「宇田川源流」 香港の反政府デモの根底にある中国共産党の「一国二制度」という詭弁の矛盾点
「宇田川源流」 香港の反政府デモの根底にある中国共産党の「一国二制度」という詭弁の矛盾点
今週は、いっそのことずっと大河ドラマのことをやろうと思っていた。はっきり言えば、私個人としてはそのような歴史に関する内容を書いているほうがずっと楽しいし、またその方が私の性分に合っているのである。しかし、どうも世の中ではそのようなことは許していただけないようで、ネット、特に私の知り合いからのSNSでのメッセージなどで、イランの話や、香港の話を解説してほしいといわれる。数が少ない間は個別に行っていたのであるが、まあ、一応ブログに書いておいてもよいかと思うようになった。
最近になってこのブログの使い方が、一つは、依然と同じで私の文字を打つ練習といっては悪いが、一時間でネタを探し、そして文章を作り、アップするという一連の作業を行うためのツールとして使っている。このことは以前から言っているのであるが、ピアニストが毎日ピアノの練習をしていないと、指が固まってしまうのと同じように、私も文章やネタを探す頭をうまく見てゆかなければならないということがある。逆にそのような用途であるから誤字があってもそのままであるし、また、練習でしかないので、編集作業などはしない。当然に無料で情報を公開しているということになる。珠に誤字があるなどと文句を言う人がいるが、いやならば読まなければよい。
しかし、最近では、このブログも前の心具の時代から数えると10年を超えているので、「あの時こんなことがあった」とか「私自身はこのように考えていた」など、事件と私の思考の変遷をたどるためのツールになっている。私も人間なので、環境的に何らかのことがあれば影響をうけるし、また、その影響によっては、一時的に考え方が変わらないこともない。そのように考えれば、自分の考え方の変遷をしっかりと記録しておいた方がよい。そのように考えると、このブログは非常に有用である。
ちなみに元の原稿も、そしてニュース記事のスクラップもすべて残してるので、そちらでも変遷を確認できるのだが、まあ、こちらの方が他者に示しやすいということになる。
「人に歴史あり」という言葉がある通り、制度にも人にも、そして考え方や思想にもすべて歴史があるものなのである。
香港の反政府デモ、一部が暴徒化 警察と衝突、夜明かす
刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする香港政府の「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模なデモが9日、香港であった。主催した民主派団体によると、2014年の民主化デモ「雨傘運動」以降最多の約103万人(警察発表は24万人)が参加。条例案をめぐり中国政府が香港政府への支持を表明してから初の大型デモで、中国政府に市民が「ノー」を突きつけた形となった。デモ隊の一部が暴徒化し、警察と立法会(議会)の敷地内などで衝突し、警察官ら4人が負傷した。
「中国への引き渡しに反対」「林鄭月娥行政長官は辞任せよ」。デモ隊は声を上げながら、改正案を審議する立法会(議会)までの約3キロを行進した。
改正案をめぐるデモは3月、4月に続いて3回目。参加者は1回目1・2万人(警察発表5200人)、2回目13万人(同2万2800人)で、今回はひときわ多い。
背景には、香港の高度な自治を保障する「一国二制度」が揺らぎ、香港が自由で安全な都市でなくなるとの市民の危機感がある。
香港は透明性が高い司法制度が確立している一方、中国本土では司法機関が共産党の指導下に置かれている。条例が恣意(しい)的に運用されれば、民主活動家らが中国に引き渡され、中国を批判する集会も香港で開けなくなるといった不安が共有されている。
デモ隊には若者の姿が目立った。5年前に雨傘運動による政治改革が失敗後、若者は香港の民主化が優先だと主張。中国本土の民主化を掲げてきた中高年層と対立し、民主派の運動から遠ざかっていた。
ところが、今回は民主派内の各団体が足並みをそろえ、SNSなどを駆使して積極的にデモへの参加を呼びかけた。雨傘運動で活動した元学生団体幹部の羅冠聡氏は「社会の雰囲気が雨傘運動の直前の状況に似てきた」と語る。
改正案が可決されれば、香港で暮らす外国人も中国本土に引き渡されるリスクがある。経済界には、海外から香港への投資が減り、ビジネスに悪影響が出かねないとの懸念があり、デモ参加者を押し上げたとみられる。
