「宇田川源流」【日本報道検証】 午前3時から勉強会は責任と勤勉の表れではないのか?

「宇田川源流」【日本報道検証】 午前3時から勉強会は責任と勤勉の表れではないのか?


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、高市首相が11月7日の予算委員会に向けて勉強会を午前3時から開いたということが物議を醸しています。

 この件に関して、政府は、首相の早朝の勉強会を「審議に万全を期すための事前準備」であり、首相自らが率先して答弁準備に臨む姿勢を示すものだと説明している。首相周辺は、予算委や重要審議に向けて細部まで確認する必要があること、首相個人の勤務スタイルや準備のこだわりが影響している点を強調している。

 一方批判が出ている。これは総裁選に勝利した時の高市氏の発言で「ラーフワークバランスを無視して馬車馬のように働きましょう」といった時から出ているものですが、それが具体化した行動になった今回、批判は、午前3時という極端な時間帯が首相本人のみならず秘書官や警護、宿舎から動員される職員に過度な負担を強いる点に集中している。報道や野党の指摘は、継続的な睡眠不足や深夜・早朝の勤務常態化が健康リスクを高め、職場全体のワークライフバランスを悪化させると指摘している。

 一方擁護論も少なくない。擁護側は、国家運営と国会審議の性質上、国民の負託に応えるため首相や閣僚が徹底的に準備する必要があると主張する。政権側や一部の支持者は「働いて働いて働く」というリーダー像を評価し、緊迫した審議期には例外的な準備行為が許容されるべきだと説明している。もちろん、そもそも公務員は全体の奉仕者であるし、また、そのような状況であっても働かなければならないということもあるのです。ある意味で公務員を一般と区別した考え方も少なくないようである。

 そして第三の論点は、個人の働き方を問題化するのではなく、審議日程や答弁準備の仕組み、秘書体制や支援リソースの配分といった制度面に構造的な歪みがあるとする考え方だ。これは国民民主党の玉木雄一郎代表や、政治評論家で元衆議院議員の金子恵実氏などが話している。与野党の質疑集中や準備時間の逼迫、当日の突発事項に対応するための非効率な運用が長時間労働を生んでいるため、審議スケジュールの再設計や事務的支援の強化といった国会運営改革によって、個々の過重労働を抑えるべきだと論じられている。

<参考記事>

高市首相 午前3時から勉強会

2025年11月07日 10時55分 時事通信

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-4662043/

<以上参考記事>

 さて、私自身は働くことは問題がないと思っている。実際に、人間はある程度限界まで働かなければならないと思っているしそのようにして働くことで、自分の新しい一面が見える。そしてその働くことが、社会全体に貢献できる内容になるのであるから、現在のような不景気は、間違いなく国民一人一人が働かなければならないというように思う。働かずに、または自分の好きなことだけをやって、気ままに生きてゆくなどというような甘えた考えの人が多いから、日本の景気はいつまでも悪化したままなのであろう。同時に、その考え方自体が、いつもこのブログでは言っている「義務や責任を軽視し権利だけが最大限肥大化した社会の歪み」担っているのではないか。その様に考えれば、労働者の権利とか言っている人ばかりで、景気悪化の中で賃金を上げろと大騒ぎしている人々ばかりが批判の中心になっているのである。まあ、もしかしたら私があいかわらず「昭和脳」なのかもしれないので、その辺はご容赦願いたい。

 政府や政権側は、指導者や幹部が深く勉強し続ける姿勢を高く評価する傾向がある。首相自らが早朝や深夜に準備を重ねることは、政治責任を果たすための献身やプロフェッショナリズムの表れと位置づけられ、忙しい日程や短時間で質の高い答弁を求められる現実においては、個人の習熟や自己研鑽が結果的に政策の精度を高めるとの論理で擁護される。こうした価値観は、勤勉さと献身を美徳とする政治文化と結びつき、首相の長時間・不規則な準備行為を容認あるいは称賛する姿勢を生む。

 働き方改革を批判する立場は、労働時間の短縮や残業抑制が単純に供給側の生産活動を減らし、短期的に国内総生産の伸びを鈍らせる原因になったと主張する。彼らは、長時間労働の削減が消費や投資の即時的な下押し要因となり、企業の稼働量が低下することで景気指標が悪化した、あるいは成長が停滞したと論じる。とりわけ製造業や労働集約的な産業では労働投入の削減が直接的に生産量へ反映され、成長率にネガティブな影響を与え得るという見方が示される。こうした主張は、働き方改革の効果を賃金や生産性の向上に必ずしも直結しないまま実施した点を問題視する議論とつながる。

 働き方改革の結果として残業代や時間外の稼ぎが減少した層が、副業に頼らざるを得なくなったという批判もある。その立場では、副業が新たな収入源を提供する一方で、多くの労働者にとっては慣れない業務、業務時間の分断、労働管理の不備をもたらし、本来の主たる業務との両立で疲弊や睡眠不足、ストレス増大を招くと指摘する。特に副業がフリーランス的な不安定労働や単純作業、長時間のオンライン作業を伴う場合、健康を損なうリスクが高まるとの懸念が示される。さらに副業のために労働者が自己管理や税務手続きなど新たな負担を負うことで、総合的な生活の質が必ずしも向上しない可能性があると論じられる。

 働き方改革を批判する論者は、問題は理念自体ではなく現行の設計と実行にあると指摘する場合が多い。労働時間短縮を掲げながら代替的な賃金補填や生産性向上策を同時に整備しなかったため、労働供給の削減がそのまま収入減や生産落ち込みにつながったという批判だ。加えて中小企業やサービス業、雇用形態が多様な労働者に対する配慮が不十分であり、一律のルール適用が現場の混乱や負担増を招いたとされる。改革によって期待された「時間あたりの生産性向上」「ワークライフバランスの改善」「消費の拡大」が即効性を持って実現しなかった点を、設計上の欠陥として挙げる。

 働き方改革への非難は、理念的な正当性と現実の落とし穴を切り分けて批判する。長時間労働の是正や労働の質向上という目標は支持され得るものの、その過程で生じた短期的な所得減、産業別の負担の偏り、そして副業を余儀なくされた労働者の健康リスクや生活の不安定化を看過できないという主張が核となる。したがってこの立場は、単なる懐疑に留まらず、賃金補填策、産業別支援、再教育や配置転換支援、そして副業を含む労働時間と健康管理の制度的整備をセットで求めることが多い。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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