「宇田川源流」【日本報道検証】 熊への武器使用に日経新聞が憲法9条を持ち出す異常

「宇田川源流」【日本報道検証】 熊への武器使用に日経新聞が憲法9条を持ち出す異常


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、最近の熊被害に関して、秋田県の鈴木知事が自衛隊に援助を要請したということがありましたが、その件に関して日経新聞が《自衛隊の武器使用を巡っては、憲法9条の規定もあり厳しく制限されています。犠牲者数が過去最悪となるなか、どのような対応が可能なのでしょうか》というようなXでの投稿を行ったことが話題になっているので、その内容に関して見てみたいと思います。

まずはその前に「熊の被害」に関してみてみたいと思います。

今年の熊の被害に関しては、下記のような統計数字が出ています(10月31日調べ)

・ 人の死亡数:今年は約10人(10月下旬時点で最大レベルの集計)という報告がある。

・ 負傷者数:今年の熊による負傷者は約108人(4月~9月集計、負傷者含む)と報告されている。

・ 出没件数:報道では今年の出没報告が1万7,000件超とされ、秋田や岩手など東北と北海道で多発しているとされる。

・ 東北(秋田・岩手など)と北海道が被害集中地域で、特に秋田県・岩手県・北海道の一部で人身被害や出没が目立っているという指摘がある。

・ 秋田や岩手での出没増加は、過去最悪レベルに匹敵するとの報告がある。

・ 被害は秋(特に10月)~冬前にピークを迎える傾向が強く、餌不足や採食行動の変化が出没増加の主因として挙げられている。

・ 山間部だけでなく住宅地・市街地での目撃や侵入も目立つようになっている。

・ 農作物被害は増加傾向で、ある自治体では前年の1.6倍になるなどの報告がある。

・ 管理対策としての捕獲数も増加しており、指定管理下での捕獲報告が増えているとの記述がある。

 さて、このように甚大な被害が出ている状況である。このように大規模な被害になる前は、地元の猟友会などと連携して対処していたが、地方都市の高齢化や猟友会の人数の少なさ、または、件数の増加などから、猟友会では対処しきれないと判断したのである。

秋田県は、自衛隊に要請をしたがそのほかにも、対クマなどの害獣被害に関しては、警察がライフル銃を使うことを許可するなど、様々な対策が行われている。一方で昨年から、熊の殺処分に関しては、「殺さなくてもよいのではないか」などの、動物愛護的なコメントや地元自治体への苦情が寄せられるなどの問題が出てきている。

<参考記事>

「呆れ果てる」「9条関係ない」日経新聞 自衛隊のクマへの武器使用巡るX投稿に指摘続出…立憲・枝野氏もツッコミ

2025年10月30日 06時00分女性自身

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12268-4636341/

<以上参考記事>

 このような事態になっているのにかかわらず、日経新聞は憲法9条を持ち出して自衛隊批判をしている。そこまで言うのであれば、日経新聞が自衛隊を使わずに熊から人を守ればよいのであり、何もしないでただ報道しているだけであるのにかかわらず、現場の苦労も知らないで何を言っているのかというような感じにしかならない。単純に「呆れる」「憲法は関係ない」というようなコメントが多いのであるが、まあ、人命を守る必要がないというような日経新聞の見識の欠如はあまりにもおかしなものではないかと非難が高まっている。

さて、そのようなことであるが一応ブログなので憲法に関してみてみよう。

まずは憲法9条である。

第9条

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 さて、まずはこの条文を見てよくわかるように「国際紛争を解決する手段として」と条件を付けて、この条文は存在する。つまり、この条文は、「戦争の抑止及び他国に対する威嚇や武力の行使」ということを言っているのであって、その他の部分に関する武器の使用を禁じたものではない。そして、武器の使用や保持をしないとしている第2項も「前項の目的を達するため」となっているのであって、いかなる場合においても武器の使用及び戦力の保持をしないなどということを言っているのではないということに着目する必要がある。基本的に保守系の人々と左翼系の人々と、この内容の解釈が多少変わる部分はあるが、しかし、少なくとも自然災害が害獣などの問題に対して、差っ処分をしてはいけないなどという暴論は、憲法9条には記載されていないし、また熊が出没して人里に出てきて、人間に対して害をなすことは、憲法の規定する「国際紛争」という状態にあるものではないということは明らかであろう。

もちろん、日経新聞は「熊の国があって、この度の熊による市街地の侵入は、擬人化されたクマの国と日本国との国際紛争である」というような、ファンタジーな解釈をしているのであれば、それはそれでまったく別な意味で着目すべきな内容であり、熊の国は国として存在するのかとか、国家という存在の定義はどのようになっているのかなどのことをしっかりと説明する必要があるのかもしれない。

基本的には、残念ながら日経新聞は「憲法に記載された日本語を正確に読解する能力が著しく欠如した新聞」であるということを言わざるを得ない。このような新聞であるから「オールドメディア」として、多くの人々から見放される結果になるのである。このような論評を行ったことによって、銃の使用を制限し、そのことによって人にっ被害や犠牲が出た場合、日経新聞はどのような責任を負うつもりなのであろうか。まずは日経新聞社のこのコメントを描いた人物が、銃や武器を使わずに、熊に対処してみればよいのではないか。当然に自衛隊や銃を持った人の援助などは求めることを禁止し、そのうえで、このXの投稿が正しかったのかということを考えるべきであろう。そのうえで、日経新聞社は、新聞社として、銃を使わなかった場合の被害に対して何らかの補償をすべきではないか。

このように核と「そこまでは・・・」などというのであるが、まさに、これが「言論の無責任」であり、言論によって日本人が危険にさらされるという最たる例の一つなのである。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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