「宇田川源流」 来年習近平国家主席を国賓で呼ぶべきかという議論の中にある「中国の仕掛けた罠」と日本政府の考え方
「宇田川源流」 来年習近平国家主席を国賓で呼ぶべきかという議論の中にある「中国の仕掛けた罠」と日本政府の考え方
来年中国の習近平国家主席が日本に「国賓」で来るかどうかが一つの話題になっている。
いつものごとく私の意見を先に表明しておく。少し複雑な言い方であるが、私自身は「感情的には」国賓なんてとんでもないと思っている。基本的に国賓として日本に呼ぶべきではないと思っているし、また、そもそも日本に来てほしくはないと思っている。しかし、「政治的には」という観点になった瞬間に「国賓のままにすべきではないか」というように考えているのである。
そもそも、習近平国家主席を国賓で呼ぶとしてしまった時点で間違いがある。
日本は民主主義で自由主義経済国家であり、なおかつ中国との間には尖閣諸島問題をはじめ、様々な問題がある。南京虐殺の嘘や、中国に進出している日本企業の問題など日中関係そのものに様々な事件があり、すべてを棚上げしている状態である。そのうえ9条があってそもそもスパイ組織がないのに、「スパイ罪」で捕まっている日本人が10人もいるのである。
このようなことを全く理解しない訳の分からない国はない。二国間関係において問題が山積しすべてを棚上げ、後回しにしている状態で、何の「賓客」なものなのかはよくわからない。まあ、今の憲法9条のある状態ではありえないが、平たく言えば「仮想敵国」であり、友好関係が存在する相手ではないのである。
そればかりではない。ここまでは日中の二国間関係でしかないが、しかし、現在になってはウイグルの人権問題・内モンゴルの人権問題に、香港の民主化弾圧の問題、南シナ海環礁埋め立てにおける国際司法裁判所の決定の無視、そして、南シナ海の私物化、インドとの紛争にベトナムとの紛争、そのうえ、一帯一路の債務の罠ということで、すでに中国そのものが、国際的に問題になっているのである。
そのような国際的な問題を抱え、非難されえている国家をなぜ「国賓」にしなければならないのか。これは国際的にも大きな問題があることになり、当然に、中国に対して問題視している国家と日本との関係が悪化することになる。
感情的に、ということは、まさにこのようなことである。しかし、政治的には異なる判断がある。
習主席「国賓」方針変わらず=政府答弁書
政府は13日の閣議で、来春に予定されている中国の習近平国家主席の国賓来日について「国賓として招聘(しょうへい)する方針に変わりはない」とする答弁書を決定した。国民民主党の前原誠司元外相の質問主意書に答えた。
習氏の国賓来日については、自民党内の保守系議員を中心に混乱が続く香港情勢や沖縄県・尖閣諸島沖への度重なる中国公船の侵入などを理由に反対する声が出ている。
時事通信2019年12月13日14時52分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-191213X649
自民有志、習主席の国賓来日に反対=尖閣・香港を理由に
自民党の保守派でつくる「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」は13日、来春に予定される中国の習近平国家主席の国賓としての来日に反対する声明をまとめ、岡田直樹官房副長官に申し入れた。
声明では、中国による沖縄県・尖閣諸島沖への度重なる侵入や、香港デモへの対応を挙げ、「正しい日中関係構築のため、来日までに中国政府が具体的で明確な対応を取ること」を求めるよう、政府に要望。代表幹事の青山繁晴同党参院議員は記者会見で、「(尖閣問題などを)まるでなかったかのように(習氏を)迎えるなら、国としておかしいのではないか」と述べた。
岡田氏は申し入れに対し、「諸懸案が改善され、国賓として迎えることに自民党の反対論や、国民にある賛成できない気持ちをなくせるように努力する」と述べた。
時事通信2019年11月13日18時09分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-191113X214
私は講演などで常々言っているのであるが、「政治は継続性・経済は関連性」という言葉がある。
政治は、基本的には政権が異なろうと、その後に野党が政権を取ろうと、国際関係においては継続性が必要である。現時点で国際的に問題があったりあるいは、不都合な事象があっても、それ以前から継続していることは守ることが必要である。
継続性を断ち切るのは「革命」以外にはなく、その革命によって継続性を断ち切るということは、それまでの国際関係もすべてゼロから行うということに他ならない。つまり、ゼロからの関係にする気がないのであれば、継続性を重視する必要がある。
一方経済は関連性だ。経済というのは継続取引の場合もあれば、一回限りの取引もあるのであるが、その内容はすべて関係性が必要だ。つまり、貿易であっても、その貿易相手の2か国間だけではなく、船の通るすべての沿岸国とも関係があるし、また、その資源を日本が買うということで、それを買おうとしていた他の国との関係も関係が出てくることになる。この関連性を無視して、経済を語るような人は、経済がわかっていない人である。
そのうえで、現在の「国賓で習近平を来日させる」ということは、2019年の2月に決まったことである。つまり、そこからの継続性があり、また「革命」は起きていない。つまりよほどの理由がなければ継続性を重視して約束を守るべきであるし、また、そうすることが日本の信用である。
このように言えば「香港の民主化運動に関して問題があるではないか」というような返答が返ってくるであろう。当然に「天安門事件」のように「国家の軍隊が国民を殺す」というようなことがあった場合には、確かに政府としていかがなものかと思うし、また国際的な理解も得られる。実際にロシアがウクライナに侵攻した時も、国際的な継続性を無視し、経済制裁を行ってくる国は少なくない。
しかし、今回、中国政府(香港政府でもあるが)は、少なくとも形式的には香港の警察組織がデモ隊を制圧しているという状況にすぎず、それ以上のことは全く行っていない。広州に軍隊を広げて威圧しているといっても、正当な軍事演習であるといわれてしまえばそれまでであるということになる。
つまり沖縄で道路を占拠している基地反対運動や、靖国神社の前で皇室を蔑んでいる人々に対し、許可に含まれていない行動を行ったりあるいは、法律に違反した行動を行った場合に、日本の警察官がデモ隊を検挙するのと同じで、これらは「正当な警察権の発動」でしかないのである。
そのうえ、厄介なのは「一国二制度」である。つまり「一国二制度」であるということは、あくまでも香港政府が香港政府の意志決定によって警察を動かしているのであり、中国共産党政府が直接動かしているのではない。実質的には、というような「状況証拠」は山ほどあるものの、決定的に一国二制度を破ったという国際的に認められる証拠もなければ、何もない。つまり「一国二制度を無視している」というのも、あくまでも国際的に認められた内容ではないということを意味しているのである。
そのうえで、現状のまま「国賓待遇をなくす」ということになれば、当然に「日本の正常な警察権に対して、中国共産党は日本政府に対して抗議することを正当化する理由を与える」ことになり、日本は共産党政府の内政干渉を受けることになる。つまり「在日中国人がテロ活動をして、それを警察が制圧しても、そこに共産党がつけ行ってくるスキを与えることになる」ということになるのである。当然に日本国内の治安は悪化するし、また、日本の左翼も活動を活発化させ、しいては、日本国内の治安が悪化することになる。
そのようにしないためには「正当に国賓にしないための証拠を集め、国際的に何も言えなくなるまで攻める」か、あるいは、「そのままにして、日本国内で習近平に恥をかかせる」というようなことしかありえない。逆に「国賓待遇」ということを外すことはできないということになる。それだけの証拠も何もなくネットの中の雰囲気だけで政治的な継続性を排除することは危険なのである。
ではどうすべきか。
これはネットで中国政府も読んでいるかもしれないここに書くべきではないので、改めて質問いただきたい。
0コメント