「宇田川源流」 今話題の「Z世代」に焦点を当てた番組の高視聴率の裏側

「宇田川源流」 今話題の「Z世代」に焦点を当てた番組の高視聴率の裏側


 「Z世代」という言葉を聞いたことがない問う人はいないのではないか。実際に「Z世代」という内容は徐々に様々な意味を持ち始めている。基本的にマスコミは「今までの自分の常識と異なる」ということに関して、笑いの対象にしている。しかし、そのようなことを言っているのは今の内だけであり、実際にはこれからの日本を担う世代になるということは明らかなのである。要するに、「大人世代が笑っているつもり」で「実は自分が笑われている」というような感じである。まさに「サファリパーク現象」といわれるようなもので、自分がサファリパークを経営し、動物を閉じ込めているようでありながら、結局車の中から出ることができず、多くの動物に囲まれてみられているという現象だ。そのことがわかっていないマスコミが、将来嘲笑の対象になるということは間違いがないのであろう。

 まあ、そのようなことは別にして、「Z世代」という言葉が、マスコミなどでもでてきて、また従来の世代とは全く異なる特徴を持っているということになるので、なかなか興味深い。

 そもそも「Z世代」とは、1996年生まれ~2011年生まれ、ちょうど阪神大震災から東日本大震災までの機関に出生した世代の事を言う。しかし、その生活というのは「出生時」ではなく「物心ついた時の体験や環境」で決まるものである。そのように考えれば、「地震の影響や異常気象」というようなことが上げられ、また、一方で、Windows95・98などが広まり、また携帯電話などが徐々に一般化し、思春期には皆がスマートフォンを持っているという世代になっています。社会不安なども多く、自分で育て、一方でずっと不景気なので、ブランドなどにこだわらず、自分の価値観でモノを決めてゆくというような世代である。

 そのために「個性的」「ネットネイティブ」などと言われているが、一方で「SDGs」などの社会問題や国際問題に非常に興味を持ち、なおかつ、レトロブームや昭和ブームなどがあり、音楽ではCDが売れてみたり、使い捨てカメラ「写ルンです」が売れるなど、「不便」「手間をかける」ということを好むというような状態にある。

 この世代の解明が、実はこれからの重要なテーマになってくるのではないか。

「ダウンタウンvsZ世代」 異例の高視聴率を獲得した「仕掛け」を深堀り

 8月13日に放送された日本テレビの特番「ダウンタウンvsZ世代 ヤバイ昭和あり?なし?」が話題になっている。単発の特番でありながら多くの視聴者を獲得しており、世帯視聴率は12.5%、個人視聴率は8.4%だった(関東地区、ビデオリサーチ社)。個人視聴率は8月8~14日の1週間の「その他の娯楽番組(バラエティ番組)」部門でトップの数字である。

 この番組は、「昭和世代」の中高年タレントと「Z世代」の若いタレントをゲストに招いて、昭和世代の文化や風俗流行を紹介しながら、世代間ギャップを浮き彫りにしていくというものだった。レギュラー番組に関連する企画以外でダウンタウンが日本テレビで特番を仕切るのは6年ぶりのことだという。

 この番組がなぜ多くの人に見られたのか。もちろん、最大の理由は「面白かったから」ということに尽きるのだが、そこをさらに深く掘って分析していきたい。

   一流のテレビマンの手腕

 この番組の企画・総合演出を務めたのは、日本テレビの高橋利之氏。「行列のできる法律相談所」「世界一受けたい授業」「有吉反省会」「笑ってはいけないシリーズ」などの総合演出を手がけてきた日本テレビでも有数のカリスマディレクターである。

 彼がこれまで作ってきた番組は、いずれも「娯楽性」と「大衆性」を見事に両立させてきたものばかりだった。娯楽性とは、とにかく面白いものであるということ。大衆性とは、多くの人に愛されるものであるということだ。

 どんな分野であっても、際限なく質を高めていくと、それに伴って大衆性が失われてしまうのが普通である。超一流の美術品の価値というのは、美術の専門家にしか理解できないだろう。エンターテインメントの世界でもそれに近いことがしばしば起こる。プロの芸人や熱心なお笑い愛好家が心の底から腹を抱えて笑うようなことは、多くの人には理解できないものだったりすることもある。

