「宇田川源流」【日本報道検証】 石破首相の肝いり政策「アジア版NATO」の危うさ

「宇田川源流」【日本報道検証】 石破首相の肝いり政策「アジア版NATO」の危うさ


 基本的には現在は選挙期間中なので、選挙の話などをするのは、すべての政党を平等に扱わ無ければならないので、基本的には、選挙の話はしないように考えている。

ちなみに、独自に今回の小選挙区のすべての選挙区における当落予想は作っている所であり、週末にはだいたいの目星が付くのではないかという気がしているのである。今回は、非常に予想が難しく、マスコミ報道をしているものや、そのほかの調査機関の内容を見ても、自民党でいえば、現在の議席数に近いところを執り、自民党単独過半数を維持するという予想から、最もひどいものでは、自民党が120くらい議席数を減らし、自公政権ではなく他の政党とも連立しなければならないというような状況になると予想されているものもある。だいたいマイナス60議席くらい、自民党単独過半数は無理で、自公で過半数に届くかどうかということが焦点になるということではないか。

いずれにせよ、選挙初めにスキャンダルを思い起こさせるように「裏金議員」の公認取り消しから始まり、選挙期間中に「防衛増税」の話をするというような状況で、「謝罪と増税」という、選挙に勝てない内容を二つセットにしている。そのうえ、自民党が結束しているわけではなく、自民党内が石破主流派と、高市・麻生非主流派で分裂してしまっているというような状況である。そして、小泉郵政選挙のような対立候補がいるわけではない状態である。これではこのように「減らす」内容にしかならない。。

しかし、野党側も「決め手」に欠ける選挙を行っている。そもそも、石破戦略ではないが、あまり準備ができずに、野党間の選挙協力の大勢が整っていない。野田立憲民主党は、やはり党内の「枝野非主流派」との対立が出てきており、立憲民主党の中で野田代表が孤立してしまっているかのような状況になっている。そのうえで、日本維新の会や国民民主党が協力しないで野党がバラバラで候補を立てていないところでも協力体制がない。もっとひどいのは共産党で、全く協力する意思が感じられない選挙を行っている。

さて、このような序盤の選挙戦を見ながら、「選挙の争点」ではなく、あえて「政策」それも、選挙とは直接関係のない外交についてみてみてみよう。

<参考記事>

ASEAN各国、アジア版NATOへの根強い警戒…中国との関係考慮「受け入れるのは難しいだろう」

10/12(土) 6:52配信読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c32aef9c86d97990734d324bf881ab5ba665369

<以上参考記事>

 今回は、石破首相が「肝いり政策」として総裁選の時に打ち出した「アジア版NATO」である。

実はこの「アジア版NATO」が、アジア各国で非常に評判が悪い。そもそも今まで「防衛」ということをしないばかりか、基本的に「軍事装備」も輸出したことがない日本がどうしてそんな事ををいきなり主張するのかというのがアジア全般の内容である。

そもそも、今まで日本は「大国」であるとされていたが、その実態としてあまり貢献度合いが少ない。もちろん日本の政府開発援助(ODA)などはインフラを整備しているが、しかし、東南アジアの人々などにしてみれば「ODAは日本が金を出して日本の企業が勝手に工事をしてゆくもの」としか考えておらず、本当に彼らのために役に立っているかどうかは不明。そのうえ、「円借款」も「政府」に対して行っているが、それは政府の上層部の懐に入ってしまっていて、民衆にはまったく貢献されていない。

そのように考えれば「何をしているのか」ということになる。そのうえで、日本の問題はそのような「アジアの現状に根差していない」だけではなく「軍事アレルギー」ということである。

まず何といっても「憲法9条」がある中で、軍事同盟を行うことができるのか、という疑問がある。そもそも「NATO」は軍事同盟であり、現在もウクライナがNATOに加盟を目指すと表明したことによって、ロシアがウクライナに侵攻しているということから、NATOが対ロシアというか、対共産圏軍事同盟であるということはよくわかる。では、アジアの中にいおいて「NATOの仮想敵国はどこか」ということになる。間違いなく「軍事同盟」であるということは、「仮想的」がいる、それが「ロシア」なのか、「ロシアを支援している中国も含むのか」などのことは非常に大きな問題になるのであろう。そもそも「軍隊のない日本が軍事同盟を提唱する」ということが、どの様なことなのか。その時点で矛盾が生じているということになるのである。

石破首相が敵対的に対抗している旧安倍内閣では、当然に「日米同盟」を基軸に「クワッド(日米豪印軍事協力体制)」等を行い対中国包囲網を作り、そのうえで、その対象をインド洋に移すということができていた。それを、真正面から「NATO」というようにしてしまえば、当然に「中国・ロシアとの対立」ということになる。その時に、日本が貢献していないところでの「中国が債務の罠を仕掛けた国々」はどの様に反応するのであろか。単に「日本離れを起こす」ということになってしまうということになる。

おのような軍事的なことを言うのであれば、当然にまずは「憲法改正」を主張し、正面から9条を改正するということを言わなければならない。しかし、石破自民党は、今回の選挙で憲法改正を全く表面に出していないばかりか、話題にも争点にも出していない。そもちろん、選挙をやって、そのあとだまし討ち的にそのようなことを出せば、信用がなくなるので、次の選挙、例えば来年7月の参議院選挙で完全に敗北するということが待っていることになる。

ちなみに、東南アジアで「日本版NATO」とは、「No Actioon Talk Oniy」の訳であるとされている。つまり「日本では、何か言っているだけで、結局何もしないし期待できない」と異様になってしまっている。石破首相はすでに東南アジアにそのような印象を持たれてしまっているのではないか。

宇田川源流

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