「宇田川源流」 自民党総裁選でマスコミ予想に反し「惨敗」の河野太郎はなぜ負けたのか?

「宇田川源流」 自民党総裁選でマスコミ予想に反し「惨敗」の河野太郎はなぜ負けたのか?


 9月29日に自民党の総裁選が行われ、岸田文雄氏が自民党総裁に選出された。その結果や表数などはすでに報道されているので、ここで改めて伝える必要性はないと思う。

 さて、マスコミは事前に「河野太郎が人気がある」というように報じていた。実際に、自民党党員の支持率が42.37%の支持を得ていたが、議員票が全く伸びず、第一回目の投票の中では、2位の高市早苗に28票も議員票で差を開けられ、マスコミの予想を裏切り、全体で2位になったのである。

 さて、まず先にマスコミの話をしてみれは、日本のマスコミは私の記憶する限り、2016年のイギリスのEU離脱国民投票から、その次のトランプ大統領とクリントン民主党候補の大統領選挙など、そのとんどの選挙の結果予想を「外している」のである。世界の日本のマスコミを酷評する人々の中では、日本のマスコミがほとんど取材をせず、気の合う仲間とだけ話した「内輪受け」だけで記事を書いているから当たらないとしているし、イギリスのブックメーカーでは「日本のマスコミが予想した」ということから、オッズが上がる(つまり日本のマスコミの予想は外れる)とされている。まあ、あまり取材もしていないし、思い込みどころか自分たちの願望だけで記事を書いてしまう。そのうえ、その内容を肯定する解説しかつけないという状態では、ある意味で仕方がないのではないか。

 いずれにせよ、そのマスコミは事前に「河野が人気」と報道し、そして、ふたを開けてみれば、第一回投票でも岸田文雄氏に敗れて2位、そして、決選投票ではほぼダブルスコアでの惨敗である。まあ、それだけ議員に人気がないということになる。マスコミは、そのようなことは取材をすれば簡単に見ることができるはずであるが、残念ながらそのような取材はできていない。「事実を伝えられないマスコミ」ということにしかならないのである。

 この「信用できないマスコミ」ということは、徐々に国民の藍あだにも国会議員の間にも当然に広まっており、マスコミの信用度が少なくなり、テレビを見ない人が増え、また新聞の購読者数が激減している状態である。「活字離れ」ではなく「マスコミ報道離れ」なのである。

 河野陣営の敗因の一つは、このマスコミ報道に左右された「旧態依然」としたやり方の敗北であるということが言えるのではなかろうか。

誤算、自滅、不発…河野太郎氏惨敗 これだけの理由

 自民党は29日、総裁選の投開票を行い、決選投票で岸田文雄前政調会長(64)を第27代総裁に選出した。大方の予想を覆し、第1回投票で1票差の1位となったが、過半数に達せず、2位の河野太郎行政改革担当相(58)を決選投票で大差で破った。総裁任期は2024年9月末までの3年間。10月4日召集の臨時国会で、退陣表明した菅義偉首相の後継となる第100代首相に指名される。河野氏は誤算が相次いだ上、自滅した場面もあり、惨敗を喫することになった。

 菅首相の不出馬表明を受けて「待ってました!」とばかりに手を挙げた閣僚の河野氏。「選挙の顔」選びの様相が濃くなる中、派閥横断的に若手・中堅の支持を集め、序盤では先頭を走っていたが、終わってみれば惨敗。記者団に「私の力不足だ。多くの仲間がここまで支えてくれたことに改めて感謝したい」と敗者の弁を述べた。

 誤算に次ぐ誤算、そして、自滅が招いた惨敗劇だった。正式出馬表明前から脱原発などの持論を封印、ぶれた印象を与えた河野氏。多くの支持を得ていた要因の「らしさ」をかなぐり捨てて選挙戦に突入した。それとは矛盾するように唱え続けたのは「争点は国民の支持」。議員票の比重が増し不利となる決選投票を回避、党員票で圧勝し第1回投票での決着を目指した。しかし、ふたを開けてみれば半数を下回る169票(得票率44%)。下馬評を大きく下回った。

 河野陣営は経済関係など票田である各種の自民党支持団体に投票呼び掛けを訴えたが、名門・宏池会を母体とする岸田陣営が既に回った後で大方刈られた状態だった。

 国民の支持が高い石破茂元幹事長と小泉進次郎環境相を陣営の中心メンバーに据えた「小石河連合」も不発。河野氏が火の粉をかぶらないよう、石破、小泉両氏が派閥政治の悪弊を指摘するなど役割分担。しかし、麻生、安倍両政権への批判が過ぎた石破氏に対するアレルギーは強く、支持は広がらず。組織に縛られない浮動票と言える一般党員への浸透が期待された“小泉神話”も効果は出なかった。

