「宇田川源流」 トランプ大統領の電撃米朝首脳会談の成果とその内容に隠された真実

「宇田川源流」 トランプ大統領の電撃米朝首脳会談の成果とその内容に隠された真実

 今週のブログは、G20から今日までの東アジアに関連した内容を、あえて時系列に並べて、その内容をなんとなく解説している感じである。本来は今となっては一発で少し長文にして話をしてもよかったのであるが、まあ、ブログなので、少々長めにしながら、日本を取り巻く環境の近未来像を予想してみるのはそれほど悪いことではない。

そのように感じてみているが、本来ならばタイムリーにやれば面白かったのに、まあ参議院選挙の都合で、一週間分、この内容をずらして行ったので、仕方がないといえば仕方がない感じなのであろうか。

単純に、このブログを見て、考えていただければ、トランプ大統領はしっかりと物事を考えているし、イギリスの駐アメリカ大使が言うように、「無能」ではないことは明らかである。もちろん有能であるからトランプの企業がしっかりと大企業に育っているのであるし、その同じ手法で行っているということは、当然に、アメリカは拡大の一方に行っているのではないか。

私のような歴史小説作家をしていると、「トランプ大統領=織田信長」という枠組みが見えてくる。まあ、類似性という感じなのであるが、トランプ大統領は、「それまでの政治家としての概念」を完全に無視し、自分流を行うということ、そして、参謀や軍師を置かなかったこと、そして、織田信長が桶狭間の時に見せたように自分自身が他に相談なく先駆けて、物事を推進するというような方法というような感じであろうか。もちろん違うところもたくさんあると思うが、しかし、織田信長的な手法で政治を行っている。信長も同じで、キリスト教優遇や楽市楽座など、当時の常識は完全に無視している。そのために比叡山焼き討ちなどを行っているのであり、そのことの批判は当時ではすごかったようだ。まさに、現在のトランプ批判に匹敵するという気がする。一方で、軍師を置かないのもの信長と同じ。

まさに、その桶狭間のような「短期駆け」のやり方こそ、今回の米朝首脳会談ではなかったか。

米大統領、初の北朝鮮入り=板門店で正恩氏と会談-核問題、実務協議再開へ

 【ソウル時事】トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は30日、南北軍事境界線にある板門店で約50分間、会談した。トランプ氏はこれに先立ち現職米大統領として史上初めて、境界線を越えて北朝鮮に足を踏み入れた。会談後、米朝が2、3週間以内に実務協議を行うことで合意したと明らかにし、非核化交渉が本格再開するか注目される。

 トランプ氏は30日午後、境界線上で北朝鮮側から現れた正恩氏と対面し、握手。正恩氏の招きに応じるように境界線をまたいだ。歴代の米大統領が北朝鮮と接する非武装地帯(DMZ)を訪れたり、元大統領が訪朝したりしたことはあったが、現職米大統領が北朝鮮を訪れたことは一度もなかった。

 北朝鮮側施設「板門閣」の前まで進んだトランプ氏は写真撮影を済ますと、正恩氏と共に韓国側に移動。両首脳は韓国の文在寅大統領も交え、立ち話をした。韓国と北朝鮮、米国の3首脳が一堂に会するのも南北分断後初めてで、異例ずくめの板門店訪問となった。

 トランプ氏は「この場にいるのは大変光栄だ」と述べ、越境を誇りに思うと語った。正恩氏は「良くない過去を清算し、良い未来を開拓しようという勇断だ」とトランプ氏を称賛した。

 両氏はその後、韓国側施設「自由の家」で昨年6月のシンガポール、今年2月のハノイに続く3回目の米朝首脳会談を実施。両首脳は電撃的に開かれた会談で、良好な関係を世界にアピールした。

 トランプ氏は正恩氏をホワイトハウスに招請する意向を表明した。正恩氏も「分断の象徴の場で、長い敵対的関係だった両国が平和の握手をしたことが、われわれの行動に肯定的な影響を及ぼす」と強調。「平壌に来れば、世界の外交史で大きな出来事となる」と語り、トランプ氏に訪朝を要請した。

 20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に参加したトランプ氏は29日に韓国入りし、30日午前、文氏と会談した。米朝会談後、文氏は「歴史的な対面が実現した。平和プロセスの大きな峠を一つ越えた」と述べ、トランプ氏に謝意を表明した。トランプ氏は北朝鮮への「制裁は維持される」と強調した。

 トランプ氏は30日夜、帰途に就いた。 【時事通信社】

2019年06月30日 20時26分 時事通信

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-324357/

 さて、板門店で行われた米朝首脳会談の場面をちょうどテレビで見ることができた。まあ、暇だったといえばそれまでだが、ちょうど日曜日でもあったので、なかなか興味深く見させてもらった。

「こちらに来ませんか」

トランプ大統領が金正恩委員長に行って、金正恩委員長が境界線を越えたシーン。あのシーンを見て何か思った人はいないであろうか。

「なぜ、アメリカの大統領が、北朝鮮と韓国の間の境界線を越えることを許可できるのであろうか」

このように書くと、アメリカ軍と韓国軍の関係などを言う人がいるが、少なくとも軍隊組織上は連合軍的な内容になっていても、実際、国境警備や入国審査の権限は、韓国政府の主権のもとに行われる。もちろんこの場合は文在寅大統領がアメリカのトランプ大統領に権限を委譲したということも考えられるが、そのような説明がなければ(実際はなかったし現在も全くその説明はないのだが)、アメリカ大統領は韓国の主権または国境警備権を完全に無視しているということになる。もっと言えば「アメリカ大統領は韓国の主権を認めていない」ということに他ならない。トランプ大統領は、まさに、そのようなことを態度で示したということに他ならないのである。

つまりG20以降、いや、その前の訪日の時から、トランプ大統領は韓国の文在寅政権を完全に無視し、そのうえで、その主権を認めず、韓国をほとんど無視した形で外交を進めているということになるのである。

そして残念ながら、そのことを指摘した日本のマスコミは存在しない。日本のマスコミは政治評論家というような人は、まさに平和ボケをしてまったくそれらの主権とか国境とかのことが見えていないということに他ならないのである。

さて、そのうえで見てみれば、この話し合いの中で「公開されていない部分」で何が行われていたかがよくわかるはずだ。単純に言って、アメリカの当面の敵は中国であり、北朝鮮を敵対視していないということは明らかである。そのうえで考えれば、「中国に近づいた韓国」と「中国を無視した北朝鮮」で北朝鮮との関係を重視し、そのうえで「長距離ミサイルを開発しなければ、短距離ミサイルの存在を認める」ということを言い出した。そのうえでホワイトハウスに招待し、そしてホワイトハウスでの最終的な合意を目指すために担当者会議を行うということが合意された。

注目すべきは「長距離でなければよい」ということ、つまり、アメリカ本土に届かなければミサイルをもってよいということであり、これで北朝鮮と韓国の間の軍事バランスは北朝鮮が優位に立つことになったのだ。

同時にこの会談の直前に北朝鮮は「文在寅は邪魔だ」と発言しており、勧告を完全に無視することになっている。まさに「米朝の韓国外しと、中国敵対政策」が一致したということになるのである。

もちろん今後の内容が気になるところであるが、その内容に関しては、近未来、南北朝鮮の統一ということがありうるかもしれないのである。

宇田川源流

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