「宇田川源流」 「陰謀論」は思考停止で意見誘導の道具であるということを認知せよ!では真実との違いは?

「宇田川源流」 「陰謀論」は思考停止で意見誘導の道具であるということを認知せよ!では真実との違いは?


 このブログも毎週金曜日には「現代陰謀説」を記載しているが、その冒頭に毎回しつこく書いているのが「世の中にはびこる陰謀論との違い」である。今日は木曜日なので明日のブログにも同じことを書くかもしれないが、実際には、陰謀論ということに関して言えば、実につまらないことをしているということになる。

さて、現代陰謀説と通常日本で言われている「陰謀論」の違いを書いてみよう。

・ 陰謀論は必ず後講釈である。

・ 陰謀論は、解決策が記載されることはない。

・ 陰謀論は、その陰謀が成し遂げられた最終の帰結が見えない。

・ 陰謀論の解釈は、一部が飛躍していたり、ゆがめられた一部の学説などになる

・ 語られる陰謀論の費用対効果が見えない。

・ 何よりも陰謀の主体が全くわからない。

さてさて、物事を何か語るには、その内容をしっかりと知るという事だけではなく、その帰結が最終的に好ましいことではない場合の「解決策」を提示するのが普通である。日本では、このような「当たり前のディベートのルール」が全くできない人が少なくない。そもそも国権の最高機関である国会の中で、人格的誹謗中傷を行ったり、予算を語らなければならないところで他人のスキャンダルを語っているような人が何万票も集めて国会議員に選ばれていること自体が、日本人がこれらのルールを知らないことの証左であろう。そして、そのことが普通であると思ってしまっているインテリ気取りの人々が、同じように誹謗中傷と極端な解釈で良いと思っていることが最大に問題なのである。

本当に実力のある人々ならば、後講釈ではなく、事前にまたはその最中にすべてを明らかにすることができ、できるならば予防をするということが可能であろうし、また、解決策や陰謀のカウンターインテリジェンスをしっかりと語ることができる。そもそもその陰謀が「だれが何のために行い、どのようなコストをかけてどのような効果を得ようとしているのか」ということが見えてくるはずである。日本語の会話なのだから主語と述語はしっかりとしているはずであるし、また、その目的などもしっかりと見えてきて当然である。

橋崩落めぐる陰謀論拡散 サイバー攻撃説からワクチン原因説、イスラエルやオバマ氏関与説も

 (CNN)米東部メリーランド州ボルティモアで貨物船が衝突して橋が崩落した事故をめぐり、直後から「真実」をかたる陰謀論がネット上で拡散している。

 貨物船に対するサイバー攻撃、船長を襲った新型コロナワクチンの副反応、イスラエルやオバマ元大統領の関与――。ネット上を飛び交うデマは多岐にわたる。

 全ては事実無根だった。捜査当局は早い段階で、衝突が意図的に引き起こされた形跡はないと発表していた。

 それでも陰謀論の急激な拡散は止まらず、水中の捜索救助活動が続く間もSNSで何千万回も表示された。わずか数時間の間に、橋の崩落をめぐって事実とはかけ離れた代替現実が創作された。

 この現象は、米国で政府やメディアに対する信頼が失墜している現実と、偽情報の共有に報いるネットのゆがんだインセンティブ構造を物語る。

 これまでも全米の注目を集める惨事が起きるたびに、事実や一般認識に反する代替現実が氾濫(はんらん)してきた。

 今回がこれまでと違うのは、偽情報の拡散で知られるユーザーが、即座に偽情報でネットをあふれ返らせることができたという点だ。これはフェイスブックやX(旧ツイッター)などのSNSに確実なファクトチェック機能が欠けていたことも一因だった。

 26日の朝、数百万人が橋の崩落事故について最初に目にしたのは、事実ではなく偽情報だった可能性もある。

 橋の崩落から6時間もたたない26日午前7時すぎ(現地時間)、Xで900万人超のフォロワーをもつアンドリュー・テイト氏は、何の証拠もなく、貨物船が「サイバー攻撃」を受けて故意に橋に衝突させられたと書き込み、「USAの外国人工作員がデジタルインフラを攻撃」と付け加えた。

 女性憎悪の投稿で知られるテイト氏は、人身売買や強制性交の罪に問われてルーマニアで起訴されている。

 テイト氏の投稿は27日までに、Xで1850万以上表示された。

 同氏の投稿の2時間後、小学校銃撃事件をめぐる陰謀論者アレックス・ジョーンズ氏は橋崩落の映像を投稿して「私には故意に見える。恐らくサイバー攻撃だ。WW3(第3次世界大戦)はもう始まっている」とコメントした。

 ジョーンズ氏など人類滅亡論をあおる陰謀論者は何年も前から世界は壊滅寸前にあると説き、備えの一環として高額なフリーズドライ食品やサバイバルキットの購入を呼びかけていた。ちなみにジョーンズ氏はそうした製品を販売している。

