「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 大和国の治世で興福寺との「戦い」

「宇田川源流」【大河ドラマ 豊臣兄弟】 大和国の治世で興福寺との「戦い」


 毎週水曜日はNHK大河ドラマ「豊臣兄弟」について好き勝手な感想を書かせていただいております。今回は「秀長の国」として、羽柴秀長(仲野太賀さん)が大和郡山城を中心に大和国を治めるところが描かれています。今回の大河ドラマは、史実と違うという声が大きいので、まずは「史実」とされる内容をしっかりと見てゆきましょう。

中世の大和国は、興福寺をはじめとする強大な寺社勢力が実質的な守護として存在し、国内の地侍たちも衆徒や国民として寺社に属する極めて特異な土地柄でした。特定の武家による統治が極めて困難とされたこの地域に、紀伊や和泉をあわせた一大領国の主として羽柴秀長が入国したことは、豊臣政権にとって畿内の足もとを固める最重要課題でした。

 秀長の大和統治は、中世以来の寺社支配を解体し、近世的な武家支配へと一気に転換させる強力なものでした。

 秀長は入国後、過酷ともいえる徹底的な寺社勢力の抑制を進めました。有力な寺院や神社に対して武装解除を命じ、多武峰などから大量の武器を取り押さえたほか、厳格な太閤検地を実施して領地の申告を求めました。その結果、興福寺などの伝統的な所有領地はかつてのわずか数分の一にまで削減され、自立した軍事力や経済基盤を事実上奪われました。

 その一方で、秀長は単に強圧的な支配を行っただけではありません。寺社が農民に対して無理な労役を課すことを禁じるなどの制札を発し、旧来の支配層から民衆を護る姿勢を示すことで、地域社会の安定を図る現実的で柔軟な側面も見せました。

 大和支配の拠点となった大和郡山城の拡充においては、極めて短期間での突貫工事が進められました。大和は石材が乏しい土地であったため、城垣の石垣には寺院の石仏や墓石、さらには興福寺の礎石や平城京の羅城門の要石までもが転用されました。裏返して積み上げられた地蔵菩薩像などの石仏は「さかさ地蔵」として今も城跡に残されています。この石材転用は、物理的な不都合を解決するだけでなく、寺社勢力の威光を挫き、武家の圧倒的な権力を大和の民に見せつける政治的意図も込められていたと考えられています。

 さらに城郭の整備にとどまらず、秀長は城下町「郡山」の形成にも大規模に着手しました。それまで門前町として大和の経済の中心であった奈良の町から商人を強制的ともいえる形で郡山へ移住させ、商業権の独占を防ぎつつ城下町を活性化させる政策を行いました。町ごとに特定の営業権を与える自律的な制度を導入し、名古屋方面から陶工を招いて赤膚焼を開窯させるなど、産業振興にも意欲的に取り組みました。

 このように秀長は、数世紀にわたり武家を拒み続けてきた寺社の国・大和において、徹底した武装解除と検地、そして圧巻の大城郭と経済都市の建設をわずか数年のうちに成し遂げました。調整役としての穏やかな人柄が語られることの多い秀長ですが、大和統治においては豊臣政権の権力構造を具現化する冷徹かつ合理的な辣腕を振るい、中世社会を終わらせる決定的な役割を果たしたのです。

 

<参考記事>

【大河ドラマ 豊臣兄弟!】第37回「秀長の国」回想 寺社勢力とのせめぎ合い、大和郡山城名物「さかさ地蔵」で巧みに語る 正勝、万感の退場 秀吉と茶々との距離感は?

2026.09.27 美術展ナビ

https://artexhibition.jp/topics/news/20260927-AEJ3007018/

<以上参考記事>

 今回は、蜂須賀正勝(高橋努さん)の退場から始まった。蜂須賀正勝、私のような歴史マニアでは「小六」といったほうがなじみがあるのだが、その蜂須賀が阿波一国を与えられたのにそれを息子の家政に継がせ、自分は隠居するということである。ドラマの通り、史実でも蜂須賀正勝は「秀吉に遠く離れたくはない」として、阿波にわたることなく大阪でそのまま隠居し、なくなることになる。秀吉がまだ足軽大将であった時、信長の岐阜城攻略において墨俣城築城で、当時の川並衆という国衆(というよりはどちらかといえば無法者の集団であるが)から秀吉に仕え、そのまま秀吉が関白になるまで仕えた。秀吉にとっての一の部下であり、一方ある意味では師匠でもあるということになるのです。さすがに蜂須賀の死の場面を描くのは止めて、そのままいわゆる「ナレ死」にしてしまったというのも一つの演出であろう。

さて、あとは史実通りといってはおかしなものであるが、小一郎秀長が大和郡山に城を築きながら、大和の知性を始めるということになります。上記の史実にもあるように、寺院の勢力の抑圧政策を行うのですが、さすがに小一郎を悪く描くわけにはいかないので、村の庄屋石川清兵衛(伊藤健太郎さん)との間のエピソードで話を構成している、同時に興福寺を悪者にして話を構成している所が面白い。

興福寺の使者、盤覚ばんかく(坂口涼太郎さん)を悪者にして、年貢や金銭、関所による収奪を行っているということにした。そして人間や族による実力行使をしながら、その内容を「仏罰」として人々を恐怖に貶めていたという展開。秀長は、そのことを藤堂高虎(佳久創さん)や小堀正次(萩原護さん)を使って、検地をおこない、そしてばんかくの悪事を明らかにした。

よくある「べた」な物語展開であるが、しかし、予想通りの内容になっているところが興味深い。ある意味で安心した流れになっているのではないでしょうか。しかし、その内容は当時にありがちな内容ではないか。途中で様々な物語が起きているが、例えば農民の手を見て、秀長が元農民であるということをまったく隠しもせずに話す場面など、様々な場面が存在していた。

一方、秀吉(池松壮亮さん)は、何とか市(宮崎あおいさん)の娘たち、。茶々(井上和さん)、初(田牧そらさん)と江(西川愛莉さん)の御機嫌を取るのだが、茶々がいつまでもなびかないという状態。ちなみに史実ならば茶々は、この翌年である天正13年に茶々は秀吉に嫁ぐことになるのですから、なかなか興味深いところです。実際のところ、このドラマではどのように描かれるのでしょうか。実際にこのドラマでは、あさひ(倉沢杏菜さん)が徳川家康(松下洸平さん)に嫁ぐ場面などは全く描かれていませんので、その辺もどのようになるのでしょうか。

いずれにせよ、次週も大和国の知性ということになります。まずは農民について、そして次週は商人についてということになります。

宇田川源流

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