「宇田川源流」 いよいよ緊急事態宣言でも実は何も変わらない「日本版の緊急事態」

「宇田川源流」 いよいよ緊急事態宣言でも実は何も変わらない「日本版の緊急事態」

 日本の報道というのはなかなか面白くできていて、「確定する前に詳細を報道」してしまい、いつが本番開始で、実際にどのようになったのかということはなかなか報道しない。まさにそのような状況が、現在起きているという感じである。

今回のコロナウイルスの緊急事態宣言に関して言えば、その緊急事態宣言が検討されている間、正式に国会に承認されて、正式な内容が発表された時は「発表」「宣言」というようなことしか言わず、その内容はあまり詳しくやられない。実際に報道をしていたのは、日曜日5日の晩に検討を始めたときから月曜日にかけて報道が最も過熱して、そのまま国会などに流れ込んでいる。何ができるか、何ができないか、何が変わるのかなどを簡潔に行うのではなく、街の声などを含め、結局今回の緊急事態宣言が何かということがぼやけて伝わってしまうのである。

本当に必要であれば、必要なことだけをしっかりと繰り返し報道すればよい。しかし、そのようなことはしない。東日本大震災と津波、いわゆる3.11の時も同じで、被災者の声を延々と続けたものの、生存情報や、どこに行けばどのような物資があるとか、生存者の確認のために何ができるかなど、そのような情報の報道は非常に少ない、どちらかといえば、こうやって助かったとか、だれだれが死んだなどの「お涙頂戴的なドラマ」を求める報道ばかりで、生きている人、本当に被災地の人々が必要な情報などは二の次になってしまっているのである。

今回も同じである。

本当に必要なのは、外出自粛している人々の生活でありなおかつその物資の供給である。もちろん、牢屋ではないので「エサだけ食わせていればよい」などというような話ではないことは当たり前である。ではその辺のことはどうなっているのか。

基本的に、具体的にどの地域で何が見えるのか。どのような景色になっているのか(もちろん比ゆ的な表現であるが)、そのようなことが見えていない。そのような報道にしかなっていないのである。


緊急事態宣言、7日発令=来月6日まで、7都府県対象―私権制限可能に・新型コロナ

 東京都内などでの新型コロナウイルスの感染者急増を受け安倍晋三首相は6日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日に発令する方針を表明した。実施期間は同日から5月6日までの1カ月間。東京など状況が深刻な7都府県が対象となり、一定の私権制限が可能となる。感染症専門家や弁護士でつくる「基本的対処方針等諮問委員会」の議論などを経て、正式に発令する。

 同法に基づく緊急事態宣言は初めて。首相は当初、経済的な打撃への懸念から宣言に慎重だったが、東京都などの医療体制が逼迫(ひっぱく)してきたことから、発令は不可避と判断した。東京のほか、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の6府県が対象となる。

 首相は6日午後、諮問委の尾身茂会長、西村康稔経済再生担当相と首相官邸で会談し、最新の感染状況を聴取。この後、首相官邸で記者団に「7日にも緊急事態宣言を発出したい」と明言した。

 首相は宣言の理由について「人と人との接触を極力減らし、医療提供体制をしっかり整えていくため」と説明。可能な限りの外出自粛を要請する一方、「宣言を出しても海外のような都市封鎖(ロックダウン)は行わない」と述べ、国民に冷静な対応を呼び掛けた。首相は7日夜に記者会見を開き、国民に理解と協力を求める。

 宣言の実施期間を1カ月としたのは、感染抑制効果を見極めるため。政府は先に策定した基本的対処方針の改正作業にも着手。外出自粛期間中も「健康維持のための散歩と運動は認める」などと記す方向で調整している。

 宣言は「全国的かつ急速なまん延により国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある」などの二つが要件。発令後、7都府県の知事は外出自粛の要請や施設使用、イベントの中止の要請・指示が出せる。

 外出自粛要請に従わない住民への罰則はなく、都市封鎖のような措置はできない。それでも、知事が必要と判断すれば(1)医療施設開設のための土地・家屋の強制使用(2)医薬品など特定物資の収用―などの権限行使が可能となる。

 東京都で5日に140人以上の感染者が新たに確認されるなど、大都市部での感染者が急増。小池百合子都知事は「国家としての決断が求められる」と首相に宣言発令を迫っていた。首相は7日に衆参両院の議院運営委員会に出席し、発令について国会に事前報告する。 

時事通信2020年04月06日22時24分

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-200406X169


東京都、緊急事態宣言への対応公表 外出自粛要請など

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言について、東京都の小池百合子知事は、3日の定例記者会見で、国が宣言を発令した場合の都としての対応を公表した。

 主な内容としては、特別措置法に基づく都民への外出自粛要請▽施設の使用制限に関する事業者への要請、などを挙げた。生活必需品の販売や金融サービスは社会生活を維持する上で必要だとして、営業するよう求めるという。また、都民や事業者向けにコールセンターを設置するという。

 緊急事態宣言について、小池知事は会見で「国が(宣言に)乗り出して頂くのは、皆さんへの大きなメッセージになると思う。国としても、(宣言に)乗り出す構えはできているのではないか」と述べた。

2020年4月3日 15時33分 朝日新聞デジタル

https://news.livedoor.com/article/detail/18066038/


 憲法上に「移動の自由」「職業選択の自由」などがあり、今回の緊急特措法はその憲法にある下部の法律でしかない。つまり「憲法を制限する法律を作ることができない」ということになってしまい、その自由を制限することはできないのである。

そのうえで、当然に「営業自粛要請」「外出自粛要請」でしかなく、それ以上のことはできないのが現状である。それでどれくらいの効果があるのかはかなり疑問であり、中には、憲法を無視しろとか、憲法違反でもやるべきなどという声があるが、残念ながら、「内閣総理大臣」「国会議員」という存在自体が憲法上の存在なのであって、そのようなことはできるはずがない。そのように考えれば、結局何ができて何ができないかが大きな問題になる。

本来は憲法上に緊急事態条項があるが、日本にはそれがないので保菌者が自由に街を闊歩してもそれを禁止する法律がないのである。警察がいて逮捕してしまえという人がいるが、病気の人を逮捕するということはできず(救急搬送は別)なおかつ、そのような場合の逮捕状が裁判所から交付されるはずがないのである。そのように考えた場合、結局、「日本国憲法が、このような緊急事態には邪魔になる」ということになる。しかし、それを排除するだけの力もない。

そのような中での「緊急事態宣言」である。まあはっきり言ってしまえば、「自粛が強くなった感じ」でしかなく、それ以外の効果は薄い。しかし、日本人は規範性が高いのでそれで効果が期待できる。しかし、日本にいる外国人は「強制ではない」というようになってしまうし、また、若者などで権利教育しか受けていない人々は、そのような状況になってしまうということになるのである。

もう一つは、これで効果が出なかった場合にどうなるのかということがある。実際に憲法上の問題が出てしまう以上、最終的には、それ以上の手段がなくなるということになる。つまり、現行憲法においては、最終手段を使ってしまったというのが現状なのである。実は今後大きな問題がより深刻になった場合、次の手をどのように打つのかはかなり大きな問題である。国民は「現在のこと」しか言わないが、政権担当者はそのようなことでは許されない。結局またその時に苦しくなれば国民は何でも勝手なことを言う、どこでそれをとどめるのかということも重要である。

そのような事を統べて包含して今後考えなければならないし、国民にもしっかりと訴えないといけないのである。

宇田川源流

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