「宇田川源流」【日本報道検証】 日米中の関係を悪化させる可能性のあるフェンタニルと日中会談で議題にしない岩屋外相

「宇田川源流」【日本報道検証】 日米中の関係を悪化させる可能性のあるフェンタニルと日中会談で議題にしない岩屋外相


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて、今回は、今アメリカで最も問題になっていながら日本ではほとんど報道されていないフェンタニルの問題である。

まずは知らない人のためにフェンタニルについて、私も理数系ではないし薬品に詳しくはないので、簡単にネット上の説明をそのまま引用してみることにしよう。フェンタニルは半合成オピオイドで、モルヒネの80から100倍もの鎮痛作用を示す一方、ごく微量で致死量に達する恐れがある。なお、通常の処方箋による鎮痛剤としての処方は行われているので、私は「使ったことがない」とは言い切れず、何か痛み止めなどで医者に処方されている可能性があるのだが、もちろん、処方箋以外には多分(市販薬で販売していない限りという意味)使用したことはない。このフェンタニルは、合成過程で純度が高い製品が市場に出回りやすく、服用者が自覚なしに過剰摂取してしまうリスクが極めて高いということが大きな問題になっている。致死率が高い薬品を過剰摂取してしまえば当然に問題がある。

 このフェンタニルは、米国では2021年の薬物過剰摂取による死亡者が11万人を超え、そのうち70%以上がフェンタニルなどの合成オピオイドが関与していたと報告されている。毎日300人くらいのアメリカ人がフェンタニル中毒で命を落としており、過去10年で死亡者数は73%増加したとされる。2019年11月から2023年10月までの4年間で、米国だけで42万7,000人以上が過剰摂取で死亡しており、「史上最悪の薬物危機」と呼ばれる。

<参考記事>

合成麻薬フェンタニル 警察庁長官「事件として扱うべきものあれば厳正な対処必要」 国内では2件の検挙把握

7/3(木) 日テレNEWS NNN

https://news.yahoo.co.jp/articles/9fcd3066b0d94c5f0ef603f4e545493129e2fa21

<以上参考記事>

 ごく微量で強い作用を示すため、通常の薬物検査装置では微量であることから見逃されやすく、インターネットや郵便ルートを使った密輸が巧妙化している。各国の規制強化が進む一方で、新たなアナログ(類似化合物)が次々と登場し、立法や捜査の後追いになりがちであることが大きな問題になっている。過剰摂取による救急医療対応や遺族支援のコストが増大し、公衆衛生システムや福祉財政に大きな負担をもたらす。若年層での死亡増加は労働力人口の減少を招き、地域コミュニティや経済活動にも悪影響を及ぼす。犯罪組織への資金流入が治安悪化を助長し、国際外交・貿易にも緊張をもたらす構図が生まれている。

 実際に、解毒薬ナロキソンの配備が急務となり、医療資源が圧迫されている。また、離脱症状が激しく、長期的な治療と支援が必要な患者が増加している。一方SNSを通じて若者に広まる速度が速く、労働人口の減少なども大きな問題になっている。このような事から、ペンシルベニア州フィラデルフィアのケンジントン地区・カリフォルニア州サンフランシスコのテンダーロイン地区・ミシガン州デトロイト近郊 など、全米複数の都市で「ゾンビタウン」が報告されている。

「ゾンビタウン」とは、フェンタニル中毒者が街路にあふれ、意識混濁や身体麻痺を起こして「ゾンビ」のようにさまよう地域を指す俗称である。つまり中毒者ばかりの街という意味である。この街の中では、路上での注射行為や突然の意識消失、痙攣などが日常化し、住民や通行人が異様な光景を目撃することが多く、また、中毒者が多いことから救急要請は毎日数十件規模、年間300人超の死亡者を出す深刻な公衆衛生危機に発展している。当然に地域の治安悪化に伴い、商店や企業の撤退、住民離散が進行し、空き店舗やホームレスの増加を招いている。このようなことから昨年のアメリカ大統領選挙の大きな争点の一つになり、またこのフェンタニルの流入がメキシコやカナダの不法移民の徹底排除ということにつながっている。単純に人権団体が何か抗議をしているが、本来は、「ゾンビタウンを作り出した不法移民に対して人権団体が抗議すべき」であり、アメリカの裁判所などもそのことを指摘している。実際に、人権団体が「フェンタニルのアメリカ流入を手助けしている」というような評価になっているのである。

さてこの問題に日本などが関係しているのは、このフェンタニルが、アメリカ以外で造られていることである。原料となる化学物質は中国から輸出され、メキシコの麻薬カルテルが精製・密輸を行い、最終的に米国をはじめ欧州やカナダへ大量流入していると報告されている。日本でも2025年7月1日に名古屋港で中国籍関係者によるフェンタニル密輸事件が報道され、国際犯罪ネットワークの影響が顕在化しつつある。その中で大きな問題になっているのは、武漢にある2万軒ともいわれる製薬会社の存在でありその中で、ほとんどの密輸原材料が作られているということになる。

なぜか、日本でもこのようなフェンタニルの事件が発生していながら社会問題化していないことか、そして名古屋が拠点になっていることをグラス駐日アメリカ大使が指摘しているにもかかわらず、岩屋外務大臣は王毅外務大臣と面会しながら話題にも上げていないし、また、森山幹事長(日中議連会長)も、何副首相と面談しながら何の問題にもしておらう議題にも上げていない事であろう。このような「人が一日300人死んでいることを無視している」ことで大丈夫なのであろうか。

「毅然とした態度で犯罪に対処する」ということが重要であり、そのようなことが国民の命を守ることになるのだが、岩屋外務大臣と森山幹事長には、そのような意識が感じられないのはなぜであろうか。このようなことも今回の参議院選挙の大きな争点になってくるのかもしれない。

宇田川源流

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