 一方、右派のユーザーは多様性、平等性、包括性(DEI)を推進する政策に絡め、もっとふさわしい人材がいるのに多様性や包括性が優先され、それが何らかの形で事故の一因あるいは原因になったと論じた。

 そうした主張を裏付ける根拠は何もない。それでもそうした投稿は、多数の「いいね」を集めて広く共有された。

 事故に関するニュース報道が続く間も、陰謀論は止まらなかった。

 イスラエルが関与したというデマや、オバマ氏らがサイバー攻撃を受けて座礁する石油タンカーのネットフリックス映画を制作しているという理由で、同氏が関与しているらしいというデマも飛び交った。Xで70万人がフォローする人物は26日午前、「自分で結論を」と書き込んだ。

 貨物船の船長が新型コロナのワクチンを接種して倒れたとして、ワクチン原因説をXに投稿したユーザーもいた。

 これに対してHBOのテレビドラマシリーズ「ザ・ワイヤー」を手がけたデビッド・サイモン氏は、貨物船が橋に衝突したのは船長が倒れたためではなく、停電のためだったと指摘した。

 また、米共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(カリフォルニア州の山火事の原因はユダヤ人の宇宙レーザーだったらしいという陰謀論に関与したことで知られる)は26日、橋の崩落は「意図的な攻撃だったのか事故だったのか」とXで問い掛け、徹底捜査が必要だと主張した。

 ユダヤ人の宇宙レーザーは、山火事も、ボルティモアの橋の崩落も引き起こしていない。しかし多くの米国人にとって、そして恐らく一部の議員にとっては、それほど現実離れした説とは思えないのかもしれない。

2024年3月29日 15時19分 CNN.co.jp

https://news.livedoor.com/article/detail/26134557/

 ではなぜ「ディベートのルールを無視したような陰謀論」がはびこるのであろうか。

単純に「陰謀論」が、「現状不満」の「自分自身に対する言い訳」になっているということに、そもそも気づくべきではないか。またはその不満のある現状に自分が置かれているということに関して、その怒りの矛先を探すロいうことにつながっているのかもしれない。

しかし、少し良く考えてみれば「怒りの矛先」そのものを向けるものが、陰謀論者によってフェイクで作られたものであれば、結局は欲求不満が残るだけではないか。そのようなことを気いt喜んでいるということは、まさに「怒りの矛先を向ける」のではなく「自分自身でその物事をあきらめる」ということをしているだけで、何の解決にもならない。単純に「怒りの矛先」を向けるのであれば、それは、単純に陰謀論であって、陰謀論を信じる人とその矛先を向ける先との対立をあおっているだけに過ぎないのである。

上記の内容とは別に、例えば3・11の時に、地震兵器などといううわさが出てきた。もちろん陰謀論である。世の中には、ある程度の地下核実験で震度3程度の地震が起きることはあるが、しかし、震度7レベルを行うことは、科学的論理的には可能であるが、実質的には不可能である。例えば今回の能登地震でこれを核兵器で行う場合は、海中40キロ地点に広島型原爆の250倍の爆弾を仕掛けなければならない。もちろん250倍の爆発力を持つ爆弾を作ることは可能であるが、それを海中に沈め、なおかつ、その気圧に耐えられるようにし、同時にその下に40キロ穴を掘り、その堀った残土をどこかに処分し、そのうえで、誰にも気づかれないうちにその爆弾を爆破させるということが、実質的に可能であるのかどうかを考えてみればよい。いくら能登の人々または、3・11であれば、東北の人々が素朴であったとしてもそれほどの土が出てくれば大概気づくことになるであろう。

そのように「実質論」になった瞬間に、陰謀論は崩壊する。観念的な内容で「可能」としても実務を知らない人が、空想で作り出したものであるということは明らかなのである。

今回のメリーランド州ボルティモアで貨物船が衝突して橋が崩落した事故においても、実際には、陰謀論が出回っている。

サイバー攻撃であったり、またはイスラエルの宇宙レーザーであったり、まあ、好きに主張するのは勝手かもしれないが、しかし、それらは「サイバー攻撃を行った人とアメリカ国民を対立させる」または、「イスラエルとアメリカを対立させる」というような「語られた内容ではなく、その陰謀論を語ることによって広められる感情操作そのものが陰謀」ということになるのではないか。そこで「防ぎ方」も「カウンター」も全く語られない。事故後すぐにこのように語れるのであれば、事前に警告をすることもできたであろうに、そのようなことは全くしないというような状況になっているのである。

まあ、このようなことをして目立ちたい人は少なくないのかもしれない。本来はこのようなあまり頭のよくない情報に惑わされないだけの「実質論」を考えられるリテラシーが必要ということになるのではないか。

宇田川源流

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