「宇田川源流」2019年海外の10大ニュース

「宇田川源流」2019年海外の10大ニュース

 海外のニュースは、日本のニュースなどとは異なり、スポーチなども少なく「動乱」の一年であったことがうかがえる。

実際に、日本にいると「日本だけが平和でほかの国がかなり大変になっている」などということは普通にある話であり、そのようなことになっていても、日本人は世界になかなか興味を持たないし、また、その世界の興味に関しても、そのことが日本にどのように影響するかとか、あるいは将来にどのような状況になるか、場合によっては、なぜそのような事件が起きたのかということが全くわからない人も少なくないのである。

例えば宗教的な対立において多くの命が失われたとする。日本人の場合は、「子供が犠牲になってかわいそう」ということを言う。まあ、アメリカも似ったようなところがあるが、アメリカの場合はそれを軍事力で威圧することができるからよいが、日本の場合は「ただ言っているだけ」がほとんど、そうではないと「人道支援」と称して無謀に現地に乗り込み、日本の価値観を相手に押し付けて危険雨に会って帰ってくることが少なくない。実際にアフガニスタンの中村医師のように、現地を熟知し、なおかつ現地の人々と多くの交流を持っている人であっても襲撃されてしまうことがあるのだ。そのように考えれば、素人の、何の準備もない人が、日本の災害地にボランティアに行く感じで紛争地域に行って、かえって多くの人に迷惑をかけて帰ってくるだけののことになる場合が少なくないのである。

物事には必ず「原因」「プロセス」「周辺の環境(宗教・民族などを含む)」「経済」「政治」そして「軍事力」などが複雑に絡まっており、なおかつそれが、複数の当事者の間の駆け引きによって行われているのであるから、そのようなことが全くわかっていないで現地を感情的に語られても困るだけであろう。

さて海外のニュースも読売新聞の10大ニュースから見てみよう。

2019年海外の10大ニュース

【1位】香港で学生らが大規模デモ

 香港で6月9日、香港と中国両政府に抗議する住民が100万人規模(主催者発表)のデモを行った。民主派や若者らによる抗議運動は半年を経ても収束せず、デモ隊と警官隊の衝突の激化で香港の社会・経済への影響が拡大した。

【2位】ノートルダム大聖堂で大火災

 パリ中心部にあるノートルダム大聖堂で4月15日、大規模な火災が発生し、高さ90メートル余りの尖塔せんとうや屋根の大部分が焼け落ちた。捜査にあたったフランス検察当局は、たばこの火の不始末や電気系統の故障によって火が出た可能性があると指摘した。

【3位】16歳グレタさん、国連で演説

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)が9月23日、国連本部で開かれた「気候行動サミット」で演説し、各国首脳らを前に「若者を裏切る選択をするなら許さない」と、地球温暖化対策の実行を強い口調で迫った。「よくもそんなマネを」と繰り返し、これまで対策に後ろ向きだった大人たちを責める姿も話題を呼んだ。

【4位】北朝鮮、新型SLBM発射

 北朝鮮は10月2日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3型」の試験発射を行った。ミサイルは、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下した。北朝鮮がSLBMを発射するのは2016年8月の「北極星」以来で、射程の長距離化など、性能が向上している可能性がある。

【5位】米、「パリ協定」離脱を国連に通告

 米国のトランプ政権は11月4日、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告した。トランプ大統領は4日のケンタッキー州での支持者集会で「不公平なパリ協定からの離脱を発表した」と述べ、協定を批判した。

【6位】ハノイで2回目の米朝首脳会談、物別れに

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長は2月27、28の両日、ベトナム・ハノイで昨年6月以来、2回目の首脳会談に臨んだ。北朝鮮の非核化に向けた成果が期待されたが、予定されていた共同声明の署名に至らず、物別れに終わった。6月に3回目の会談が行われたが、溝は埋まらなかった。北朝鮮は年末が交渉期限だと宣言し、軍事的挑発を強めた。

【7位】米中、制裁・報復「第4弾」発動

 貿易を巡って対立する米中両政府は9月1日、「第4弾」の制裁・報復関税を同時に発動した。長引く米中貿易摩擦は一段と深刻化し、世界経済にも影響を与えた。両政府は12月13日、貿易協議の「第1段階」の合意に達したと発表し、15日に予定していた新たな制裁・報復関税の発動は見送った。ただ、米国が問題視する過剰な産業補助金など、中国の構造問題を巡る課題解決は先送りされた。

【8位】アマゾンで森林火災が多発

 ブラジルのボルソナロ大統領は8月23日、世界最大の熱帯雨林アマゾンで多発する森林火災の消火活動のため、軍を派遣する方針を表明した。ブラジルでは2013年以降で最悪のペースで森林火災が発生していた。農牧地や鉱山開発のための違法な焼き畑や森林伐採が火災の原因とされる。環境保護より開発を重視するボルソナロ政権に、国際社会で対策を求める声が相次いでいた。

【9位】英下院が解散・総選挙、EU離脱が最大の争点

 英下院(定数650)の総選挙は12月12日、投開票が行われ、ジョンソン首相が率いる与党・保守党が過半数を大幅に上回る365議席を獲得した。選挙は欧州連合(EU)からの離脱が最大の争点で、保守党が来年1月末のEU離脱を掲げる一方、最大野党・労働党は離脱か残留かを明確にせず、戦後最少の203議席に落ち込んだ。保守党の単独過半数獲得で、EU離脱に道筋がついた。

