「宇田川源流」 菅官房長官が7割の得票で選出された自民党総裁選の読み方
「宇田川源流」 菅官房長官が7割の得票で選出された自民党総裁選の読み方
8月28日に辞任表明会見を行った安倍晋三自民党相殺に代わる自民党総裁に関して、9月14日午後、自民党党大会が行われ、その中で菅義偉官房長官が選出された。9月16日に特別国会が開かれ、そこで内閣総理大臣に指名される予定である。
というのは、基本的にはすべてのニュース番組でいえることである。さて、今回このブログでは、「菅義偉新総裁」に注目するのではなく、2位・3位またはそのほかの菅氏を支持した人々の内容に見てゆかなければならないのではないかと思う。
さて、今回の総裁選の流れをまず見てみよう。
8月28日に安倍首相の突然の辞任会見があり、その後、とりあえず順不同で石破茂氏、岸田文雄氏、河野太郎氏、下村博文氏、野田聖子氏、稲田朋美氏、西村康稔氏などが出馬の意向を示した。本命としては麻生太郎副首相に臨時代理などの話もあったし、また加藤勝信氏、石原伸晃氏などの話も出てきていたような気がする。そのうえで、まずは麻生太郎氏が、出馬しない意向を出した。大本命がいなくなってしまい、臨時代理の話がなくなってしまったことから、上記のような百花繚乱の出馬意向表明になっていった。
自民党の総裁選というのは、片方で「政党の顔」であるのと同時に「首相」になるということもある。一方で、「首相になる」ということは「政党の総裁としての仕事は幹事長に任せることになってしまい、主に内閣の業務に専念する」ということになってしまう。そして「政党の政策は、基本的には各部会で決定する」というイメージがあるので、相殺そのものが政党の政策とは異なるという感覚を持っている。そのために「選挙の顔」ではあるものの「正当の政策の中心」という意味合いは少ない。
そのようなことから考えると、「順序」などを考えることなどがあり、また、「派閥」などの内容が出てくることになるのである。それらのことから、石破茂氏と岸田文雄氏の一騎打ちになると予想された。しかし、そこに麻生副総理の推薦から、菅義偉官房長官が安倍内閣の後継ということから、出馬表明をし、そのままそちらに流れていったということになる。
自民党新総裁に菅官房長官を選出 あさって首相に就任へ
安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党の総裁選挙は、国会議員と都道府県連の代表による投票の結果、菅官房長官が新しい総裁に選出されました。菅氏は、16日、衆参両院の本会議で行われる総理大臣指名選挙を経て第99代の総理大臣に就任する見通しです。
安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党の総裁選挙は、394票の「国会議員票」と、47の都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票の「地方票」の、合わせて535票をめぐって争われ、14日午後2時から東京都内のホテルで開かれた両院議員総会で、国会議員と都道府県連の代表による投票が行われました。
開票結果は合わせて発表され、有効投票534票のうち、
菅官房長官が377票、
岸田政務調査会長が89票、
石破元幹事長が68票を
それぞれ獲得し、菅氏が新しい総裁に選出されました。
地方票では、菅氏が89票、岸田氏が10票、石破氏が42票をそれぞれ獲得していることから、国会議員票は、菅氏が288票、岸田氏が79票、石破氏が26票を獲得したものとみられます。
菅氏は、このあと午後6時から党本部で記者会見し、今後の党運営の方針や、重点的に取り組む政策課題などについて、みずからの見解を明らかにすることにしています。
直ちに党役員人事の検討へ 16日に首相に就任する見通し
また直ちに幹事長や総務会長など、党役員人事の検討に入り、15日に正式に決定することにしています。
そして、16日に召集される臨時国会で、衆参両院の本会議での総理大臣指名選挙を経て、第99代の総理大臣に就任する見通しです。
菅 新総裁「目指す社会像は『自助、共助、公助、そして絆』」
自民党の菅・新総裁は、両院議員総会で新しい総裁に選ばれたあと壇上であいさつし、冒頭「自民党総裁として、およそ8年、総理大臣として7年8か月にわたって、日本のリーダーとして国家・国民のために、尽力いただいた安倍総理大臣に心から感謝を申し上げる」と述べました。
そのうえで「新型コロナウイルスが拡大するという国難にあって政治の空白は許されない。この危機を乗り越え、国民1人1人が安心し、安定した生活ができるように安倍総理大臣が進めてきた取り組みを継承して進めていかなければならない。私にはその使命がある」と述べました。
そして菅氏は「私の目指す社会像は、『自助、共助、公助、そして絆』だ。役所の縦割りや既得権益、悪しき前例主義を打破して規制改革を進めていく。国民のために働く内閣をつくっていく」と述べました。
菅 新総裁 勝利を報告「前例主義打ち破り規制改革進める」
菅・新総裁は、両院議員総会のあと会場のホテルでみずからを支持した議員を前に、総裁選挙の勝利を報告しました。
この中で菅氏は「立候補表明してから本当に短い期間だったが、選挙対策本部長を務めた小此木・元国家公安委員長をはじめ、各グループや衆議院選挙の当選同期の議員の皆さんに大変なお力添えをいただき、こんなにも多くの票を獲得して新総裁に就任することができた。また、地方票についても獲得に自信がなかったが、日ごとに支援の輪が広がっていることを実感できる選挙戦だった」と振り返りました。
