「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 予言者を出して伏線を作る人間表現の手法を用いた三谷幸喜氏の表現力
「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 予言者を出して伏線を作る人間表現の手法を用いた三谷幸喜氏の表現力
毎週水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、好き勝手に関せ王を書かせてもらっている。まあ、はっきり言ってしまえば、私が自由に感想を言っているだけなので、特に何か出演者などと知っているというような話ではないのであり、まあ、共感する人もいれば全く違うという意見の人もいるのではないかと思うところである。
さて、今回は畠山重忠の乱前夜ということになる。実際に、武蔵国の有力御家人である畠山重忠が、武蔵国を掌握しようとした北条時政の策謀により反乱を起こすという前夜であり、元久2年(1205年)6月初旬の場面ころと思われる。
ここまでに、梶原景時、比企能員が攻め滅ぼされ、また二代将軍の源頼家も、また、実質的に源頼朝の名代で源氏の軍を指揮した源範頼も滅ぼされてしまっている。
ちなみに、当時の武蔵国は、「武蔵七党」と言われるような豪族があり、その小豪族が、様々に割拠しているところ国司が派遣んされ、その武士団を統率していた。しかし、その国司も来ないので「留守所検校職」というところが実質的に支配をしているという形になる。この検校職は、このころは代々畠山氏が世襲しており実質的な支配を行っていたのである。
ちなみにこのころの武蔵国の国司は、源時政の妻りく(牧の方)の娘婿平賀朝雅であり、その行政権や支配権で北条時政とはたけやましげただのあいだで対立が出てくることになる。そのような中に、北条時政とりくの間の子である北条政範が急死する。毒殺ではないかと言われているがその下手人が随行していた畠山重忠の子重保なのか平賀朝雅なのかということが非常に大きな問題になるのである。まあ、武蔵国二俣川の合戦は、ある意味で様々な意味を持つ戦いであり、同時にこの事が起きたのちに、北条時政とりくが追放されるということになる「牧の方事件」が発生することになる。
しかし、ドラマはそんなに単純にならない。歴史はこのように書けば、終わることかもしれないが、ドラマは、その中にある人間模様などをしっかりと書いてゆくことになるのである。
「鎌倉殿の13人」実朝に不吉予言…大竹しのぶサプライズ出演!ネット沸く 3年ぶり大河は歩き巫女に変貌
俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は11日、第35話が放送され、女優の大竹しのぶ(65)が事前告知なしのサプライズ出演を果たした。オープニングタイトルのクレジットで判明。“おばば”こと名うての歩き巫女役を“怪演”した。大河出演は2019年「いだてん~東京オリムピック噺~」以来3年ぶり7度目。3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)に不吉な予言と悩みへの助言。「大竹しのぶ」が本放送中の登場前(午後8時10分)からツイッターの国内トレンド8位に入るなど、シークレットキャストの登場に、SNS上は沸きに沸いた。
<※以下、ネタバレ有>
稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は04年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。
第35話は「苦い盃(さかずき)」。3代鎌倉殿・源実朝(柿澤)の妻になる後鳥羽上皇(尾上松也)の従妹・千世(加藤小夏)が京から鎌倉へ到着。政子(小池栄子)らが出迎えるが、千世を連れてくるはずだった北条政範(中川翼)は京に到着して2日後に“怪死”。愛息の凱旋を心待ちにしていたりく(宮沢りえ)は失意に沈む。そんな中、娘婿・平賀朝雅(山中崇)が畠山重忠(中川大志)の嫡男・重保(杉田雷麟)への疑惑をりくに告げる。一方、朝雅の振る舞いについて重保から相談された北条義時(小栗)は父・時政(坂東彌十郎)に…という展開。
実朝は鹿汁をごちそうになり、意気投合した和田義盛(横田栄司)の館を再び訪れた。義盛は実朝、北条泰時(坂口健太郎)鶴丸(きづき)を“面白い所”に連れていく。
とある寺。テントのようなものの中に“おばば”こと名うての歩き巫女(大竹しのぶ)がいる。
歩き巫女「(占いを始め、枝葉を水につけながら何かを唱える)この中にひと月、体を洗っていない者がおる」
義盛「俺だ。よく分かったな」