【10位】英ヘンリー王子に第1子の男児誕生

 英国のヘンリー王子(35)(王位継承順位6位)と妻のメーガン妃(38)の間に5月6日、第1子の男児が誕生した。男児の王位継承順位は7位となる。夫妻は昨年5月の結婚式以降、伝統にとらわれない姿勢が注目されてきた。男児についても、王室の伝統的な名前ではなく、英国で人気の現代的な「アーチー」と名付けた。夫妻は、時代に合わせて変わる王室の象徴として幅広い層の支持を得ている。

https://www.yomiuri.co.jp/feature/top10news/20191220-OYT8T50062/

さて、国際のニュースということになると「日本人がどのようなことに興味を持ったか」ということもそうなのであるが「日本のマスコミが何をニュースとして流したのか」ということの方が大きく影響することになる。つまり、日本のマスコミがどのようなことを問題にしていたかということになるのであるが、この日本のマスコミ報道というのが、普段からブログで書いているとおりに、問題視をするところがおかしいというか、マスコミが取材しやすいところを取材しているだけであるということが大きな問題になることもある。

本来は「日本または日本人の生活や命にかかわることを最優先に報道する」ということが必要なのであるが、どうも日本の場合はそのような報道になっていない。この「報道の支店の異常さ」が日本人の国際感覚をおかしくしてしまっているということになる。今回はその影響力の大きさから考えてみよう。

まずは「日韓関係」がこの10大ニュースの中に入っていない。もちろん日韓関係に関しては「日本のニュース」に入っているということになるし、日韓関係の悪化というのはそれほど大きなニュースではないのかもしれない。まあ、「いつものこと」というような感じである。しかし、その「日韓関係」と関係のある北朝鮮が「【4位】北朝鮮、新型SLBM発射」「【6位】ハノイで2回目の米朝首脳会談、物別れに」というように、全く逆方向の話が二つ入っている。「物別れ→ミサイル発射」というような状況で米朝関係が悪化しているようにみえるが、実際のところ、「米朝関係」なのか、「北朝鮮とほかの国の関係」なのかがかなり微妙である。実際には多国間外交というような状況であり、今までの東西冷戦のように二極外交であるというような感覚で外交をしていれば、方向性を見誤ることになる。その方向性をどのように考えるのかが大きな問題になるのであるが、そこで北朝鮮がどこに向けて動いているのかということをしっかりと見てゆかなければならない。

一方「地球環境」という点でも「【3位】16歳グレタさん、国連で演説」「【5位】米、「パリ協定」離脱を国連に通告」「【8位】アマゾンで森林火災が多発」というように三つのものが大きく入っている。日本でも、ビニールのストローを廃止する運動や、レジ袋の廃止などが大きな話題になったが、まさにそのように「日本人の生活が地球環境を気にすることで少し便利でなくなる」ということになってきているのではないか。それにしても16歳のグレタさんは話題になった。このような「過剰演出家」が出てくるとこの問題の興味も一気に冷めてしまうということになるのではないか。日本人の場合は「環境問題」が「自分たちの生活」ということではなく「テレビ画面上のパフォーマンス」というような観点になってきてしまう場合亜少なくないので、その点をどのように見てゆくのかということになる。「飽きてしまう」と「元の生活に戻ってしまう」ということになってしまうので、そのことをどのように考えるのか、ということが大きな問題になる。国民の話題性がないと、根本の問題も一切何もしなくなってしまうということが問題になるのではないか。

中国の関係で言えば「【1位】香港で学生らが大規模デモ」「【7位】米中、制裁・報復「第4弾」発動」ということになる。中国においては国際的に「人権の問題」と「経済の問題」と二つの問題が横たわっており、それが意識されているということがわかるのではないか。しかし、数年前に話題になった「南シナ海」などはやはり問題になっていないということが問題だ。実際に南シナ海の環礁埋め立てなどは、そこに問題は継続しているのであるが、この中国関連のことがあっても「事件」がなければ全く報道されないということが大きな問題になる。今南シナ海がどうなっているのか、そのことで日本の物資を輸送しているタンカーなどが、台湾海峡をどのようにして通っているのか、そのようなことの検証が全くされていないということになる。それでいて、現在の生活がそのまま維持できて入りと思い込んでいることが大きな問題ではないのか。

つまり「すぐそこにある危機」が全く報じられていないし、それが「自分たち日本人の問題である」という観点で国民に認識されていないということになるのである。

そのように考えると「イスラム」の問題も全く入っていない。日本人の多くは「イスラムや中東の問題は、地球の裏側で日本とは関係ない問題」と思っている人が少なくない。実際に「イスラム国の首領バグダディの死」は12位に「イランの核開発」は18位に書いてあるものの、やはり関心事ではないということになるのではないか。それどころか、日本のタンカーが襲撃されたことなどは、全く入っていないのである。日本の生活に影響があるにもかかわらず全く困ったものである。

さて事件事故ということでは「【2位】ノートルダム大聖堂で大火災」が入っているし、めでたいことといえば「【10位】英ヘンリー王子に第1子の男児誕生」である。この二つは日本人に影響があるということではなく、こころの問題としてニュースになるかどうかであるので、この辺は大きな問題ではないか。

来年の方向性としてはイギリスのブレグジットで「【9位】英下院が解散・総選挙、EU離脱が最大の争点」ということになる。今年のニュースで来年につながるのは、このイギリスのブレグジットのニュースと、北朝鮮、そして米中関係ということになり、このニュースをしっかりと見ていかなければ、日本はどのようになるかわからなくなってしまうのではないか。

今年もこのようにニュースが話題になっていた。

来年、どのようなニュースが出るのであろうか。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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