 陣営が注力したのは河野氏が得意のインターネットを駆使した戦術。党員票獲得を狙ったものだが、裏を返せば、河野選対は実力者との交渉、多数派工作、切り崩しなどの汚れ仕事を担える陣容ではなかった。自派議員以外に忌憚(きたん)ない意見交換ができる同僚がいないとされる石破氏、若手のリーダー格を自任する当選4回の小泉氏には荷が重い役回りだった。

 武器である発信力があだとなった舌禍事件もあった。90人が名を連ねる若手グループ「党風一新の会」との意見交換会で、政策決定プロセスに関連して「部会でギャーギャー」と発言。「党の役割を軽視」との反発が広がった。小泉氏が「党風一新」と口にし「世代間抗争」を演出するなど、同会メンバーの多くは河野シンパとみられていたが、同会は党より官邸の意向が強く働く「政高党低」の改革も旗印の一つ。若手の離反を招いた。

 自民党関係者は「会中心メンバーが河野さんでは動かなかった」と明かし「これは大誤算」と指摘。「党の支持率も回復傾向にある中、実力者らによる切り崩しも進んだ。選挙優先とはいえ、若手は逆らうリスクと天びんにかけた。元々、河野さんに恩があるわけでもない」と解説した。

 討論会では発信力を発揮するどころか、“あやうさ”があぶり出された。消費税率大幅アップ必至の年金制度改革案や、原発再稼働を容認する一方、核燃料サイクルを止める矛盾を他候補から狙い撃たれ、効果的な反論もできなかった。

 記者団に「またチャンスがあれば、しっかりやっていきたい」と3度目の立候補に意欲を見せた河野氏。しかし、異名である「壊し屋」よろしく、「改革派」という河野像を自身で壊した感のあった総裁選。次があるか微妙と言えそうだ。

2021年9月30日 10時4分 スポニチアネックス

https://news.livedoor.com/article/detail/20948824/

 菅内閣がどうして駄目であったのか。多くの人が、「コロナウイルス対策」とか「経済を含めたコロナ禍対策」ということを言う。あとは「地味」とか「発信力がない」とか様々な事を言うが、どうであろうか。実際に、「地味」とか「顔が暗い」などというひはん(人格批判に近いが)は、総理になる前からわかっていることであるし、また、コロナ対策に関しては、実は8月オリンピック後には、感染者が減っているのである。そのように考えれば、菅内閣は実は「よくやった内閣」ということができよう。

 では何がダメであったのか。

 菅内閣と安倍内閣の違いは、実績や政策などもあるかもしれないが、何よりも「マスコミ報道に左右されたかどうか」ということではないか。マスコミ報道に左右されて、政策がぶれてしまえば、それで国民の信用が無くなるというような感覚になってしまうのである。マスコミは簡単で、「相反する二つの立場」を「かわいそう」といって書けばよい。コロナウイルスであれば、「感染拡大は人が大量に出たからである」と書いて、もう片方で「外食産業や観光産業が火の車だ」と書けばよい。政府が何か具体的に政策を出せば、どちらか一方を取り上げて「政府が切り捨てた」と書けばよいのである。そのようなマスコミに振り回されていたために、結局方針が見えないということでおかしくなってしまったのである。

 さて、今回の総裁選において、その「マスコミに流される」というやり方を取ったのが、河野太郎である。

 単純に言って、麻生派でありながら派閥を代表する出馬ではなかったことから、派閥の支持を得ることができず、そのために、「人気がある」とされる石破茂や小泉進次郎を頼らざるを得なくなった。もちろん、麻生太郎と石破茂との間は、様々な因縁があり、なかなか関係が難しい。しかし、「国民の人気(党員投票での集票)」を狙う戦略であったのか、マスコミのことばにだまされたのかは知らないが、「圧倒的な国民的な人気がある」というようなことで、議員工作(といっても挨拶くらいなのだが)よりも、ネットを使った党員への訴え以外にはなかった。

 しかし、そもそもマスコミのいうように石破茂も小泉進次郎も評判はよろしくない、というよりは「野党の人々には人気だが自民党員には人気はほとんどない」ということになっており、その結果が上記のように党員票の42.37%しか得られなかったということになる。議員の方は、あまり重視していなかったのか、あるいは安心していたのかもしれない。しかし、そもそも20人の推薦人が集まらなかった石破氏と組んでなんと中ると思ったのであろうか。

 さて、これは今日は書かないが、河野太郎氏は、今後「第二の渡辺喜美」になるような気がするのである。その辺はまた次の機会に書く。いずれにせよ「マスコミに流された」結果で、菅内閣は退陣(任期で立候補せず)になり、また河野太郎は敗北に追い込まれた。そのことに関してマスコミは全く責任を負わない。そのような「歪んだ内容」が、今回の敗北劇の主たる要因ではないか。

宇田川源流

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