終わっても「再投票してEUに戻る」などといい続け、いまだに恥も外聞もなく、臆面も示さない日本の国際情勢に疎い、情報を持たない解説者という人々は、バイデンの勝利という話をしている。まあ、私はどちらの意見にも与したくない。
あえて言えることは、まず第一にあ「上院で人事権を持ってしまったので、バイデン大統領は後二年間、自分の政治に言い訳ができなくなった」ということである。つまり政治が停滞してもまたは、何らかの問題が生じても、国際的な不利益を被っても、民主党が上院と大統領を握っているということになるのであるから、共和党に責任転嫁をすることができなくなったということである。中間選挙後のアセアン・G20・APECなど重要会議があり、その中で米中首脳会議を行ったが、そのないようもすべて、バイデン大統領と民主党の責任になるということに他ならないのである。
もう一つ言えることは、今回の「主たる争点は中絶の禁止」であったということである。つまり、外交でも経済でも国内の物価政策でもない。そのことは、全く棚上げにしてしまい、その議会選挙が行われたということになる。はっきり言って、そのようなことを争点にした選挙を行うような余裕があるのか、国際情勢はそのような争点の問題ではないということが言えるのであるが、全くその点を無視した選挙戦が見えてきている。
つまり「バイデン大統領は、現在の世界情勢において、ウクライナの問題や中国の台湾問題などよりも、国内の中絶問題の方が大きい」と考えており、また民主党政権とはそのようなことであるということに他ならない。では、中国人民解放軍がもしも台湾に侵攻した場合、その時も中絶問題の方が大きいといえるのであろうか。そのようなセンスがアメリカに問われている。
一方トランプ前大統領は、少々の路線修正を迫られることになるであろう。まさに、今まで、または一回目の大統領就任したときの雰囲気とは全く異なる内容になってきているということになるのではないか。そのことをあと二年でトランプ周辺が修正できるかということになる。
アメリカ国民が2024年に大統領を誰に指名するのかはわからない。その時の雰囲気というものがある。しかし現在の世界情勢で「中絶をテーマにした選挙」を行っているようでは、世界の大国としての自覚を問われることになるのではないか。その問題が大事でないというのではなく、国際社会ではもっと、大事なことがあるのではないかが問われているのである。
0コメント