そのうえで「行政の縦割りや既得権益、悪しき前例主義を打ち破って規制改革を進めることで、国民に納得してもらえる仕事を絶対に実行したい。この気持ちを忘れないで自民党総裁として一生懸命に頑張るので、皆さんの支援を心からお願いしたい」と述べました。
安倍首相「令和時代に最もふさわしい自民党新総裁」
安倍総理大臣は、両院議員総会であいさつし「きょう、自民党総裁のバトンを菅義偉・新総裁に渡す。7年8か月、官房長官として国のために、黙々と汗を流してきた菅氏の姿をずっと見てきた。この人なら間違いない。令和時代に最もふさわしい自民党の新総裁ではないか。菅・新総裁を先頭に、『コロナ禍』を乗り越えて、輝く日本を築き上げていこう」と述べました。
岸田政調会長「総理・総裁を目指すべく努力続けたい」
岸田政務調査会長は、記者団に対し、「大きな方向性が決まっていたにもかかわらず、派閥の枠組みを超えて多くの支持をいただいた。大変ありがたいことで、これからも多くの方々に理解と協力をしてもらえるよう努力したい」と述べました。
そのうえで、記者団が、「来年の自民党総裁選挙に再び立候補するのか」と質問したのに対し、岸田氏は「そう受け止めてもらって結構だ。これから先の政治日程がどうなるのか全く予想はつかないが、将来に向けて、総理・総裁を目指すべく努力を続けたい」と述べました。
石破元幹事長「来年のことは、まだ終わったばかりで言えない」
石破元幹事長は、記者団に対し、「厳しい状況の中で、『石破』と書いてもらえたことは、ありがたいことで、真摯(しんし)にお礼を言いたい。いろいろな声が寄せられた総裁選挙であり、すべてを反映させることは難しいが、菅・新総裁には、政治の光があたらない人に、光をあてるような政治を期待したい」と述べました。
一方、次の総裁選挙への対応については、「来年のことは、まだ終わったばかりで言えない。新体制がどうなり、何を打ち出すのか。一党員として、自民党が多くの支持を得られるように協力したい。いま言えるのはそれだけだ」と述べました。
自民党 新しい党役員人事 菅新総裁に一任
両院議員総会のあと、自民党は、会場のホテル内の別室で、臨時の役員会や総務会を開き、新しい党役員人事を、菅・新総裁に一任することを決めました。
2020年9月14日 17時54分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200914/k10012617251000.html
単純に、今回の内容は「出馬を準備していた岸田・石破」と「旧に出てきた菅」という争いであった。しかし、その中で「安倍首相の7年8か月の継続性」ということを考えた場合に、岸田氏ではインパクトが弱く、また石破氏ではあまりにも変化がありすぎるということから、菅氏が無難に選ばれたということになる。
さて、今回の内容で石破氏は「4回総裁選に出て勝てなかった」ということになり、なおかつ「4回目の内容は安倍首相ではない相手でも勝てなかった」ということになる。石破派である水月会の中には、これ以上冷や飯を食えないというようなことになってしまい、今後はなれるものが出てくるのではないかと考えられる。一方、今回は菅氏が石破を抑えるために、岸田氏に対して票を貸したという見方が出ている。このことは、真相はどうかわからない。しかし、もしそうであるとしても「投票先を変えても石破氏になさせたくない勢力が大きい」ということになり、石破氏の派閥が今後うだつが上がらないことは間違いがないであろう。石破氏が嫌われる理由はすでに何回か書いているが、実際に「人望がない」「裏切る」「人情や義理を欠いている」というような感覚が、少なくとも平河町では言われていることであり、そのようなエピソードには事欠かない。前回2018年の総裁選で安倍首相に対抗するということで石破氏を支持した竹下派経世会が、今回は全く石破氏になびかなかったのはそのようなことによるものが少なくないのである。
一方岸田氏が浮上したことでもう一人沈んだ人がいる。これは宏池会の林芳正であろう。もともと林芳正氏は2012年の総裁選の時に、安倍・石破・町村・石原・林で、唯一参議院から立候補した総裁候補であった。それくらいの力があったにもかかわらず、なぜかその後「岸田氏が浮上」してしまい、宏池会の中では徐々にその存在感がないばかりか、途中で女性スキャンダルが出てきてしまった。今回岸田氏が石破氏に負けて3位になるということになれば、来年の総裁選での浮上は難しいということから、宏池会内での求心力を失い、一気に林芳正への動きが加速する。山口県内の選挙区では、「安倍派」と「林派」は二人の祖父の代からの因縁の対決であり、今回安倍晋三氏が総裁を退いてもまだ安倍氏の力が大きく林氏の浮上の目がなくなったということが言えるであろう。
今回の順位は、このほかにも様々なことが言えるのであるが、その内容は「宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話」(https://www.mag2.com/m/0001647155)のなかで紹介することにする。
まあ、いずれにせよ8月16日の組閣もあるので、今後の組閣の動きも含めて、様々なことが言えるのではないかという気がするのである。
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