小説 No Exist Man 2 (影の存在) 第三章 動乱 10
小説 No Exist Man 2 (影の存在)
第三章 動乱 10
「出所を調べているようだ」
ワンの銀行の会議室には関係者が集まっていた。
「死の双子を撒いて、その出所を探られるという事か」
「つまり、香港の多獏会にはそれほどの死の双子を預けていなかったということだ。」
太田寅正は、その様に言うと、出されたジャスミン茶に口をつけた。
「もっと言えば、王獏会も津島組も、共産党にはそれほど信用されていなかったということだ」
西園寺が捨てるように言った。
この二人の日本人は、しっかりと共産党の心を読んでいる。荒川は、この二人のことを見直す思いであった。そして、その前に安斎がハミティにしっかりと「役割」を果たさせたことも、なかなか興味深かった。今までの知っている安斎とも、また太田や西園寺とも違って、戦争になった時にはいずれも頼りになる人々であった。
「捨て駒ということか」
「ああ、そうだな」
「そのことをあいつらが知ったらどうなるだろうか」
安斎も会話に加わった。
「いや、関係ないだろう」
太田は、その言葉の後に続けた。
「少なくとも津島組の松本は、その様に利用されたという事よりも、中国共産党の手下になって日本を統一できると思っている方が大きいのであろう。在日中国の帰化人は、そのようにして日本人を支配することを望むものがいる。まさに松本はそのような人間と同じような感覚でしかないのだ。そしてそのことを知りながら力を貸した多獏会も同じということになるのである。要するに、王獏会や津島組は、信用されいないとか、捨て駒というようなことではなく、その力を利用することしか考えていない。自分たちがそのような力の前に屈することもまた、その前に虐げられ支配されてしまうことも、全くわかっていない。そもそもどこかに属するということは、我々のような組織や中国のマフィアのようなものに、何かの組織や国家に飲み込まれるということは、それは完全に自分を失って恥のはずなのだが、しかし、彼らはそのようなことをすべて捨ててしまったようだ」
西園寺は、横で腕を組んで嘲笑った。
「さて」
ワンは、これらの話をしている間に、銀行の職員とも割れる人物から、話を聞いていたようだ。
「第71軍と72軍が動き出したようです。」
「謝さんですね」
荒川が口を開いた。
その時、大きな爆裂音が空を覆った。
第71軍がミサイルを厦門の第73軍の駐屯地に対して発射したのである。当然い第73軍は対空砲によってミサイルを撃破した。その爆発音であった。
「第73軍駐屯地は、今まで発見されなかった新規のウイルスによって支配されてしまった。その為にウイルスを駐屯地とともに除去する。」
胡英華と王瑞環は、第71軍と第72軍に入って、その様に訓示した。
死の双子といわれるウイルスなどは全く中国共産党は知らないということにした。そして、そのウイルスが蔓延ったということが、そのまま第73軍事討滅するというけってになったのである。そしてそのことは孔洋信が73軍駐屯地にいるということも何も関係なく、そこにいるものをすべて破壊し討滅するということになったのである。国家の機密が表になる前に、全て焼き払ってしまいなかったことにする。そのことは、中国共産党の基本方針でもあったので、周毅頼も命令せざるを得なかった。
「孔同志、これはどういうことで」
蔡文苑は迎撃命令を出しながら、孔に聞いた。
孔は、まさかと思いながら携帯電話で周毅頼に電話をした。
「孔同志、そういうことだ。悪いが、共産党のために死んでくれ。73軍にだけ死の双子があったということであり、そして、他の場所には死の双子があったということは知られていない。」
「いや、周同志、死の双子は・・・」
「被害が出ている、それも第73軍に数百人。つまり、死の双子が表に出たということに変わらない」
「しかし・・・・・・。」
「いいか、君がその場で死ねば、死の双子を持っている北京の共産党だけが死の双子を持つことになる。当然にわれらだけが優位性を保つことになるのだ。共産党のために死ね」
周毅頼はそういって電話を切った。
「初めから私を殺す気であったのか」
孔はうなるように言った。
「孔同志、どうしましょう」
「戦って生き残る、それしかない」
蔡はうなづいた。
「全てを迎撃せよ」
蔡は、部下に命令した。初めのうちはミサイルでの攻撃しかない。そのようなことから初めのうちは対空砲や迎撃ミサイルの攻撃でしかない。
「すぐに地上軍が来るに違いない。準備を整えよ」
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