「宇田川源流」【大河ドラマ 青天を衝け】 攘夷を叫んだ時代的背景とドラマの楽しみ方
「宇田川源流」【大河ドラマ 青天を衝け】 攘夷を叫んだ時代的背景とドラマの楽しみ方
水曜日は大河ドラマ「青天を衝け」について書いている。まあ、今年の大河ドラマはなかなか評判が良いというよりは、その出演俳優がイケメンが多く、そのことからなかなか評判が良いらしい。先週う4月18日の第10回で15.9%であったということであるから、近年の大河ドラマの中ではなかなか良い数字になっているのではないか。
実際に「イケメン俳優が見たい」とか「ドラマのストーリーが面白い」というようなきっかけでよいと思う。そこから「あの時の単語なんだったっけ」とか「あの主人公と一緒にいたあの人はどんなことをした人だろう」とかもっと「この先どんな展開になるのだろう」というようにして、自分で調べるようになってくれれば、そこから、歴史を好きになるというような扉が開く。
歴史であっても、現在の政治であっても、人が「国」とか「自分たちの村」とか、あるいは「自分の家族」というものを少しでもよく使用、どん底から這い上がろうと思い、その中でもがいているうちに、一つ筋の光を見つけ、がむしゃらにその方向に進んだり、艱難辛苦の末に何かをつかみ取る姿を、ドラマ仕立てでやっているのが大河度あらま、そしてその姿を見て、自分たちの今の生活を省みるのが、いまのせいかつではないか。
当然に現在の大河ドラマを、当時の人がもしも見ていたとしても、何を言っているのかというような感じになるのではないか。そのように考えて「歴史をすきになるための入り口」と思っていれば、それはそれでなかなか面白いのではないか。何も史実通りである必要などはない。それよりも現代の自分に置き換えて、ドラマという創作物を見ることの方がよほど重要であり、現在の人が生きる活力になるのであれば、それが最も良い話ではないのか。
青天を衝け:栄一の父に視聴者熱視線 お前はお前の道を行け…小林薫“とっさま”「カッコよすぎ」
俳優の吉沢亮さん主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)第11回「横濱焼き討ち計画」が4月25日に放送された。同回の終盤、天下のために働きたいから「自分を勘当してほしい」と頭を下げる栄一(吉沢さん)に対する、父・市郎右衛門(小林薫さん)の言動に、視聴者の熱い視線が注がれた。
そんな栄一を市郎右衛門が「俺は政がどんなに悪かろうと百姓の分を守り通す。それが俺の道だ。お前はお前の道を行け」との言葉で送り出す姿に、SNSでは「とっさま、カッコよすぎる~」「親父様格好いい」「とっさまが一番かっこいい…」「とっさま懐が深いわ」「ほれてしまいそう」「優しすぎる」などの声が次々と上がった。
第11回は、栄一と千代(橋本愛さん)に待望の第1子が生まれるが、すぐに亡くなってしまい、渋沢家は重い空気に包まれる。そんな中、惇忠(田辺誠一さん)は自らの手で攘夷の口火を切ろうと、横浜の外国人居留地の焼き討ちを発案。心を動かされた栄一は、武器や仲間を集め始める。
一方、謹慎を解かれた慶喜(草なぎ剛さん)は将軍・家茂(磯村勇斗さん)の後見職となるも、島津久光(池田成志さん)らから「一刻も早く攘夷の決行を」と迫られる……という展開だった。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
MANTAN-EEB 2021年04月25日
https://mantan-web.jp/article/20210425dog00m200025000c.html
今回の話は「生きる活力」という意味では、渋沢栄一(吉沢亮)の中に生きる希望と、生きていても仕方がないという絶望が生まれる。
子供(市太郎)が生まれ、そのために頑張ろうとするが、一歳(当時は数え年)になる前に、子供が死んでしまう。そしてその子供が死んでしまい、自分の命を捨てて国のために何とかしようと考えるのであり、それが高崎城強襲計画とそこからの横浜襲撃計画ということになる。しかし、そのことを行うために武器などを集めた矢先、また子供が生まれてしまう。家族に迷惑をかけないために、親に勘当を願い出るというストーリーである。
当時、時代が大きく変わるという状態である。まさに、イギリスは産業革命を終え、その蒸気機関のために鯨油が必要で、クジラの乱獲をする。現在絶滅危惧となっているクジラは、この産業革命初期のイギリスやフランス、アメリカなどが乱獲したことが原因d根あり、決して日本などがクジラを食べていたためではない。そのことは、この大河ドラマだけでなく、例えば「白鯨」などという物語にも書かれている。
そのために水と少量の補給港の欲しい欧米は日本に開国を迫ったということになるのだが、このことで、一つは異文化がはびこるということになり、もう一つは今まで日本にはない疫病がはやるということになる。今回渋沢栄一の子供は、疫病の内の麻疹であるが、そのほかにも疱瘡(天然痘)そして虎狼痢(コレラ)などがはやることになるのである。そのような状況と、日本人特有の海外嫌いから「攘夷(外国人の追い出し)」運動が始まる。その攘夷を論理的に行ったのが後期水戸家、特に徳川斉昭(竹中直人)であり、そして、その腹臣ともいえる藤田東湖(渡辺いっけい)である。
一方、幕府をはじめとした政権中枢は、その圧倒的な力を見て「攘夷などは不可能」と考え「開国」するということを決断し、井伊直弼(岸谷五朗)が強硬にそれを推し進めるが、桜田門外の変で死んでしまう。そして、攘夷決行を促す勢力が大きくなり、渋沢たちもそれに流されてゆくというような感じになるのである。
当時関東の農民や武士たちは「江戸」という圧倒的な都会の前に、その格差が大きく、そしてその生活の違いなどから、「攘夷」ということを考えるようになり、「幕府を信頼する(新撰組など)」と「幕府は信用できないから倒すべき(水戸藩浪士)」などに分かれることになる。
今回の大河ドラマはその辺の人間模様がなかなかうまく書かれているといえる。藤田小四郎(藤田東湖の息子で後の天狗党の乱の企画者)などは、親のプレッシャーに負ける漢字などがよく書かれているのではないか。
当時の時代背景や人間関係をわかっているとより面白くなるのが歴史ドラマであろう。まさに、自分の知っている「歴史」との「違い」を楽しめるようになれば、それこそが最も良い楽しみ方である。
それにしても「攘夷」というのは今では考えられないのであるが、やはりそのような心意気は必要なのかもしれない。
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