「宇田川源流」 コロナウイルスと香港問題で悪化する中国とオーストラリアの問題は経済だけでなく様々なことに影響する

「宇田川源流」 コロナウイルスと香港問題で悪化する中国とオーストラリアの問題は経済だけでなく様々なことに影響する

 オーストラリアのスコット・ジョン・モリソン首相が話題である。もちろん、なぜか日本ではあまり有名ではないが、世界的に彼の行動にはかなり注目されている。

モリソン首相は、オーストラリア自由党党首であり、それ以前の政治経験としてはマルコム・ターンブル政権では財務大臣を務めた経験がある。シドニー男子高等学校を卒業後、ニューサウスウェールズ大学で応用経済地理学の名誉学士を取得し、大学卒業後、オーストラリア不動産評議会の国家政策研究の責任者を務めた。その後観光業に携わり、オーストラリア観光特別委員会の長官代理と観光評議会のジェネラルマネージャーを歴任した。1998年にニュージーランドへ移住し、新設された観光スポーツ局の局長に就任した。

つまり観光、経済、貿易畑のスペシャリストである。

2018年8月21日に実施されたオーストラリア自由党党首選挙にて現職のターンブルが再選されたものの党内の混乱が収まらず、24日になって党首選挙の再選挙を実施。モリソンも出馬し、決選投票でダットン内相を下し党首に当選し、同日首相に就任している。

さて、そのモリソン首相は、今年1月のオーストラリアの森林火災、あのコアラが何千頭も死んだとされる事件で支持率が下がったが、その後、コロナウイルスの対処ではいち早く禍から立ち直り、支持率が急上昇、現在は56%前後の支持率を持っている。

その首相が、固い支持率を背景に、「中国に対して、コロナウイルスの発生源をしっかりと調査することを要求」すること、また「中国においてコロナウイルスを封じ込めなかったことに対する責任を追及すること」それとは別に、「中華人民共和国の国家安全法に関して、香港の独立と民主化において強い懸念がある」ということを表明し、ここのところ中国との間での対立が言われている。その舌鋒の鋭さは、アメリカのトランプ大統領よりも強く、世界が注目しているのである。

しかし、なぜか日本は中国側が批判される内容に関してはあまり報道されないし、また、アメリカの内容以外はほとんど報道しないので、日本人で彼のことを知っている人は少ないのではないか。日本マスコミの中国びいきはおかしな状態まで来ているので、仕方がないところであるが、その異常性を国民はもっと熟知する必要がある。

そう思って、ここで紹介もかねて少し書いておいた。

豪首相「脅しには屈しない」 中国との関係悪化で

[シドニー 11日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は11日、中国との関係が悪化していることについて、脅しには屈しないと述べた。

 両国関係は、豪政府が新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を呼び掛けたことなどを受けて悪化している。

 中国は豪州産牛肉の輸入を制限。豪州産大麦に追加関税を課したほか、豪州への留学を検討している中国人学生に対し、新型コロナの発生で中国人を含むアジア人を差別する動きが見られるとして慎重に判断するよう促した。新型コロナ感染を巡る人種差別と暴力を理由に豪州への渡航自粛も勧告している。

 モリソン首相は2GBラジオに「豪州は開かれた貿易国だが、どこかに強制されて自分たちの価値観を売り払うことはしない」と発言。

 3AWラジオとの別のインタビューでも、新型コロナでアジア人が差別されるとの中国側の主張について「馬鹿げた断定だ。中国指導部の見解ではない」と述べた。

 同首相は2GBラジオに「豪州は世界最高の教育と観光サービスを提供している」とし「中国国民は実質的に自分自身の決断で豪州に来ることを選んできた。私は豪州製品・サービスの魅力に強い自信を持っている」と語った。

2020年6月11日 12時22分 ロイター

https://news.livedoor.com/article/detail/18399977/

 さて、中国という国の政府の人々は、なかなか面白い特徴がある。政治的に自分たちの国の長所を過大に評価して宣伝し、短所をなるべく小さく、そして目立たないようにするのは、外交上の手段として理解することができる。しかし、当然にそれらのことを行うには、当然に「正確な姿」を知っていなければならない。真相を知っているからこそ、そこからの長所短所の加工がわかるのであり、実際にどのように行動しなければならないかがわかるのである。

逆に、その真実の姿がわからないで加工された姿だけを見ていれば、当然に、それを真実と思い込んでしまい、その内容をもとに物事の思考が開始されることになる。基本ができていない内容をもとにそのようなことをしたとしても、それは虚構でしかない。虚構をいくら論じていてもそれは政治にはならないのである。

中国政府の場合、自分で「誇張した姿」の話をし、それを最大限に使う外交技術は存在するのであるが、しかし、一方で自分たち自身が真の姿を見失ってしまっている場合が少なくない。

例えば、米中貿易戦争の時に、アメリカが関税を作った時に中国はすぐに対抗関税のアップを行った。しかし、そのことはそのまま、中国自身の経済の疲弊を招くことになる。単純に、原材料がアメリカからきて、中国で加工貿易を行い、その最終商品をアメリカに再度落としていた李、あるいは、食料品であれば、中国は輸入国であるからそこに関税をかけてしまえば、国民が植えてしまうだけである。形式上国内流通貨幣は増えるかもしれないが、それは物価が上がっただけで景気気良くなったわけではないのである。ある意味で、戦後の内容で「連合国」という単語を使うと日本国内の帰還兵が暴れだすことを恐れ「国連」という別な名称を付けたが、何十年もたって、その内容を認識せずあたかも世界政府があるかのような錯覚を持ってしまっている日本人と似たような状況位なっている。

さて今回の内容はどうであろうか。

中国は豪州産牛肉の輸入を制限。豪州産大麦に追加関税を課したほか、豪州への留学を検討している中国人学生に対し、新型コロナの発生で中国人を含むアジア人を差別する動きが見られるとして慎重に判断するよう促した。<上記より抜粋>

まさに、前のアメリカとの貿易摩擦で学ぶことなく、今回も食料品に関税をかけている。もちろんそれがオーストラリアの主力商品であるから理解できないわけではないが、そのことは、中国国内における食料品の品薄を招くことになり、同時に中国国内の日用品の値上がりを意味する。アメリカとの関係も悪化していて経済が悪化している中で、国内でインフレが発生するということは、まるでワイマール憲法化のドイツのような状況になる。あの時のドイツは、それでも民主政治を行っていたが、現在の中国は共産党一党独裁なので、ナチスになりやすい体質になっているのである。

では何是中国はそのようなことを行っているのであろうか。単純に「防大に膨れ上がらせた虚構の話」だけを信じているために、中国の広大で多人数の市場性だけを見ているわけであり、その中の国民の生活ということに目が向けていない。そのことから圧力が意向を欠ければ、市場性に目のくらんだオーストラリアの企業や国民が中国側に味方すると思っているということになる。要するに資本主義と民主主義の悪癖をうまく使ったことになる。実際に日本ではそのようなことをうまく行い、スキャンダルだけの国会と中国を重視する経団連が存在している成功例もあるのだ。

これに対してモリソン首相は、「中国国民は実質的に自分自身の決断で豪州に来ることを選んできた。私は豪州製品・サービスの魅力に強い自信を持っている」<上記より抜粋>といっているのであり「中国ではなくても市場性はある」という認識を示している。日本の安倍首相にもそれくらいのン気概を持ってほしいものであるが、そのような対応で中国が折れた場合は、中国の立場が弱体化する。その時に、もともとオーストラリアが求めていた「コロナウイルスの発生源」と「香港の自治」が一歩進むのではないか。

宇田川源流

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