「宇田川源流」 第19期五中全会の中で習近平国家主席が長期政権の基盤を強くしなければならない国内事情
「宇田川源流」 第19期五中全会の中で習近平国家主席が長期政権の基盤を強くしなければならない国内事情
中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が2020年10月26日から29日まで北京で開催された。会議は中央政治局の委託を受けて習近平総書記の行った活動報告を聴取・議論し、「国民経済・社会発展第14次五カ年計画と2035年までの長期目標の策定に関する中共中央の提議」を審議・採択した。
ある意味で、一年に一回の最も重要な会議であるといえる。国家主席の任期が5年であることから、今までであれば、次の国家主席のことが話し合われる内容であった。習近平になるまで、中国の国家主席の内容は2期までと決めていたからである。しかし、その「二期まで」の制限がなくなったことから、今回は「習近平が三期目まで行うのか」ということが焦点になっていたということになるのではないか。
昨年の第19期四中全会では、会議期間中に自殺者が出るなど波乱に満ちた内容であった。四中全会に関しては昨年有料メルマガ「宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話」(https://www.mag2.com/m/0001647155)でしっかりと書いているので、その辺に詳細を譲りたいが、昨年の四中全会では、「習近平時代が終わるのではないか」というような感覚になっており、五中全会で胡春華の国家主席が決まるのではないかとの憶測も流れたのである。
その雰囲気は一気に変わったといえる。変えたのはほかならぬコロナウイルスである。
コロナウイルスは世界の政治を一変させたといえる。そしてその中で最も有利に動いたのが習近平国家主席であり、そのことからも今回のコロナういう留守に関して中国の発生陰謀説が様々に出てくることになる。もちろん、私自身、中国人民解放軍がコロナウイルスを世界に蔓延させた犯人であると信じている一人である。
さて、そのような中での五中全会はどのようになったのであろうか。
習近平氏の3期目続投濃厚に
【北京時事】中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、2035年までに「1人当たりの国内総生産(GDP)を中等先進国の水準に引き上げる」方針を決め、閉幕した。次世代指導者の要職への起用は発表されず、22年の次期党大会後も習近平国家主席(党総書記)の3期目続投がほぼ確実視される状況になった。
国営新華社通信が発表したコミュニケによると、5中総会は、35年までに「社会主義の現代化を基本的に実現する」と表明した。「中等先進国」は先進国に準じる水準を指し、コミュニケは都市と農村の生活水準の格差是正に取り組むと明記した。
また、「国家主権と発展の利益を守る戦略能力の向上」を訴え、米国との対立が深まる中、別格の指導者を意味する「核心」である習氏を中心に国防の強化を目指すことを確認した。
新5カ年計画に関しては、国内経済を主体に内需と外需の循環を相互に促進する新たな発展モデル「双循環」を基調として、持続的な経済成長を図る考えが示された。コミュニケは、20年にGDPが100兆元(約1520兆円)を超えるという見通しを明らかにしたが、今後の経済成長の数値目標については言及していない。 【時事通信社】
2020年10月29日 22時42分 時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-843068/
10月29日に発表された五中全会コミュニケには、イノベーション、協調、グリーン、開放、共有といった新しい発展理念を貫くこと」、「国内循環をメインとし、国内と世界の両循環の相互促進といった新しい発展モデルの構築を加速すること」、「新しい発展理念を貫き、新しい発展の配置力とレベルを構築して、高品質発展の実現に根本的な保障を提供すること」ということが盛り込まれた。新しい発展段階と位置づけた第14次五ヵ年計画を中心に、一連のガイドラインと守るべき原則を出したのである。
