「宇田川源流」 領土は戦争で取り返せという丸山議員の言葉で思うことと日本人の「戦争アレルギー」

「宇田川源流」 領土は戦争で取り返せという丸山議員の言葉で思うことと日本人の「戦争アレルギー」

 今週最も話題になった政治の話題が、北方領土のビザなし渡航における随行議員、日本維新の会の丸山穂高議員による「戦争で島を取り返すことに賛成ですか、反対ですか」という言葉とそれによるその後の処理である。

日本維新の会は、丸山議員本人の離党届を却下し、除名とした。維新の会の代表である松井一郎大阪市長は「議員辞職すべき」とかなり厳しいことを発言している。与党の中でも菅官房長官は、「政府の立場とは異なる」として丸山議員の発言を批判、、公明党山口那津男代表も同様に強い言葉で批判している。一方野党各党ばこぞって戦争ということに過剰なアレルギー反応を示しているという感じではないだろうか。

さてこの件に関して、皆さんはどのように考えるであろうか。私はこのように考えるというのは、後半ご披露します。


「戦争で島を取り返す、賛成か」 北方領土訪問で維新議員が質問

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行していた11日夜、国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問したり、大声で騒いだりしたことが13日分かった。

 ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は13日、モスクワで開催された日ロ知事会議の会場で記者団に「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と述べ批判した。

 丸山氏は13日深夜、東京都内で記者団に発言を撤回すると表明。「多くの方に不快な思いをさせ、おわびする。不適切な発言を撤回したい」と語った。

共同通信2019年05月14日00時47分

http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2019051301001985?fm=ranking

 さて、まず今回の丸山議員の発言とは全く関係ない一般論として考えてみよう。

国と国が領土をやり取りする場合はどのような状況になるのであろうか。それは以下の内容になる。

・ 戦争や終戦後の条約による領土の割譲

   多くの場合がこれである。日本で言えば日清戦争の台湾割譲や日露戦争後の

   樺太千島接収などがこれに当たる

・ 国家間の交渉によって割譲または返還される

   基本的にはあまり例がない。日本における沖縄返還や、日韓迎合がこれに当たる。

   このほかにもロシアによるアラスカ売買などいくつか例がある。

・ 国際的な機関の仲裁など裁定により決定し両国がそれに従う

   そもそも国際的な機関ができなければこれはないので、このパターンの歴史は

   新しい。シンガポールとマレーシアが領有を主張していたペドラ・ブランカ島に

   関して2008年に国際仲裁機関が裁定し、両国が従った例などがある。

・ 地域が独立して新規に国家ができる

   戦後のイスラエルや、インドとバングラディッシュの関係などもそうであるし、

   戦後の植民地の独立はすべてそうであるし、またイギリスにおけるアイルランドや

   スーダンと南スーダンもそうなった。


 このように考えると、実は「戦争以外の領土割譲」が例は多いものの、やはり全体に比べればかなり少ない。地域の独立も、イスラエルをめぐる中東戦争やアイルランドに関するテロ、ある意味で中華人民共和国という政府からすればチベットやウイグルもすべてテロなどの戦いになる。このように考えた場合、「戦争」」とまではいわないまでも何らかの紛争を伴う場合が少なくない。

さて、私個人としては戦争に関しては反対である。では、「日本国領土を奪還する場合、相手が交渉または国際的仲裁機関の裁定に従わなかった場合にどのようにするのか」という愚問があった場合どのようにするのであろうか。

日本人はおとなしいので、基本的には戦争などもしないし、ロシア相手にやっても勝てないことを十分に知っている。しかし、仲裁機関の裁定に従わないといえば中華人民共和国における南シナ海の環礁埋め立てなども同じであるが、まさに、そのような状況の中において、日本のような「先進国」はどうすべきかということが挙げられる。日本の左翼やマスコミは、「仲裁に従わない中国の南シナ海について」全く言及しないが、まさに北方領土の場合もそのような状況になるのである。

国際社会は「正義は勝つ」ではなく「強いものが勝つ」のであり「勝ったものが正義」なのである。

そのような現実的な意味で、この丸山議員の言った内容は、ある意味で擁護されるべき内容であり、同時に、日本人は検討しなければならない状態であることは間違いがない。

日本人は「戦争アレルギー」であって、そのようなことを真剣に考えない。ではその結果を考えた場合にどのような結論になるのであろうか。

一方、「ロシアが実効支配している北方領土において、酒に酔って表現も稚拙に話すこと」であるかどうかははなはだ疑問だ。

はっきりいえば、その疑問を呈する態度は正しいかもしれないが、一方で、その表現方法は完全に間違えている。「言葉を仕事にする者が、表現を間違えた」場合は当然にその責任を負うべきであると考える。議員である以上、少なくとも数万人以上の国民の代表である。そのように考えた場合、その発言は誤解の無いように思われるべきものであると考える。

その意味では「除名」などの処分はある意味で当たり前であるし、国内的に出される批判も仕方がないのかもしれない。

安倍内閣は「戦後レジームからの脱却」ということを主張しているが、日本人一人一人が「戦争アレルギーからの脱却」をすべきではないのか。

宇田川源流

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