 しかし、高橋氏をはじめとする一流のテレビマンの手がける番組というのは、娯楽性を高めながらも、大衆性を置き去りにしない。彼らはできるだけ間口を広げて、わかりやすくて面白いものを提供しようとしている。

「ダウンタウンvsZ世代」でも、VTRの作り方にそのようなこだわりが感じられた。昭和の文化を単純に紹介するだけでなく、スタジオトークのフックになるような題材が厳選されていたし、ひとつひとつのVTRの瞬間ごとに視聴者を逃さない工夫が張り巡らされていた。

   テレビ離れは進むが…

 そもそも、昭和世代とZ世代を対比させることで、両方の世代の視聴者を取り込もうとしていることは明白である。そんな番組のMCとして、ダウンタウンを起用したというのも納得できる。

 ダウンタウンの2人は、還暦間近の「アラ還芸人」でありながら、いまだに現役のテレビスターであり、中高年だけでなく若い世代にも支持されている。そんなダウンタウンを仕切り役にして、昭和世代とZ世代のタレントを大勢スタジオに集めることで、どちらの世代の視聴者からも見やすくて楽しみやすい最強の布陣が完成した。

 しかも、昭和世代の伊集院光、川島明、Z世代の池田美優(みちょぱ)のように、どんな話題でも場を盛り上げることのできる有能なメンバーを並べていた。これだけの布陣が組まれていたら、視聴者を取り逃がす心配はない。

 人々のテレビ離れが進む中で、本当に面白いものを作れば多くの人に見てもらえるということがわかったのは、テレビ業界にとっては明るいニュースだろう。「ダウンタウンvsZ世代」からは、ダウンタウンの健在ぶりと日本テレビ制作チームの高い志が伝わってきた。

デイリー新潮編集部

2022年9月4日 11時32分 デイリー新潮

https://news.livedoor.com/article/detail/22792184/

 さて、現在は「活字離れ」「テレビ離れ」が進んでいるという。「Z世代」が中心になるということか価値観の多様性が標準化され、なおかつテレビのように「ステレオタイプ的に、価値観を押し付けなおかつ偏向報道をするような状況の者については、それが右であれ、左であれ、抵抗するというのが思春期的な内容である。

 その内容がしっかりと考え、国民の事をわかっていれば、当然に、その内容はわかるはずであるが、なぜか日本のマスコミはわかっていない。自分の将来について真剣に考える人々であるからこそ、その価値観を自分で大事にするということになるのではないか。

 高橋氏をはじめとする一流のテレビマンの手がける番組というのは、娯楽性を高めながらも、大衆性を置き去りにしない。彼らはできるだけ間口を広げて、わかりやすくて面白いものを提供しようとしている。<上記より抜粋>

 さて。ここに書かれているのが「情報を発信する人の極意」であろう。

 「娯楽性」という言葉で、なんとなくエンターテイメントを追求するように見えるが、実際に「興味を引く」と言えば、誰にでも当てはまるのではないか。情報を伝達するときに、相手の価値観や興味に合わせるのは当然の事であり、そのことがでいていないかった方がおかしいといえる。しかし、なぜか情報を出す側が、自分の形式でしか物事を出さず、相手が理解するかしないかを関係なくそのままにしてしまうことが少なくない。そのように「市場を置いてけぼりにしてしまう」ということが、マスコミや商業が廃れてゆく原因である。常に市場に合わせ、そして、公平公正に、発展させてゆけば、絶対に廃れることはない。自己陶酔をして独善的になることがそのまま、おかしな価値観を生みそのまま物事を見えなくしているのではないか。

 そして「間口を広げる」、つまり、多様性の価値観をそのまま保持するということになる。誰が見ても面白いということは、まさに多様性がしっかりと表現できており、誰が見ても面白い、興味を惹かれるようになっているということにつながるのではないか。

 テレビのニュースであり、あまり興味がない人も少なくない。しかし、我々は「他人の失敗から学ぶ」という状況にあるのではないか。この番組の視聴率は、そのようなことができていない人々への警鐘を鳴らしているのではないか、そのように感じるものである。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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