実朝「実は、私も分かっていた(手を鼻にやる)」
泰時「これって、占いですか」
歩き巫女「(義盛に)おまえ、もっと後ろに下がれ。(泰時を指し)双六。苦手だろ」
泰時「苦手というか、子どもの頃から双六をすると、どういうわけか具合が悪くなってしまうんです」
歩き巫女「さもありなん。(鶴丸を指したかと思うと、実朝を指し)雪の日」
実朝「雪の日」
歩き巫女「雪の日は出歩くな。災いが待っている」
実朝「災い」
義盛「雪の日は滑るから、だいたい皆、出歩かない方がいいんだ」
歩き巫女「うるさい」
義盛「次、俺」
歩き巫女「寄るな!」
日が暮れ、実朝と歩き巫女は2人きり。
歩き巫女「悩みがあるようだな」
実朝「妻をめとった」
歩き巫女「おー、めでたいのー」
実朝「私の思いとは関わりないところで、すべてが決まった」
歩き巫女「おまえさん…まあいい。悩みは、誰にもある。おばばにもある。年を取って近頃、ひじがあごに付かなくなった(実演)」
実朝「誰でもそうなのではないか」
歩き巫女「これだけは言っておくよ。おまえの悩みは、どんなものであっても、それはおまえ1人の悩みではない。遥か昔から、同じことで悩んできた者がいることを、忘れるな。この先も、おまえと同じことで悩む者がいることを、忘れるな。悩みというのは、そういうものじゃ。おまえ1人ではないんだ。決して。気が晴れたか」
実朝は涙を拭い、笑った。
SNS上には「大竹しのぶさん、凄すぎる。誰だか分からん」「大竹しのぶだったのかー!途中まで気がつかなかった」「あっ、大竹しのぶかぁ。(日本一のおばあちゃん女優)北林谷栄かと思った」「大竹しのぶさんが『アミダばばあ』(明石家さんまの人気キャラ)とか言われてるwまあ、オープニングのクレジットを見なければ、大竹しのぶさんだと分からないレベルだったのは確か」「いや、この予言不吉すぎる」「実朝に雪の日に災いがっていう、あの占いばばあ只者じゃねー!」「実朝くん、マジで雪の日に出歩かないでね」などの声が続出。大竹の“変貌ぶり”も大反響を呼んだ。
史実としては建保7年(1219年)1月、雪が積もる日、実朝は落命している。
[ 2022年9月11日 20:45 ] スポニチアネックス
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/09/11/kiji/20220911s00041000399000c.html
今回は、まず「鎌倉殿の13人」の割には、誰も死ななかったということになる。珍しい階であるが、その分伏線をつけた所は少なくない。
まずは、何が驚いたって、「歩き巫女」として出てきた占い師が大竹しのぶだったことであろうか。特殊メイクで初めはだれもわからなかったが、さすがにその存在感もまた、演技もしっかりとしている。
そのうえ大竹しのぶの予言だ。「雪の日は出歩くな。災いが待っている」<上記より抜粋>は、さすがに驚いた。まあ、源実朝は、建保7年(1219年)1月、雪が積もる日、鶴岡八幡宮において、大イチョウの陰から出てきた公暁によって指されて絶命するのであるが、そのことを予言という形で伏線を付けている。そしてこの予言の中に様々な内容が書かれているし、その予言を利かせに行くことで、実朝が行方不明になったとして、鎌倉が大騒ぎになるというような話になるのである。
そのような場所に必ず入っている北条泰時という人物が、また面白く書かれている。常に表舞台が北条義時で、その裏の部分を北条泰時が歩いて見ている。親子併せて表裏一体になりその側面を北条徳房が固めてゆくというような話を、役割分担的に書いているのがなかなか興味深い。
源実朝の話もなかなか興味深いし、また畠山重忠をめぐる内容も興味深い。しかし、その興味をそそるのは間違いなく伏線の付け方と人間の書き方に基づくものであり、、そのキャラクターをしっかりと特徴づけて、ある意味で人間の面白さや特徴を見ながら書いているということが、三谷幸喜のすごさではないか。
実際に、この「鎌倉殿の13人」は残り10回くらいで終わるのであるが、その中で、様々な人のキャラクターがあり、そのキャラクターがうまく共鳴して面白さを増しているのかもしれない。そのような中で大竹しのぶのような、ベテランが味を出してそのキャラクターを演じるというのが、決して主役やメインの役柄ではないにしても、その内容を特徴づけている。
そういえば、比企尼を演じた草笛光子さんもまだもう何回か出てくるのではないか。片方でそれを予言した大竹しのぶと、実朝を殺そうとして、公暁に吹き込んでいる比企尼。ある意味でスピリチュアルな描き方も面白いのかもしれない。
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