「宇田川源流」 「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんの死とその取材体制に対する日本人の批判

「宇田川源流」 「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんの死とその取材体制に対する日本人の批判


 このゴールデンウィークの間のニュースというのは、本当に暗いニュース、特に、人が死ぬというような内容しかなかったのではないか。私自身、過去に新聞などのニュースに携わっていたのであるから、それらのニュースが重要でありまた、一般の人々がそれに飛びつくのはわからないではない。しかし、ゴールデンウィークというのは連休中であり、小さい子供もテレビを昼から見ているのである。そのような子供に見せてよいニュースかどうか、まずは分別をつけるべきではないかと思う。

 性的な表現に関しては、様々な制限をしているが人の死、特に「自殺」ということに関して、全く制限もなく情報を流してしまうのは、マスコミとして無責任ではないのか。性的表現を報道して、性犯罪に走るのは問題で、自殺報道をそのまま流して後追い自殺や誘発をしてしまっても、全くそれは問題にしないという「マスコミのご都合主義」はいかがなものであろうかと考える。先日も、そのようなことを古いジャーナリストの皆さんと話をしていたが、多くの人が私の意見の同意であった。単純にご遺体をモザイクで勝っ癖ばよいというような話ではないのではないか。

 さて、自殺に関して、特に芸人の自殺に関しては、以前人間国宝ですでに故人となられた桂米朝師匠が、お弟子さんの桂枝雀師匠の自殺について「私たち噺家というのは因果な商売で、自分がかわいがって、やっと世に出て、そしてそれでも道に迷って、自分が力になれなくて、死んでいった弟子を、お客様の前で笑いの種に使わなければならない。心の中で泣いて、謝って、それでもお客様の前では自分の弟子の死を笑いに変えて落とさなければならない。それでも笑ってくれれば良かったと思う。こんなに因果な商売を自分で選んでしまったことを恨む日がくるとは思わなかった。」という言葉を話して肩を落としていらっしゃったが、まさに、そのようなことではないか。「心で泣いて謝て、それでも笑いに変えて落とす」この言葉の重みは、桂米朝支障出なければわからないのではないか。もちろん、今回亡くなった渡辺裕之氏や上島竜兵氏なども、本人しかわからない苦しみがあったとは思う。しかし、米朝師匠のようなより大きな悲しみを心に抱える人もいるということをもう少し早く理解していたら、このような結果にはならなかったのではないか。その意味では非常に残念でならない。

上島竜兵さん死去後に「自宅前中継」 フジ・テレ朝の報道に「何の意味があるんだ?」

 お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんが亡くなったことが、2022年5月11日に報じられた。朝の情報番組では訃報が相次いで伝えられたが、中には上島さんの自宅前から中継する番組もあり、ネット上では疑問の声が聞かれている。

 「邪魔にならないところからお伝えしているんですが...」

フジテレビ「めざまし8」は、8時の番組開始直後から番組キャスターが東京・中野区にある上島さんの自宅マンション前から中継。通学中とみられる子どもたちが背景に映り込む中、キャスターは近所住民に聞いた上島さんの印象などを伝えていた。同局昼の情報番組「ポップUP!」でも、この時の中継の様子が伝えられた。

 テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」では9時30分頃に上島さんの死去を報じ、番組リポーターが自宅前から中継。リポーターは「午前9時前に到着したんですが、そのときから段々と報道陣の姿も多くなってきました。カメラの数も多くなってきたように思います。現在通勤通学の時間帯ということで、我々も歩道の邪魔にならないところからお伝えしているんですが...」と現場の状況を伝えた。

 また、日本テレビ「スッキリ」では、番組の芸能リポーターが東京・新宿区にある上島さんの所属事務所前から中継を行っていた。

 テレビ局の「自宅前中継」に、ツイッター上では「こんな時に自宅前から中継するなよ」「自宅前から放送することに何の意味があるんだ?」「どうして自宅まで行かなあかんの」「解せない」と疑問の声が相次いだ。

2022年5月11日 16時45分 J-CASTニュース

https://news.livedoor.com/article/detail/22145019/

 さて、今回はある意味で「マスコミ批判に関する一考」の中の一つになるのではないか。5月11日の朝の番組では、その日の未明に亡くなったことが明らかになって上島竜兵さんの死について一斉に報道した。当初は「死因が不明」となっていたが、時間を追うごとに自殺であるということが明らかになり、報道のあり方も変わってきている。いずれにせよ、故人を悼み、なおかつ冥福を祈るということを報道するのは当たり前の事であろう。

 しかし、なぜかそのことを「事故現場」のような感覚で報道したテレビ局があった。それがフジテレビとテレビ朝日である。自殺であるということなのに、自宅が「現場」である。もちろん「現場主義」を貫くのは良いことなのかもしれないが、しかし、物事にはTPOというモノがあるのではないか。

 自分の親族が死んだ、それも自殺をしたというときに、その家に行って、インタビューするなんて言うことは基本的に「鬼畜の所業」ではないか。上記にもある通り日本テレビは所属事務所に言った。事務所は当然にコメントなどを出したり記者会見を開く可能性があるので、まだ理解できる。しかし、それでも当日はまだ情報が錯綜している状況であろうから、なかなか大変であり、会見の案内なども何もないときに行くべきかどうかは意見が分かれるところであろう。当然に「自宅」などというのはもってのほかであり、まあ、「人の心がわからない」と批判されても仕方がないのかもしれない。

 そのように思ってよくよくみてみれば、テレビ朝日は、以前から「サンゴに自らのイニシャルをつけて写真を撮り事件だと主張する」ようなところでありまた、「椿事件」のように印象操作をして国をさゆしようとした過去もある。ある意味でマスコミが世の中を動かしているというのぼせ上りがあるかのような報道が少なくないところであり、またフジテレビは一時のお笑いや女子アナブームが過ぎ去って、景気が悪くなっていると聞く。いずれにせよ「会社のイメージを上げるために、現場主義で他のテレビ局がやらないような独自取材」というようなことを思った(かなり良い解釈をしている)としても不思議はないが、それでも「日本人の心をわかっていない報道」をしていては話にならないのではないか。

 逆に、そのような「心のわからない報道」をしているから、テレビ離れが大きくなるのである。

 テレビ局の「自宅前中継」に、ツイッター上では「こんな時に自宅前から中継するなよ」「自宅前から放送することに何の意味があるんだ?」「どうして自宅まで行かなあかんの」「解せない」と疑問の声が相次いだ。<上記より抜粋>

 これが、世の中の声なのである。そのことが見えていないテレビ局が、いかに「電波の暴力」をしているのか、そのことをもう少し学ぶべきではないだろうか。きっと、視聴者離れという、大きなマイナスがくるに違いない。

※ なお、私は本件写真をわざとモザイクのあるマンション写真にしております。

宇田川源流

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