デモ行進は9日夜に終わったが、若者を中心に数千人規模の参加者が立法会の敷地内や付近の路上に座り込んだ。その一部が10日未明に警察と衝突。立法会の鉄柵をなぎ倒して、警察に投げつけた。一方、警察も催涙スプレーを発射して応じた。警察によると、警察官3人と撮影していたカメラマン1人が負傷した。
警察は立法会を封鎖してデモ隊を排除したが、一部の参加者が周辺の幹線道路にとどまり、警察とにらみあったまま夜を明かした。
朝日新聞2019年06月10日08時23分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/world/ASM685WJJM68UHBI028?fm=topics
さて、私と中国の関係は古い。何しろ中国にマイカルの仕事で初めて行った日が、香港返還の日であった。そして私が従事していた大連のスイスホテルも、中国での天下意見を持っていたのは「香澳中心」つまり「ホンコン・マカオセンター」といって、香港マカオの返還式典用にまた、その後の香港マカオの運営に関して、うまく行えるように、中国共産党が作った機関であった。当時は中国旅遊局(漢字は本来は中国漢字であるが、ここではわかりやすいように日本語の漢字を使う)に所属しているもので、政治的なにおいを極力消していたと思われる。まあ、中国共産党も「返還前から共産党の色を出す」ということはしていなかったが、実際に「香澳中心」と付き合っていれば、当然のように共産党色が強かったのを覚えている。たしか、そのトップは李鵬首相(当時)であった。
さて「一国二制度」という言葉は、もともと「台湾」を想定して作られた言葉である。台湾はもともとが国民党であり敵対していたのであるが、その台湾を「一つの中国」として認識させ、台湾を国連から引きずり落とし、共産党政府が国連に加盟して常任理事国になるために、「台湾は実は中国で一つの国ではあるが政治や経済の制度が異なるだけである。中国共産党は心が広いので、そのような一つの国に行くつもの制度があるような政治体制ができる」というようなことを詭弁として主張し、もともと「合衆国」として、州法がことなることから、その中国の主張を理解、というか「忖度」した感じでニクソン大統領の時に、国交を開く。この時に最も動いたのがキッシンジャーであることはよく知られており、基本的にアメリカの根底である「反共産主義」を覆すような決断となったのである。
さて、「一国二制度」を認めるということは、今説明したように、「共産党独裁による他政府の支配」を認めるということにつながり、そのことがどれほど問題があることかということがあまり見えていない。だいたいの場合「経済的な問題」として処理されてしまい、本質的なイデオロギーの問題が見えないということになるのである。
そしてそのことが最も大きな問題である、つまり、共産党による他政府の支配と、他国による経済優先での不介入を問題視した香港の学生が、「共産党化される香港の行政府」を相手にデモを起こしたということになる。当初は「雨傘革命」であり、今回は「反人引き渡し条約反対デモ」である。そして、当初は経済的な理由が関係ない香港の学生だけであったが、今回のデモでは200万人、つまり、保温紺の住民の25%がデモに参加するという事態になったのである。
まあ、中国共産党も嫌われたものだ。
逆に、「嫌われるだけの要因」がある。単純に「情報の自由化がない」また「政治表現の自由がない」ということである。逆に言えば、それらの自由がないということは、自由にしてしまっては共産党の支持がなくなる、つまり、国民の支持の得られない政策を継続しているということになる。まあ、そのような政府に親近感を感じ、日本において中国化を信奉している野党諸君の運動があるが、何が良いのかさっぱりわからない。日本において自由を謳歌しながら自由のない世界をあこがれるという精神構造は全く見えてこないのである。
さて、今から30年前に「六四天安門事件」というものがあり、中国は人民解放軍をもって民主化を希望する国民を圧殺した。今回、香港においてそのような事態に発展するのかはまだ先が見えないが、少なくとも国際的な非難が直接出されてしまうG20までの機関はそのようなことはないであろう。そのような政治日程を見ながら、香港の人々は反共産党のデモを続けるのか、また、その後どのようになるのかということは非常に興味深いところである。
いずれにせよ、「習近平の指導する共産党」ということが、中国国内でも問題視されており、その内容をどのように考えるのか。そして中国国内にどのように伝播するのかを興味深く見ながら、日本国内で中国共産党のような思想を持つ人々をいかに排除するかということが、次の参議院選挙での日本人に突き付けられた課題ということになるのではないか。
0コメント