第19期における第13次計画では、2020年の国内総生産(GDP)は100兆元を突破する見通しである都市、「農村の貧困人口5575万人の貧困脱却を実現」ということを打ち出した。汚染対策の取り組みを強化し、生態環境を著しく改善。対外開放を拡大し続け、「一帯一路」共同建設において実り豊かな成果得る。というように、習近平の功績をたたえ、高等教育は普及化の段階に入り、都市部の新規雇用者数は6000万人を超え、世界最大規模の社会保障システムを完成させ、基本医療保険は13億人以上をカバーし、基本養老保険は10億人近くをカバーし、新型コロナウイルスの感染防止・抑制において重要な戦略的成果得る、というように経済に関する内容も書いている。
ここで特徴的なのは、四中全会で消えていた「一帯一路」が復活していることである。このことは、一帯一路に反対していた共産党の人々がコロナウイルスの内容で淘汰され、習近平に近い感覚の人々が増えてきたということを意味するつまりは、「江沢民派が弱まった」ということを意味することになり、一帯一路つまりは中央アジア進出と、対話にゃ香港の支配強化そしてインド洋進出が活発化するということを意味する。
四中全会の内容からの違いは、今年6月の国家安全法の施行であり、そのことによって香港の民主派をほとんど淘汰することができたたと評価されている。この香港に対する内容は、本来であれば「人権」を無視したということで、諸外国から大きなクレームがあったところであるが、コロナウイルス禍で、他国に関することに余裕がなくなった米英が口を出せない状況に間に「火事場泥棒」的に行ったということが言える。逆に言えば来年以降コロナウイルス以上のパンデミックが発生した場合、台湾への武力行使なども十分にありうるということになるのである。
2035年までの長期目標も発表している。つまりは習近平は2035年までの長期政権を目指しているということを意味する。そのうえでその内容を見れば以下のようになっている。
中国の経済力、科学技術力、総合国力は飛躍的に高まり、経済規模と都市・農村部住民の・・ 1人当たり所得は再び新たな大台に達し、主要技術及びコア技術において重要なブレークスルーを実現し、イノベーション型国家の先頭集団入り果たす。(要するに米国や日本へのスパイ活動をより組織的に行い中国人の私腹を肥やす)
・ 新しいタイプの工業化、情報化、都市化、農業の現代化を基本的に実現し、現代化経済システムを完成させる。(共産党の資産を増やして情報や経済・製造の一元化を目指す)
・ 国家ガバナンスのシステムと能力の現代化を基本的に実現し、人民が平等に参加し、平等に発展する権利を十分に保障し、法治国家、法治政府、法治社会を基本的に完成させる。(共産党に都合のよい法律を作り香港のように反対者をすべて処罰する)
・ 文明強国、教育強国、人材強国、スポーツ強国、健康中国を完成させ、国民の素養と社会の文明の水準を新たな高みに押し上げ、国家の文化力とソフトパワーを著しく高める。(中国文化の推進という手段で他国の文化を破壊し外国に進出する)
・ 生産・生活のエコスタイルを広範に形成し、炭素排出量のピーク後に着実に減少させ、生態環境を根本的に好転させ、美しい中国の建設という目標を基本的に達成する。(表面的には美しい国を目指し世界の「環境派」「人権派」といわれる左翼主義者を糾合した新たなコミンテルンを作る)
・ 対外開放の新構造を形成し、国際経済協力・競争への参加における新たな優位性を著しく強化する。(外国の投資を受け入れ富を収奪する)
・ 1人当たりGDPで中等先進国水準に達し、中所得層を著しく拡大し、基本的公共サービスの均等化を実現し、都市部と農村部の発展格差と住民間の生活水準の格差を著しく縮める。(農村部特にチベットやウイグルの支配を強化する)
・ 「平安中国」の建設においてより高い水準に達し、国防と軍隊の現代化を基本的に実現する。(人民解放軍の世界進出を行う)
・ 人民の生活をさらに素晴らしいものにし、人の全面的発展、人民全体の共同富裕化において一層明らかな具体的進展を得る。(漢民族の生活を重視吸うrことから更なる少数民族や他国民に対する制限を加える)
さてこれを見てどのように感じるであろうか。もちろん共産主義国家のプロパガンダであることは間違いがないがその本質を見てゆけばよい。その本質の部分をすべてカッコ内で書いている。このように言い換えれば、何が問題なのかがわかるはずである。この長期計画の中に、「国際協調」や「少数民族」が書かれていないことがよくわかると思う。日本人は性善説で見てしまうのでそのような見方ができないのであるが、そのようば見方をすることが最も重要ではないのか。
このコミュニケの分析と今後の中国は大きな問題になるのではないか。
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